大塚家具今期決算予想大幅赤字に

大塚家具今期決算予想大幅赤字に

旧商法打破と新業態創出の狭間
中小規模店主力に全国展開へ

大塚家具(本社・東京都江東区有明、大塚久美子社長)が8月5日、平成28年度12月期第2四半期決算短信を発表、12月期末通期業績の大幅減収、減益、当期最終赤字43億5,800万円の大幅損益を予想した。売上高は483億2,700万円(前期比16.7%減)、営業赤字38億6,300万円、経常赤字37億400万円とすべての面で業績が悪化した。

重視されたのは今期予想売上高538億円に対して55億円の激減としたこと。この主因を①元会長と経営権を巡って紛争し、株主の委任を得た久美子社長が販売増伸に「おわびセール」にはじまり、在庫一掃セール、大感謝会セールと連続したセール催事を行い、お詫びを除き連続のセールで売り上げの不振を招いた。

②経営権を巡る一族紛争の社内影響に加え、資産持ち株会社桔梗の勝久元会長と久美子社長の裁判で、原告の勝久元会長が勝訴、約17億円と言われる支払いを久美子社長側が行なった③テレビや週刊誌、一般紙が久美子社長を取り上げ、一時は大塚家具の話題で持ち切り、消費者が久美子社長を「家具販売事業経営者」というより「話題のタレント」的な意味合いで追っかけ客が店に足を運ぶ事態になった。が、マスコミの視聴率の醒めはイコール消費者、一般人の醒めになり、次第に来店客を減少させた。

今後の動向が注目される春日部店
今後の動向が注目される春日部店

ざっとこうした経緯を多くのマスコミは上げた。だが半面で、旧大塚家具の商法を否定して今日の市場ニーズに合わせる新商法、業態を久美子社長が創出し、業績向上へ向けて尽力してきたことも事実だ。また、旧大塚家具商法(例えば会員制)の廃止など、加えて店舗への入り易さ、店員の対面、尾行販売の否定など今流の接客を導入したことも、一定の効果はみたようだ。

さらに「家具販売から女性目線で楽しい暮らしを提供する」というコンセプトのもと、新宿ショールームで住生活シーンのソフト販売に踏み込む商法も打ち出した。最近はまた8月28日まで「ねむりの博覧会」など各店で寝装寝具やベッドの特別販売を展開してきた。今期業績予想について、上場企業ゆえの市場視線のキツサ、同族での経営権争いなどの後遺症から、負の経営を背負った業績を残す結果になった。過半はかっての大塚家具の改革途上の投資と、今年1月以降6月までの、個人消費の低迷要因が大きかったとみることもできよう。

なお、大塚家具では2万m²級の旗艦店有明本店、大阪南港ショールームは残すものの、1万m²クラス以下の中大型店はスクラップ&ビルド化し、3,000m²から7,000m²の標準店を15〜20店舗ほど増し、2,000m²未満の小規模店で全国的にナショナルチェーン化していくとしている。年内には大阪に関西初のアウトレット&リユース店をオープンする。

匠大塚春日部本店の成否で実証

一般紙、経済紙誌、ネット配信で大塚家具の「過去最悪の営業赤字」「大型店閉鎖・縮小・・営業不振受け」「最終赤字43億円に拡大」など8月5日から6日大々的に報じれた。過去に無かった同社への厳しい記事だ。

確かに久美子社長が勝久元会長と経営権を巡って激しく対立し、同社の実権を握って以後、業績は上回ることは無かった。一時的に「おわびセール」で賑わい、「残業するほど注文を受けた」メーカーは喜んだものの、反動減で均されることになった。

肝心な事は2つあった。元に戻るのは至難だが、勝久元会長の「商売力」と「商品を知る」天性は業界比類なきものがあった。一方、「時代の経営」「上場企業としての財務手腕」「コンプライアンス」などで久美子社長は抜きんでた。このコンビで業界でも異色、高級、最強の「大塚家具」のブランドが、長年培ったユーザーの信頼基盤を成した。

残念ながら元会長と社長は別れたが、事業の理と不理は逆になった。結果と今後の事業成果は結論できないが「旧制、旧商法打破」は久美子社長が「新たな場で創業」してしまったほうが早く、「業績立て直し」と「大塚家具の新時代」は勝久元会長が、大塚家具の社長として残った方が早かったとも考えられる。理由は大塚家具の創業以来の商業慣習や商品開発力、消費市場に向けた独特の戦略は、一本のレールとして勝久元会長(創業者)の方に納まりが良かった、とみる業界人が多いからだ。これも結果は分からない。が、重視される西武百貨店跡「匠大塚春日部本店」の今後の成否が決め手と思える。

(長島)


この記事は紙面の一部を抜粋しています

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