第31回プロポステ展開催 家具用張地に焦点、華やかな家具が中央に

イタリアのコモ湖畔に建つ、ヴィラ・エルバで開催された第31回プロポステ展は5月2日の初日、荒天ながらも盛況となった。各ブースにバイヤーが訪れ、中央エリアは来場者でごった返した。各ブースには、ジャカード、ベルベット、プリント、エンブロイダリー、など様々なテキスタイルが展示された。色合いはシンプルなものから、色彩豊かでデザイン性に富むものまで幅広い提案が行われた。日本のウィンドウトリートメント市場は、防炎や遮光、ウォッシャブルなど機能に重きをおく傾向があるが、おおよそ半数近くの製品がなんらかの独自機能を有していた。またエコテックス認証をはじめとする環境保護への取り組みついてはスタンダードとなった感があり、あえて強調する企業は減った。

今年は昨年から1社増え、全部で79社が出展した。イタリア企業はうち31社で昨年から微増。海外からはベルギー、フランス、ドイツ、トルコ、インドなどが参加、イタリアの伝統的な織物企業の存在感を示しつつも国際色の強いテキスタイル展となった。

入口入ってすぐの中央エリアには各社の張地が適用されたサンプル家具が並ぶなど、これまでにない取り組みがおこなわれた。例年出展企業の過半数が家具用張地を扱っているが、今年は一層強調された形だ。ジェネラルディレクターのマッシモ・モジエロ氏は、「張地が実際の製品に適用されたとき、どのような姿となって人々の目に映るのかに重点を置いた結果だ」と語った。また、今年はとりわけアウトドア家具の張地の展示も盛んにおこなわれた。EUを中心としたアウトドア家具需要の伸びが背景にある。

出展企業の主な顧客はドイツやイギリスを筆頭にEU及び、アメリカが中心。日本との取引を望む声はあるものの、既に繋がりのある企業は少数に留まった。また、今年はスペインのアクアクリーン社が初出展した。同社製品は水をかけることであらゆる汚れを除去できる機能性張地で知られる。日本ではサンゲツが窓口となって、アクアクリーンの名称で各家具メーカーに供給を行っている。近年では日本のコントラクト市場でも大きな伸びを見せている。

同展は例年、数社のスタートアップ企業を招聘するが、今年もイタリアから4社参加した。ペットボトルやテキスタイルをリサイクルした素材で、テキスタイルの表面を加工するソリューションを提供するCDC Studio社は昨年に引き続き出展。
赤道を中心に成育するパンヤノキから採れる、カポック繊維を使って布団の詰め物や、テキスタイルを提案する企業もあった。Fili Pali社では、繊維の染色に大理石のパウダーを訴求した。染色の過程では通例、排水による環境汚染が懸念される。同社のパウダーによる染色は環境の負荷が少なく、多くの来場者の注目を集めた。

初日の夕方6時から、会場に隣接するヴィラ・アンティカでは、来場者と出展企業を歓待するパーティも開催された。2年前に弊紙が招待を受けた時はコロナが猛威を奮っており、パーティは外で簡易に行われただけだった。バイヤーと出展企業が音楽を背景に、商談するなど、かつての賑わいを完全に取り戻していた。なお、次回開催は2025年5月6日から3日間の開催となる。

(長澤貴之)