
長閑な農村部に家具生産企業Noite社が地元雇用を重視
視察日程も終わりに近い4日目の6月3日、農村地帯と思われる畑と森林が広がる一角に、ポッと平屋の家具工場が広大な規模で構えていた。ロケーションは見ゆる限りの畑と林、その間の道のときをり、ちょっとした町とも思えない煉瓦造りの集落があった。ドイツに限らないが、欧州の国々の農村部、まさに自然のなかで落ち着いた営みを代々続けてきている。
この地域に数社の家具工場がある。視察したNoite社もその中の1社だった。家族経営で創業は1932年、視察した昨年で83年の社歴を持つ。従業員242人、工場の敷地は6,000m²、先記し平屋建ての工場でキャビネット、クローゼット、寝室のトータル家具を生産する。
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生産加工したパーツをスキャナーでチェック、どこか間違いや欠陥があると音を発する自動ラインが組まれていた。販売店でユーザーが購入すると、希望するルームのコーディネートスタイルや製品図が同社に届く。それをパーツ選択し、説明書を付けてバイインググループの納品する。部品の素材の多くは樹脂で、ずらりと並んだ棚ごとに同一の部品が置かれていた。区分の見分けは部品棚のカラーで、どういう部品が何色の棚にあると判別していた。主材はパーチクルボードを使用。
部材棚は薬局の薬棚のような感じで、業界で似たような在庫システムはウオチ産業(群馬県桐生市)だった。同社は販売店の販促物や補修用品、デスクマット、テーブルマットなど多彩に扱う。その製品棚に似た部品棚がドイツの家具工場にあった。従業員は工場内にそう多くはないが、要所ごとに機械生産、手加工をしていた。8時間労働だという。
同社のポイントは企業が存在する、ウェストテーリアン地域の人達に働いてもらうことだという。デュセルドルフやケルンの東内陸部、ファーレン州はノードライン河の北側に位置している。貴重な地場の雇用企業であることを自認していた。製品はベッドルーム、収納製品を二つのグループに分けて生産していた。
(続く 長島)
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こちらの連載記事は2016年9月5日号、15面より抜粋しました。