【プロポステ2025レポート(1)】PARA社、展示テーマは女性の歴史 コンセプトから多彩なデザインを創造

2025年5月6日から8日にかけての3日間、イタリアのコモ・チェルノッビオにあるヴィラ・エルバを会場に、ハイグレードなテキスタイル展「プロポステ」が開催された。連載で、プロポステに出展した各企業の製品やコンセプトに着目し、テキスタイルのトレンドを掲載する。

PARA社は1921年にイタリアで創業された老舗テキスタイル企業で、毎年同展のAla Lario 34番地に出展している。インドアも手掛けるがアウトドア張地に強く、数少ないアクリル原着糸を製造できる企業だ。

同社の今年のテーマは、「女性たちの物語、アートと科学に生きる自由な女性たち」というもの。コンセプトからデザインを起こすという、同社のソリューション提案力を来場者に強く訴求した展示となった。同社のマーケティングマネージャーであるLuca Bottaro氏は、「歴史的に女性は科学や芸術など多くの面で活躍してきたが、その業績が語られることは少なかった。当社はそんな自由な精神を持ち、挑戦を続けた3名の女性たちに着目した。各人の人生や作品にインスピレーションを得て、新しいテキスタイルコレクションを創出し、今年のテーマとした」と語った。

具体的には、Marianne North氏はボタニカルアーティスト(植物画家)として世界を旅し、自然の美しさを記録した。彼女からは植物をモチーフとした、強い色彩のテキスタイルが生み出された。

Amalia Ercoli Finzi氏は、イタリア初の女性航空宇宙工学卒業者。同氏からは繊細で水彩画のようなラインと、理知的なトーンを活かしたデザインが生まれた。

Shelia Hicksはテキスタイルアーティストで、織物の芸術性を高め、抽象的な作品に挑戦を続けた。彼女からインスパイアされたテキスタイルは肉厚で、立体的、部族的で温かみのある色合いだった。同ブースには終日多くの来場者が押し寄せ、商談が活発に行われた。(長澤貴之)