2017年 新春特別インタビュー:岩崎能久 氏

岩崎能久 氏
日本プラスチック日用品工業組合 理事長岩崎工業 社長

岩崎能久

聞く人
山口生人

流れは国産回帰へ

――昨年の家庭用品市場はメーカー側からみてどうでしたか。

岩崎 業界として大きなデメリットのない年でした。樹脂を中心とした原材料高や消費の冷え込みの影響は大きくは受けずモノづくりの基礎的条件は安定していました。百円均一の商品を含め、プラスチックの家庭用品は国産回帰が進んだ年だったのではないでしょうか。さらに比較的円高に向いていたのも良かった要因と考えられます。

――今年の業界の動向も変わらなそうですか。

岩崎 現時点の予想ですが、原油、ナフサも値上がり、樹脂は10%近く値上がりする可能性があります。そのような意味で、我々が関わっている完成品の値上がりも避けられず今年は厳しい年になりそうです。だからこそ、組合のメーカーは原材料高を吸収するような画期的な新製品開発に注力しなければなりません。流れは、自社工場生産、国産回帰に向かっているのでその点をうまく組み合わせていけば乗り超えられると思っています。

――プラスチック製品の素材や加工技術の進歩はどうですか。

岩崎 NBメーカーとしてブランド力を底上げしていくために新製品開発が要です。新製品開発を紐解けば、素材開発と新しい作り方が大事になってきます。

プラスチックがアメリカから入ってきて約60年経ちますが、日本では射出成型といってプラスチック原料を金型に押し込み、成形する方式が主流となっています。

当社について言いますと射出成型で製造した製品が大半ですが、今、開発している新製品は射出成型とブロー成形を組み合わせた製造方法を取り入れています。当社の主力製品であるピッチャーやタッパーなどのプラステック製品は“中身が見えやすい”、“洗いやすい”、“清潔に保てる”、そして“使っていない時にどうしたらコンパクトに収納できるか”がポイントになってきます。そういう画期的な製品が今、素材や加工技術の進歩で進んでいます。よく冗談で「だからマイナスチックではなくプラスチックだ」と言っているのです。

インタビュー時

――他の業界と比べても大きな進歩があるのですね。

岩崎 自動車産業からもプラスチック素材の可能性に注目が集まっています。故にガラスや金属などの素材と比べてプラスチックは開発のスピードが速いのでしょう。

大きな流れとしては、日本の技術でオンリーワンの製品を作り、海外市場でも売り負けない製品が出てきています。当組合で運営している『プラスチック日用品優秀品コンクール』は昨年で35回目を迎えました。経産省、消費者庁、特許庁、デザイナーなど外部の方々から審査して頂き、年々基準が上がっています。参加する組合メーカーの開発レベルも切磋琢磨され、海外でも十分通用するレベルまで上がってきています。

細かな流れとしては、物性などのハード面と主婦が使いやすいなどのソフト面の強化に取り組んでいます。例えば、当社ではユーザーの「こういう機能があったらいい」という希望をメーカーのモノづくりの基準にしています。今、当社では、保存容器のシリコンゴムの替えパッキンの需要は年間3000本ほどあります。シリコンは無機物で食材の汚れなどが浸み込んできてしまうからです。「岩崎工業だけでこれだけの需要があるということはきっと全国の主婦の方々は、パッキンの汚れに困っているのでは」と仮説を立て、シリコンゴムに変わるパッキンをプラスチックで作ろうということになりました。

組合メーカーとしても消費者が困っている事や願望をディファクトスタンダードにして新たな素材や加工技術の力で変えていこうという動きが強くなっているのではないでしょうか。

海外に打って出るチャンスの年に

――主婦の方に人気があったベリーグッズは昨年は開催されませんでしたね。消費者向けの展示会などの今後の働きかけはどうですか。

岩崎 ベリーグッズは一般消費者に販売することが目的ではなく、取引先も含めたユーザーの方々から意見を聞く貴重な機会です。商品開発のための情報収集として有意義な展示会です。我々組合メーカーは完成品を作っているので、ユーザーの意見を反映しやすい。費用はかかりますが、今年はぜひ、開催したいと思います。

――2017年の組合の新たな動きはありますか。

岩崎 今年の3月を目途に我々組合のSNSがスタートします。先程も言いました日用品コンクールに入賞した商品の情報発信をしたり、各社が順々に自分たちの製品のことやデザインについてなどを一般消費者の方々に伝えていき、たくさんの「いいね」を集められるサイトを作っていこうとしているところです。

もう一つの動きとしてプラスチック製品自体に英語表記が出来るようになりました。消費者庁の方々と意見交換した時に認められたのですが、まずは当社が始めることになります。今まで、製品の裏に日本語のみのクレジット表記でしたが、これからは日本語と英語のダブル表記になり海外市場を視野に入れた製品開発・営業展開が出来るようになりました。

組合メーカーも少しづつ、国産比率が高まり、輸出マインドも高くなってきています。SNSや製品表記から日本製の良さを知ってもらい、海外にも打って出るチャンスの年にしていきたいと考えております。


この記事は紙面の一部を抜粋しています

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岩崎工業株式会社ウェブサイト

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