2017年の新住生活産業提言

ホームリビング紙面から

豊かな暮らしを育む家具インテリア産業の年へ本紙社長 長島貴好

提言1:人々の幸せなシーンの創造を

私達産業が戦後70年余、一貫して生産し供給してきたのは家具という住生活に使用する道具でした。これに続き、1960年代に黄金期を成したのが「婚礼家具」という儀式の収納家具セットです。当初、桐材や欅、タモ、樺など国産材で、後、ローズウッド他、外材を調達、無垢を売り物に高級収納家具の製造・販売をしてきました。

流通も地産地消が多く、店の裏で作り、家具街などの店で販売する状態でした。昭和36、37年時代です。それが一新したのが化学素材や化粧紙という木目印刷材で、これにより従来ネックとなってきた量産性、高価格、さらには3点(洋服、衣装、整理箪笥)セットの表面柄の不揃いが解消され、全国販売へと進みました。

ここまでの流れが実は戦後の家具史に記す、生活のために必需として揃えるモノ(道具)の時代からコト(様式が必要とし、機能を付加した)の製品へと業界が進化し、産業としての基盤を築いた歩みと変化でした。この「コト」の時代の発端となった婚礼セットが終焉を迎えたのが、1985、86年頃の市場ニーズの変化です。家具店から収納家具が消えていく現実でした。

家具業界の横綱が不在となり、代わりに脚物と言われる応接セット、食堂テーブル、イスのダイニング家具、付随した棚、収納などを加えたトータルルーム構成で市場開拓すべく業界は開発努力をしてきました。この流れは今世紀に続き、ここ数年特に新年はシーン(充実した楽しい住生活をシーン化する)の開発販売時代へと大きな事業課題を迎えています。何業かと問われれば「人々の幸せな住生活、家族の暮らしを支える」事業という視点です。


提言2:技術革新と新流通チャンネルの構築へ

提言1で記したように、家具インテリア産業は化学素材、化粧紙また突板技術の進化により、均一セット、量産製品を適正な価格で販売する途を開きました。ここ数年業界は価格競争の果てに、海外生産やコスト削減に取り組み、市況の衰退下で厳しい経営を強いられてきました。こうした事態の打開は「価格競争から付加価値創造販売」への転換です。業界人はとかく海外フェア視察でも、デザインやカラー、または機能などを注視し、イノベーション(素材特性から始まり、技術革新、生活に付加価値を提供するソフトの開発)や本来持つべきコンセプトの確立は二の次とするきらいがありました。

しかし、本紙がここ数年提案してきたイノベーションの重視は、素材の技術革新が製品を変え商品を創る、という発想を実現せず今日にきています。単純な製品(例えば床材など)ほど、実は何百種類という専門的かつ特殊な需要に向けた開発が進んできました。分かり易くいえば高齢者施設の床材、幼児を預かる託児所の床と高校、大学の体育館の床材の違いです。

家具インテリアでも、同様のことが言えます。映画のような華麗な室内を構成し、感嘆するデザインで生産販売しても大衆の暮らしニーズにフィットするでしょうか。むしろ新素材活用の、特化した深堀り市場への開発生産手法が求められていると思います。同時に業界で問屋として知られた企業がメーカーとして製品開発を強化、家具チャンネル以外のルートで販売を行い実績を挙げてきました。まさに素材メーカーのような事業コンセプトです。


提言3:ビジネス慣習の是正と基本ルールの厳守

昨年、家具経済同友会でいくつかの業界内紛争を解決しました。類似品(模倣)問題です。会員企業からの提訴で、類似品生産販売企業に対し、即座に当該製品の生産販売停止を求め、実現和解に至ったものです。

問題の難しさは木製で同じ木材、木目が使われることがないこと、デザイン全体(見た目の感じ)は似ていても、生産手法が違う。左右上下の組み合わせやワンポイントの部材変化で違いを付けられるなど、多様な変化が可能だからです。同友会は類似品対策委員会を設置、厳重な審査を公平に行い、なによりオリジナル開発企業の健全な事業活動を阻害し、消費者からの不信を増す、自己中心の事業手法の是正を求めています。


この記事は紙面の一部を抜粋しています

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