《新春提言》寝具寝装品と睡眠健康を追求

寝装ジャーナル 紙面から

科学的検証で信頼高める

寝具寝装品市場では、睡眠健康をキーワードにビジネスが展開されている。2016年でも、その方向は強まった。健康と睡眠は大いにかかわりがあることは以前から知られていたが、ビジネスに直接、関わる内容でここ1、2年急速に実証研究が進んできた。

西川リビングが大阪市立大学との共同研究で、身体に合わせた敷き寝具が睡眠の質を改善すること、さらに睡眠後の翌日の疲労軽減にも効果を発揮することを科学的に実証した。今までは就寝前、就寝中、目覚めた時の研究が多かったが、この実証研究では、目覚めた後の日中の活動に睡眠や寝具がどのような影響を与えるかを研究したことが画期的だった。

西川産業・日本睡眠科学研究所は、同社の「エアー」などの4層特殊立体構造マットレスによって、▽睡眠の質を向上させる効果▽睡眠のアンチエイジング効果――を科学的に検証した。共同したのは、自律神経研究の第一人者といわれる小林弘幸氏(順天堂大学医学部教授)とアンチエイジング効果の検証では、抗加齢研究で知られる米井嘉一氏(同志社大学学院生命医科学研究科/アンチエイジングリサーチセンター教授)。自律神経関連では、同社の4層特殊立体構造マットレスを使用することで、唾液成分による概日リズム、自律神経機能など、いずれの項目でも改善がみられ、睡眠の質を向上させる可能性が示された。

このように、寝具と睡眠との多様な関連が明らかにされる中で、実際のビジネス展開では、生産、流通において、眠りの革新からの展開の流れが大きくなっている。この流れをさらに大きくしていくことが2017年の業界の課題となるのではないか。

西川チェーンが昨年開催した総会では、その意味で画期的な方針が打ち出された。より良い寝具を消費者に提供するだけではなく、寝具に対する意識を高め、正しい寝具選びができる新しい売り場の仕組みづくりに取り組むとした。

このような睡眠ビジネス展開の打ち出しの背景には、やはり、世代を超えて高まる消費者の健康志向がある。食事( 栄養)、運動、睡眠(休養)は健康の3原則で、多くの人々が正しい生活習慣を強く意識し、健康のために十分な睡眠・休養をとることに関心を強めていることがある。ここで、重要になってくるのは、十分な睡眠を支える寝具は予防医療の商材という観点だろう。

売り場づくりでは、寝具寝装品もライフスタイル提案が求められている。

欧米には様々なスタイルの寝室がある。そのようなスタイルを消費者が選べる提案が必要になってくるのではないか。そのために、寝具寝装品企業がトータルコーディネートのノウハウを売り場で展開しなければならない。そのコーディネートには、寝具以外の照明器具やテレビなども含む。


産地偽装疑惑の払拭が課題

寝室のライフスタイル提案、を実際に売り場で展開しているのが大塚家具だ。寝具寝装品をモノとして販売するのではなく、快眠をテーマにソフト提案をするのが特徴になっている。

そのため、同社は2013年に寝具寝装品を販売するためのインショップ「グッド・スリープ・ファクトリー」を有明ショールーム、新宿ショールームに相次いでオープンさせ、順次大型ショールームに導入していった。そのポイントとしては▽快眠環境を作るすべての商品がそろう▽インテリアグッズ、インテリアファブリックスに至るまで快適な眠りを約束する寝室コーディネートやアイデア満載の「ぐっすリルーム」の提案▽快眠するためのノウハウ、コツがわかる「ぐっすりラボ」▽スリープアドバイザーが常駐▽眠りの歴史に触れる「ぐっすりライブラリー」などが挙げられる。

さて、2016年は羽毛業界に、羽毛の産地偽装疑惑がマスコミで取り上げられ、業界は対策に取り組むことになった。羽毛業界唯一の政府認可団体である日本羽毛製品協同組合(日羽協)は、消費者への信用・信頼を回復するため、昨年9月に「産地対策委員会」を発足させた。経済産業省からの要請を受けたこともある。

同組合は、これによって羽毛の産地偽装を払拭し、羽毛のトレーサビリティシステムの確立、原産地の精査方法などの確立を目指している。

基本的に問題は次のようである。これは昨年に同組合の総会で発表されたことである。

第1に、組合としては産地偽装疑惑を払拭し、消費者に羽毛製品に対する信用・信頼を回復させるため産地対策委員会を発足させた。

第2に、2016年度の試買テストからラベル品も非ラベル品も組合員が製造した製品に対し、従来の品質検査に加え産地表示している場合は、産地も精査する。

第3に、試買テストに該当する場合、組合員企業にはラベル規定集に明記している原産地証明書ほか関連書類の提出を要請する。

第4に、原産地証明書を補完する方法として、国内外のアイソトープ試験方法や欧米の「ダウンパス」などのトレーサビリティの仕組みなどから日本市場に適切な手法があれば、採用していく。

このような方向で、産地偽装疑惑への取り組みは行われ、昨年末には、同組合主催の「羽毛製品講演会」を開催し、加盟企業や業界関係者に向けて、産地対策委員会の今までの活動の報告を行った。今年はさらに対策が進展することが期待される。

昨年4月スタートした寝具寝装品の国産認証制度「ジェイクオリティ」は、日本製の寝具寝装品に対する品質や安全・安心に対する消費者の認識を高めるためにも、認証取得製品が増えることが望まれる。


この記事は紙面の一部を抜粋しています

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