2017年 新春特別インタビュー:大串博志 氏

大串博志 氏
民進党政務調査会長衆議院議員

大串博志

聞く人
長島貴好(本紙社長)

中小企業は国民経済の要

長島 大串先生には毎年帝国ホテルの公益社団法人日本専門新聞大会へご出席いただき有り難うございます。現在、民進党政務調査会長としてご活躍ですね。そこで本紙の新年インタビューに当たり、専門の中小企業政策について伺いたくお時間を頂きました。併せて国民経済政策などを伺いたいと思います。

大串 中小企業は日本産業の根幹だと思っております。企業数で全体の99.7%、雇用で70%以上。GDPの60%以上を占める個人消費の源泉が中小零細企業だといってもいいですね。かつ私は佐賀県選出ですが妻の父が隣の福岡県大川市の出身で、家具の街大川で従兄弟が家具屋をやってるんです。巡りに家具業の関係者が多く、中小企業のご苦労は身近に知っている立場です。

長島 えっ、何ていう家具屋さんですか。

大串 よろこびという家具屋(家具ギャラリーよろこび)です。昔は作っていましたが、最近は販売ですね。従兄弟の子がやるようになりまして、ネットも含めて販売しています。とにかく一生懸命やってるんですね。大川、佐賀県の境諸富という家具の街があって、そこが元々選挙区でした。私の同級生も家具屋をやってましてね。いろんな話を聞かせていただいてきたんです。

中小企業を下支えしていくっていうのは、地方の生活と雇用の根幹だと思うんですね。そういうことで私たち民主党政権の時も、今でもですが、中小企業政策には大変力を入れてきていて、例えば民主党政権の時には「中小企業憲章」というものを作ったんです。これはもう他の国にはあったんですね。日本だけ無かった。

それで中小企業をしっかり支えていくという、国として方針をきちっと示すべきだということで、中小企業憲章というものを作ってきました。そういったものもベースにして、例えば「金融円滑化法」というのを民主党政権時にやったんです。中小企業の皆さんに大切なのは金融です。

銀行が不良債権処理という名目で、非常に単純に融資を切るようなことがあってはいけないと、やっぱり地方においては、地方で頑張っていただいている中小企業の皆さんを、育てることで地方の金融も回っていくという、そういう図を作らなきゃいけないと思ったんです。

だから金融円滑化法で地方銀行はきちっとお金を貸すということを、まずやっていきましょうというような法律を作ったりもしました。さらには、これは時限立法だったので、法律の期限が切れましたけれども、その後、私たちの政権の時にこの精神、金融の精神は忘れてはいけないということで、引き続き地域金融機関は、中小企業に対して、杓子定規な融資の切り方はしてはいけないとしてきました。

最近では先ほど申しましたように、雇用が本当に大切なので、中小企業の皆さんにとり何が大変かというと、もちろん税を払うのも大変だけれど、社会保険料負担が非常に重く、雇用をしたくてもできないという声が切実にでています。

インタビュー時

長島 本当に厳しいですよ。半端でない督促です。なかには銀行まで売掛金の状況調査を掛け、倒産した派遣会社もありました。

大串 だから私たちが、いま提案しているのは、例えば地方で人は増やしたい、でも社会保険料の負担が多いからできないという声です。だから地方で雇用を増やされた中小企業の皆さんに対して、社会保険料の負担を半減して、半分を国が持つ、というような形の法律を提案しているんです。

これは国会に私たち独自の議員立法として出しまして、こういうことをすることによって、中小企業の皆さんが、業容も拡大しながら、雇用も増やしていけると、社会保険料の負担も抑えることができるというような方向を目指していくことが、一番下支えになるんじゃないかと思ったからです。こういう政策も法律として提案しております。是非実現したいと思うんです。

長島 そこが肝になってるんですね。全国の中小企業の社会保険料負担は半端ではありません。かつ、取り立ては職員外への委託なんですね。

大串 そうです。だから社会保険料負担を中小企業の皆さんに重いモノだということを私たちは認識していますので、人を増やしていただくなかで、社会保険料負担を半減させて、それで増やしていただけるような形に持って行こうと、これはね是非やりたいんです。

長島 それは知らなかった。民進党がそういう政策を取っているといま知りました。

大川の家具生産地に触れた政策を

大串 この間、地方の商工会の全国大会が東京であったんです。NHKホールに各党代表が挨拶に行くんですね。野田幹事長が行きまして、中小企業社会保険料減免法案について「こういうのを私たち提案しています」と、「中小企業の皆さんを支えていきたいと思います、地方で頑張って皆さんの雇用を増やしていきたいと思います」と話をしたら、一番拍手が大きかったっていうんですよ。

