nat(東京都中央区、劉栄駿代表)は2025年8月29日付で、インテリア人材育成と設計デザインで知られる町田ひろ子アカデミー(東京都港区、町田ひろ子代表)の事業を吸収分割により承継したと発表した。人材育成事業および設計デザイン事業を自社に取り込み、空間関連サービスの提供を拡大する。譲渡価額は非開示。
町田ひろ子アカデミーは1978年創設。日本で初めて「インテリアコーディネーター」と「モデルルーム」の概念を提唱し、累計1万4千人超の卒業生を輩出する専門スクールだ。教育理念「はじめに暮らしありき」のもと、実案件への参加を通じて即戦力を育成してきたほか、一級建築士事務所として“青山スタイル”ブランドを冠するリノベーションや、「賢く美防災」のコンセプトを取り入れたプロジェクトでも評価を得てきた。今回の承継後もブランドと教育方針は維持し、ホテルや福祉施設、富裕層向けのコーディネートなど高品質なサービスを継続する。
人事面では、町田ひろ子氏がnatの上級顧問兼アカデミー校長、町田瑞穂ドロテア氏がnatの執行役員CDO(Chief Design Officer)に就任。両氏の設計・教育ノウハウを、natのiOS高精度3Dスキャンアプリ「Scanat(スキャナット)」の設計機能に注入する。Scanatはmm単位計測を特徴に、建設・不動産・製造などで700社超が採用、47都道府県に導入実績を広げている。natは新コースとして「Scanatの3DモデルからCAD図面作成ができる人材」の育成プログラムを開設し、教育・設計・現場を直結させる“循環型”の人材供給と業務プロセス高度化を図る。
natは2019年創業のテック企業として、3D領域とアプリ/システム開発を軸に「IMPACT THE SOCIETY」を掲げる。今回の承継で、同社のデジタル基盤に町田ひろ子アカデミーの“対人・対空間”の実践知を重ね、設計支援から人材育成、実務運用まで連続性のあるバリューチェーンを構築する。今後はM&Aや新機能開発、人材採用への投資を継続し、事業拡大のスピードを上げる方針だ。
一方、町田ひろ子アカデミー側は、教育現場に早くからCADや3Dシミュレーションを導入してきた経緯を踏まえ、Scanatによる空間把握・共有の革新が「エビデンスベースド・デザイン」を加速させると強調。証拠に基づく設計提案を医療・福祉領域など実プロジェクトで検証してきた蓄積を、デジタルと掛け合わせて拡張する構えだ。アナログとデジタル、教育と現場、プロダクトとサービスの各断面を束ね、“暮らしの質”を起点とする市場創造に踏み出す。


