
ニューヨーク生活用品見本市に出展
アカセ木工 ( 岡山県浅口郡、藤井幸治社長)は、8月下旬に米国・ニューヨークで開催された、北米最大級の生活用品・ギフト商品の見本市「ニューヨーク・ナウ・サマー2016(NYNOW Summer2016)」に家具を初出展した。
同社は今まで国内での販売を中心に事業展開しており、海外での販売は特に実施していなかった。それでも、近年、米国でも靴を脱いでくつろぐスタイルが徐々に増えつつあり、圧迫感のない背丈の低い家具が注目されると考え、今回の出展に至った。

同社は、北米産ウォルナットを使った「マスターウォール(MASTERWAL)」ブランドを展開しているが、同ブランドは精度の高い機械設備と、木のプロフェッショナルの感覚や感性によるハンドワークで仕上げられているのが特徴だ。
同ブランド製品はすべて受注生産で、加工や仕上げ、梱包までの工程を一貫して自社で行っている。
今回展ではこうした特徴に加えて、ロータイプの家具をメインにした日本独自の生活スタイルを提案。マスターウォールブランドの中でもロングセラーの家具を中心に、日本のリビング・ダイニングをイメージしたコーディネートを紹介した。会場で紹介された家具のうち、「ワイルドウッドエンタク(WILDWOOD ENTAKU)」は、古くから日本の食卓の中心にあった座卓を現代的な姿でよみがえらせたシンプルな円形リビングテーブル。どっしりとした印象の脚は高さを2段階で変えることができ、部屋やシーンに合わせたアレンジが可能。家族が集う時間を温かく演出する。
また「モノソファ(MONO SOFA)」は、ウォルナット無垢の頑丈な骨組みに、たっぷりとしたクッションを合わせたソファ。クッションを支える背板には幅広のウォルナットを贅沢に使い、後ろ姿も美しく仕上げた。一般的な製品より高さが約10cm低くできているのが特徴だ。
これらの製品でシンプルで無骨な雰囲気のなかで、ラグジュアリーな座り心地が味わえる日本ならではの床に近い生活スタイルを会場内で提案した。
同展は、全世界から2,000社を超える出展数があり、来場者数は数万人となった。

アカセ木工ブースを訪れた来場者達は、日本と同じように家具販売店やインテリアショップのオーナーが多く、同社製品サイズの低さについて関心を持ったようだ。特に、米国の標準サイズとの相違が最先端のインテリアショップのオーナーやインテリアコーディネーターの人たちから、「低さ=新しい感覚」として好評価が得られたと同社。彼らは現地の他の家具店やコーディネーターに紹介したいという声も多かったということだ。
このように、同社ブースを訪れた来場者達から多くの反響をもらい、全米、全世界のバイヤーにマスターウォールを認知してもらう絶好の機会になったと同社。また、日本と同じような流通チャネルからの期待の声も高く、これから家を建てようとしているファミリー層への訴求が可能という感触もつかめたとしている。
今後は、北米で製品の提案ができる場を持ち、海外展開の基盤づくりの積極化を予定している。そのためにも、物流・流通面の整備を大きな課題とし、小ロット・低価格で製品を届けられる仕組みを早急に構築する必要があると同社。
現在、ニューヨークの同社ショールームに実際に同社製品を展示しているが、今後も販売店への取引拡大に努めていくとしている。加えて、海外顧客に向けて、インターネットでの販売も強化していく計画もあるようだ。
また、ウォルナット材の産地である米国に基盤を置くことで、製品の品質向上にも寄与できると同社は考える。
品質とデザイン性の高さはもちろん、日本の生活や視点を加えた提案やブランディングも進め、米国での可能性を切り開いていきたいと同社。

同社は1961年、岡山県笠岡市で創業。婚礼家具を中心に製造してきたが、1994年にオリジナル収納家具の製造に着手。翌1995年にはシステム収納家具「シトラス」でグッドデザイン賞を受賞している。
また、1997年から輸入家具販売に着手。2006年からマスターウォールを展開しており、東京はじめ、名古屋、大阪、岡山など9カ所で自社ショールームを展開している。
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この記事は紙面の一部を抜粋しています