長島 そうでしょうね。切実な問題です。

大串 やっぱり地方の中小企業の皆さんのニーズに応える政策として実現していきたいと思います。

長島 もう少しまともな政策ができないかと常々思ってきました。一度、政権を取りながら国民の信を民進党は失いました。やはり頑張って「頼れる野党」として政党に芯をすえる。そして二大政党になれればと思うんですね。

大串 私も田舎のまさに中小企業だらけの町の出身で、常に国民目線の政治を心がけてきました。

インタビュー時

長島 大川、諸富など家具生産地地域は昔から日本の家具業界の縮図って言われてきたんです。

大串 諸富にはいまもよく行くんです。だから家具産地の現状は再興という観点で常に考えます。金融面では、いまはゼロ金利政策で、結局、地方金融機関の体力を奪われています。実は地方金融機関から中小企業の皆さんに、金融が届きにくくなっているんですね。

だから、これをハネ返すには逆にゼロ金利をやめたほうが良いと思うんです。ゼロ金利政策だといって、それで日銀から銀行、銀行から中小企業へジャンジャンお金で出てくるようになったかっていうと全く逆なんですね。ゼロ金利になったから、地方の銀行はもう体力を奪われて、金融をする余力がないんです。こういう政策ではなく、先ほども申しましたように、例えば個人保証を必ず付けなくてもいい、無担保・無保証っていう金融を進めていくべきだと思うんですよ。

それを私たちの政策として打ち出しているんです。そういった面とか、海外に対する進出の支援なんかでいうと、ジェトロなどが一生懸命やっていると言われていますけど、もう一歩なんですね。ODAのお金に関わるのは大企業が多いんですよ。それは違うと思うんです。ODAを使ってでも、中小企業の皆さんは、いま海外に販路を拡大したいっていう方がいらっしゃる。そういう方々に政府開発援助ですから、これを使ってでも支援していくっていう枠組みは必要なんじゃないか、それが私たちの提言なんです。

何がポイントかというと、日本って何でも中央集権化してしまっていますね。役所も、補助金のあり方も、予算も、規制のあり方も、全部中央政府で決める。大企業も本社は東京ですよね。そうすると自ずと人はそこに集まってしまう。地方に人が残らないと、こういうことになってしまいます。例えば佐賀県ですけれど、九州だけを見ても十分な経済力はあるんですね。オランダとかベルギーとかと同じぐらいの経済力があります。

だから私たちは「地域主権」と言っているんですが、やっぱり中央政府が自分だけでがんじがらめにしてる規制とか、予算を地方にどんどん渡す、すると地方で独自の、色々な政策が組めるんです。そうすると州という経済力のあるところですから、人々は地方に残ると思うんですよ。

地方に、権限と予算がきちんと渡って、地方で物事が決められる、地方で産業政策が打てる、その地区なりの産業政策ができる。そうなってくると地方にも人が残るんですね。まあ、日本って富士山型じゃないですか、東京にばっかり人が集まり、物が集まり、お金が集まり、地方が低くなる。そこが違うんですね。

国民目線の経済振興と安心生活

長島 日本の構造と仕組みが富士山型なんですね。

大串 そうではなくて、台地型にすればいいんですよ。そうすると、地方は充分、私は元気があると思うんです。そういう政策をしてくれればと思います。

長島 現実にそういったものが長年慣習として形成した構造があります。そこで家具だけは私が一つお願いしたいところなんですが、大川を中心とした家具インテリアゾーン。柳川から久留米、佐賀まで含めた生産地の再構築です。

大串 結局は人だと思うんです。ドイツのマイスターのケースではありませんが、手に職を持って技能を発揮する。家具は特に伝統産業じゃないですか、伝統産業で、飯を食っていこうということを含めて、これは先ほどおっしゃったように、マーケットになりうると私は思うんです。しかし、そういう人がどんどん育って行かないんですね。この分野にとどまってくれない。そういう方々を育てていきたいというのがあって、学校の制度なんかも、専門職の人は専門職だ、こういった多様性に富んだ学校づくりが大切なんです。

いまの教育制度っていうと、良い中学を出て、良い高校を出て、大学に行って事務系に、あるいは理系にっていう話じゃないですか。そうじゃなくて、自分はこの専門的な技を基に食っていくんだと、多様性と個性のある技術を持った若者を育てていくっていうのが日本にあるべきだと思うんですね。ドイツもそうだと思います、そういう人たちが育っていけば、中小企業がこの技術をもって海外に打って出るぞと、力が加わって行くと思うんですよ。

