リビンズ社長 松下雅人 氏 2017年新春特別インタビュー

松下雅人 氏
リビンズ社長

松下雅人

聞く人
前屋敷稔

高付加価値商品で豊かな住生活を提案

――2016年の活動と業績は。

松下 2016年の6月期決算では、売上高は前期比微減で最終損益は黒字という結果になりました。個人消費が低迷し、為替レートの変動などの外的要因が影響を及ぼしています。

輸入している自主開発商品は為替相場が期中、円高に振れたので決済レートを下げ、加盟店へも決済レートを下げざるを得ず、相対的に売価が下がり、売上高減少の要因になりました。

――事業分野別では。

松下 海外商品の直輸入分野については、高付加価値の定番商品を前期に引き続き開発してきました。

コストパフォーマンスが高く、徹底した品質管理で安定品質の商品を供給できる、これが私たちの強みです。

現地メーカーと安定した、強い関係を築くために中国・深圳、ベトナム・ホーチミンに海外事務所を設けています。

このような中で、総売上高に占める海外商品は50%にまで高められました。

――物流システムも重要ですね。

松下雅人 氏

松下 商品の安定供給には、構築してきた物流システムが大きな力を発揮しています。九州・大川には、国内はもとより、海外商品をコントロールする大型物流センターが稼働しています。

物流センターに商品を在庫し、コンテナごとに検品し、全国の加盟店へ効率的に商品を供給することで大幅に配送コストを抑えています。コンピュータシステムにより、速く確実に物流の管理を行っています。

したがって加盟店は安心して販売できます。土、日に受注した商品は、何日後に配送できるか、物流センターは即答できます。地域により異なりますが、日曜日受注した商品は最短で、その週の火曜日に加盟店に届けられます。

このように、加盟店へ商品を安定供給できる物流システムを、構築してきました。その精度を高めてきました。

――リビンズさんといえば、加盟店とは別に入会基準を簡素化したエルコム事業がありますね。

松下 リビンズの販売戦略としては、売上拡大のために、エルコム事業があるのですが、売上拡大のため、2014年から、インターネット上における業者間取引サイト「スーパーデリバリー」にも出店しています。リビンズの加盟店やエルコム会員ではない企業に対して、入会を勧めています。

リビンズパートナーズ事業に注力

――2016年の事業では新規取り組みがあったのでは。

松下 2016年10月から、新しい取引形態の「リビンズパートナーズ事業」を開始しました。

現在、私たちが運営している取引形態は加盟店とエルコムがあります。扱うのは自主開発商品ですが、これらの2つの取引形態で、自主開発商品の2割しかカバーできていません。残りの8割をどのようにカバーしていくか。そこで考えたのが、リビンズパートナーズなのです。

リビンズをさらに強固な組織にしていくために取り組みます。

――その内容は。

松下 リビンズは協同組合として発足以来、50年にわたり、協同仕入れや協同販促を中心に事業を営んできました。活動する中で、加盟店の規模や販売施策の違いによって生じる、多様化したニーズに対応するため、また国際的な取引の拡大に対応するため、株式化を図り、海外商品の開発や商品供給だけではなく、売り場提案するためのノウハウの構築などに積極的に取り組んできました。

業界再編の流れが出てくる中で、リビンズは再編の核になるため、加盟店とは別に入会基準を簡素化した「エルコム事業」を16年前に開始しました。

今回発足させた、リビンズパートナーズは、私たちが自信をもって勧める自主開発商品のみの取引に限定し、その代わりに会費を下げて、より多くの取引先を募ります。

すべてリビンズのオリジナル商品のため、競合店と差別化でき、整った物流システムで安定した商品供給ができます。

――リビンズパートナーズに入会するには。

松下 従来のエルコム入会時には、入会希望する企業の過去3年間の決算書を審査しました。貸し倒れのリスクを避けるためですが、リビンズパートナーズでは、それをなくしました。決済代行会社を通すことで、決算書審査を省いたのです。加入審査が簡素化しました。

――ほかに加入基準は。

松下 加入対象は、家具店やインテリアショップなどの実店舗になります。ネット販売企業は対象外です。

商圏については、リビンズ加盟店、エルコム加入店と競合していない。これも基準です。

また、リビンズ加盟店、エルコム加入店と強調し、積極的にこの事業に参加してくださる人を歓迎します。

――リビンズパートナーズの反応は

松下 2016年末で家具小売業者から3社、入会申し込みがありました。ちなみに、そのうちの1社は、東日本大震災で津波災害に遭った家具小売業者で、住宅需要増に伴うインテリア需要の高まりが期待されます。

――2017年の事業方針は。

松下 私たちの事業目的は販路拡大です。それで、新規事業のリビンズパートナーズ事業拡大を大きな目標に掲げています。展示会などで出展しアピールしていきます。リビンズパートナーズは、加入基準がエルコムに比べ緩いので、加入交渉が早く進むでしょう。

―― それ以外の事業は。

松下 これからのインテリアは、生活全体を豊かにするデザイン、品質が求められると考えます。加盟店、エルコム加入店は価値が高い自主開発商品を販売してきました。しかし、単品でのアピールでは消費者のインテリアニーズは掘り起こせない。その考え方から、展開してきたトータルコーディネートブランド「イエノワ」は、見直し、シリーズ展開を強化していきます。

学習デスクのオリジナル「kiduku」は、市場は縮小している中でも、品質は高いが、値頃で通年で使える需要などを掘り起こせます。このデスクを強化し、エルコムやリビンズパートナーズ加入の契機にできればと考えています。


この記事は紙面の一部を抜粋しています

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