
インテリア、住設業界に特化した短期派遣、人材派遣を専門に手掛けるヘヤゴトヒューマンサテライト(東京都品川区、宮島一郎社長)。主に家具店、店外催事、ショールームを対象に事業展開を拡大している。同社のサービスを長期にわたって請け負うインテリアコーディネーターの兒玉宏枝氏に、同社における職務内容の詳細を訊いた。
――まず、兒玉さんの簡単なご経歴についてお教えいただけますでしょうか。
兒玉 インテリアの専門学校で学んだ後に、住宅メーカーのインテリアコーディネーターアシスタントの募集があり、まずはそれに応募して約半年間、アルバイトとして勤務しました。主に住宅の内装材や照明設備などのプレゼンボードを作っていたほか、100分の1サイズの完成予想模型の製作も担当していました。その後、登用試験を経て正社員になったという流れでしたね。
登用後は新築住宅を担当した他、住宅展示場のモデルルームのトータルコーディネートを手掛けたり、外注のインテリアコーディネーターさんの管理、振り分けも担ったりしていました。この時も、好きだった模型製作を継続して行っていました。
ただ、高額物件を扱う住宅メーカーでしたので、当時私も若く、インテリアの資格も取得前だったため、対応するお客様への説得力が不足していると感じていました。名刺の肩書も「インテリアアドバイザー」となっていたことが、ずっと気になっていたのです。インテリアコーディネーターの資格を取ろうと思い立ったのは、そのことが出発点でした。
その後資格を取得して約10年、その住宅メーカーに勤めた後、出産を機にフリーランスでの仕事に切り替えました。フリーランス以降は子育てや介護なども重なってきたのですが、他の資格取得の学校にも通いながら、二級建築士や福祉住環境コーディネーター二級を取得しました。
――ご経歴をうかがうと特に注文住宅のコーディネートが得意かと思うのですが、これまでの経験はヘヤゴトさんでの仕事にどのように活かされているのでしょうか。
兒玉 インテリアコーディネーターの仕事は、外装材、内装材、設備、照明、カーテン、家具までトータルに関わることができるので、自分の知識を活かすことができていると実感しています。例えば天井高や工法を考慮に入れながら家具選定を行う、といった事です。ヘヤゴトさんからのお仕事は現在、主に店外催事に来場されたお客様のレイアウト相談対応がメインで、お客様がお持ちになった平面図を見ながら好みをお聴きし、その空間に合う家具を紹介させていただいています。
また、ヘヤゴトさんの仕事を通じて、様々な平面図を見ることができるので、「このハウスメーカーはこのような間取りが、このマンションデベロッパーはこんな空間づくりが好きなんだ」といった新しい情報にも触れることができ、とても楽しく仕事させていただいています。
イベント会場によって、来場されるお客様の住宅にも傾向があります。例えば東京ドームシティでのかねたやさんの催事に来られるお客様は、割とコンパクトなマンション、タワーマンションを購入されたお客様が多いです。
あとは、23区外の戸建ての方もいます。23区内は狭小住宅も多いので、搬入ができるかといったご相談に乗るのも仕事の一環です。
――あのような催事にはいろんな家具メーカーが出展しています。細かな商品情報、例えばソファの脚を着脱できるのかとか、搬入に関係する情報はどうやって得るのですか。
兒玉 催事に参加されているメーカーさんと直接コミュニケーションをとって教えていただく事がほとんどですね。参加される担当者さんは毎回同じであることが多く、参加すればするほど仲良くなれて、色々なことを教えていただけるようになりました。イベント会場の仕事の時はできるだけ早い時間に行くようにして、各メーカーの担当者さんから、新製品情報などを教えていただく時間を作るようにしています。
――ヘヤゴトヒューマンサテライトのサービスに出会ったきっかけについて教えてください。
兒玉 コロナ禍が始まるまでの約7年、パナソニックさんのショールームに勤務していました。しかしコロナ禍によって来場者の減少やオンライン接客が増加したことに伴い契約終了となったので、求人サイトを探していたのです。そして、立ち上げて間もないヘヤゴトのインテリアコーディネーター募集のサイトを見つけました。それがきっかけですね。
――ヘヤゴトヒューマンサテライトのインテリアコーディネーターに登録して、得られるメリットなどについてもお伺いできますか。
兒玉 各メーカーさんの勉強会や研修会にも参加することもできますし、催事など様々な仕事に従事し、どのような仕事が自分に合うのかを探し当てて、今に至っています。仕事を通じて自分に合うスタイルの仕事が見つかることもメリットですし、私にとっては何よりいろいろな方に出会えたことが大きいです。インテリアコーディネーターとして家具の知識はあまりなかったのですが、研修やお仕事を通じて製品について学べたことはとてもよかったと思います。
また、ヘヤゴトさんを通じて東京の石塚家具さんのイベントに参加した時の話ですが、当時の店長さんの販売手法を学ばせていただきました。ご近所の高齢の女性が買い物途中に店に立ち寄られたのですが、その方は小さなキャビネットを気に入られ、購入を悩まれていたのです。
その際に店長さんが「この色だったらお客様の部屋に合うし、あそこにあった家具をこっちに動かして置くことができるので、今度伺ったときに模様替えしてあげますよ」といったように、そのお客様の好みや間取りも把握されていたのです。このように、お客様の住まいに足を運ぶ寄り添い方に感銘を受け、お客様に寄り添える仕事をしていきたいと改めて感じましたね。
――インテリアコーディネーターさんで、ヘヤゴトのサービスに登録を検討されている方に、メッセージなどをいただけますか。
兒玉 様々な仕事に触れる機会が得られますので、ひとまず依頼が来たものは全部受けてみるというスタンスでも良いのではないかと思います。依頼を受けて派遣された場所で、新たな発見がありますからね。とりあえず一旦受けてみる、やってみる期間を設けてみて、そのうえで自らの長所を活かせる場所を探すのが良いかと思います。
――最後に、本サービスに登録した場合の給与、報酬についての目安を教えてください。
福垣内 報酬については、ヘヤゴトヒューマンサテライトの福垣内よりお答え致します。
当社は、インテリアコーディネーターの方は時給1500円以上とし、一般的な販売や事務等の業務の時給よりも高めに設定しています。厚生労働省が発表している職業安定業務統計の求人賃金の基準値や地域係数などに鑑みて、それを上回るところで標準報酬額を決定しており、おかげさまでサービス開始から約6年が経ちましたが、厚生労働省が発表してきた基準値を一度も下回ったことがありません。
インテリアコーディネーターの方の中には、結婚・出産を終え、扶養の範囲での働き方を希望する方が多くいらっしゃいます。特に家具の販売系ですと、土日祝の派遣依頼が多く、インテリアコーディネーターの希望と合致するケースも多いです。また、一つの職場に縛られず様々な職場での就業を希望する方が多いのも特徴かと思います。そのうえで長く登録いただいている方、クライアントからの評価が高い方などは、標準よりも報酬を高く設定することもあります。様々な働き方に対応できる点が当社の強みであると捉えています。
今後も報酬については、より付加価値をつけてクライアントからいただく報酬を増加させつつ、インテリアコーディネーターの方々へのお支払いもスキルや経験に応じてお支払いする体制づくりに取り組んでまいります。先ほど兒玉さんがおっしゃった、「依頼されたらやってみる」という姿勢は、当社にとって本当にありがたいです。当社や当社のクライアントの要望に積極的にお応えいただける方は、報酬もより高く設定させていただきたくことも推進してまいります。
――お忙しい中、多岐にわたりお話しいただきました。本日はありがとうございました。
(聞き手 佐藤敬広)