日本は人を育てるっていうのが、この何十年と相当遅れてしまって、どうしても他の国と比べて競争力を欠いてしまったと思うんです。日本らしいよさが、まさに家具の世界なんかは、伝統の技を見せようという世界です。こういう人をきちんと育てることによって、その人たちが日本の良きものを海外に打って出られるようにする。

長島 考え方としては埼玉県の行田に「ものつくり大学」を創ったんだけど、ものすごく地味っていうか、知られてこないんですね。今話題のAIとかね、あとはエンターテインメントとかになります。基本的にはものづくりであり、技術技能なんですね。ところがウチの業界ではそれをやってきているし、例えば飛騨高山では飛騨産業という会社が周年記念を機会にして、相撲部屋みたいな職人育成所を作って、全国から若い人をだいたい10 人前後、住み込みで力士を育てるみたいにして、技能を教えています。

大串 日本のマイスター制度ですね。

長島 そうです。やはりマイスター的なことを見直していく。それと大串政調会長に頑張って頂き国民目線の政治を行って欲しい。

大串 そうですね。この何年間、デフレの日本じゃないですか、デフレの中で間違った政策をしてきたんじゃないかと思っています。高度成長期を再び求めるようなね、すなわち大企業がどんどんどんどん伸びて、大都市がどんどん都市化すると。まあこういったことが良いんだという風なことを求めた、誤ったデフレ時代ではなかったかと思うんです。本当にいま必要なのは、一人ひとりの生活を安定化させて、安心にすることじゃないかと思います。そうすると、いまなぜ皆さんがお金を使わないか、家具を買おうとしないかというと将来の不安です。年金も医療も介護も不安だ。あるいは若い世代の人にしてみると、教育も子育ても不安だと、あるいは自分の雇用も不安だ。

そんなにみんなが大儲けするような、バブルみたいな世界じゃなくて、一人ひとりの生活が、来年、再来年へと、ちょっと安定したなと思えるような生活政策ですよ。生活政策を安定させれば、「それではお金を使おうか」となりますね。、来年、再来年へと、ちょっと安定したなと思えるような生活政策です。生活政策を安定させれば、これによって国民生活は落ち着きます。

そこにみんなが力を注いでこなかった、このデフレ期だったと思うんですよ。デフレ期においても一生懸命高度成長政策を、大都市大企業向きに進めてきた。そうじゃなくていま個人の生活政策なんですよね。個人の生活を安定させ、安心化させ、潤いのあるものにする。そうすればお金は、みんな貯蓄はありますからね。お金は出てくると思うんです。消費に回ってくると思うんです。これが私は日本の活性化、特に地方の安定化に繋がると思っています。私たち民進党らしい政策として、打ち出して行きたいなと思っているんですよね。

二大政党で国の安定を志向

長島 なるほど。よく討論を聞いてても社会保障に関連して、子孫にツケを残さない。将来の子供たちに過重な負担を残さない。誰も反対する人いませんよ。しかし新幹線の東京駅から発車させてね、横浜から先、博多まで安心で行くと言いながら、横浜までの間に、多くの乗客が死んでしまったとしたらどうでしょう。子供たちは孤児になりますよ。

インタビュー時

大串 私たちはどこに一線を与えるかだと思うんですね。やっぱり私たちは、幅広い、まあ「中間層」と言いますかね、日本てもともと8割のみなさんが「うちは中流だ」と。そこが私はひとつの原点だと思っていて、大都会大企業だけに目を向ける政治から、一人ひとりの生活に目を向ける政治だ、と。こういう風な転換をしていくことが大事だと思っています。それをいかにきちっと伝えていくか、ということだと思うんですね。野党だから発信力を欠くところもあるんですけれど、幸い蓮舫さんは発信力がすごくありますんでね。女性でもあるし、蓮舫さんの発信力も活用しながら、私は一人ひとりの生活に目を向ける。それが、景気が良くなるケースに繋がる。それをしっかり訴えていくというのが、我々の一番、特に私は政調会長をしてますから、政策面から訴えるのが一番大切なことです。

長島 なるほどね、わかりました。正直なところお世辞ではありませんが大串政調会長にはがんばっていただきたいと思います。

大串 民主党政権の時はやっぱりまだ足腰が育たなかった。根っ子が育ってなかったと反省しています。

長島 また野党になって芯の有る政党になったということですね。真の国民政党として今後期待します。ありがとうございました。


この記事は紙面の一部を抜粋しています

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