サークランドの家電家具レンタルサービス「かしてどっとこむ」 単身層の需要が増加中

家電・家具のレンタルサービスを展開する「かしてどっとこむ」を運営するサークランド(東京都江戸川区、佐久間真人代表)が、新生活に備えた家電・家具レンタルサービスを強化している。

同社は主にエンドユーザーにむけた家電・家具のレンタルを行っており、レンタルラインナップは100種類以上。新品および中古品のアイテムを取り扱っている。中古品は新品に比べて安価にレンタル価格を設定。レンタル期間は30日から4年までだ。延長も30日から4年までとし、一部買取サービスも行っている。

主に単身世帯をターゲットとした製品を多く取り揃えており、顧客の年齢層は30代~50代が主だ。単身世帯やファミリー世帯問わずレンタルの要望は多いが、昨今では特に首都圏の単身世帯からの契約が増加している。

「かしてどっとこむ」のサービスでは、新品と中古品ではおよそ7:3の割合で中古品の方が需要は高い。例えばベッドについては、「フレームは中古品で構わないが、マットレスは新品がいい」といった声が多いようだ。しかしながら、新品のレンタル需要も増えてきている。中古品だと抵抗感があるというユーザーが、費用をプラスして新品をレンタルするといったケースも増えつつあるようだ。

契約のうち、家電と家具の割合は7:3ほど。そのうち、家具のみのレンタルというのは少なく、家電のみもしくは家電+家具のセットでの契約が多い。買取より延長で契約するユーザーも多くみられる。

「かしてどっとこむ」のサービスのうち、家具で多くレンタルに出るのがベッドだ。単身赴任、学生のひとり暮らしなどの需要によるもの。ベッドだけでのレンタルというわけではなく、冷蔵庫などの家電とともに、ベッドやカーテンなどを求めるユーザーが多い。

同社で扱っている家具は、一部はメーカーのプロパー品、一部はOEMでの商品で、これについては海外で生産しコンテナで輸入している。プロパー品の割合が多いが、繁忙期にはメーカーのキャパシティを超える需要があるケースもあり、サービスに供給できなくなる可能性がある。したがってメーカーの在庫を使いつつ、OEM品も同時に併用することで、在庫をコントロールしている。

家具については、レンタルの配送先ごとに取引先を選定しているという。地方ごとにメーカーを変えることで、輸送のコストなどを抑えることがねらいの一つだ。

家電は国内メーカーのプロパー品を選定しレンタルしている。サークランドの独自のアイテムはなく、全てメーカーによるプロパー品だ。

同社北関東営業所

このようなサービスが展開できる背景として、サークランドが全国各地に倉庫+配送センターを設けている点が挙げられる。また同社の強みといえるべき点が、配送を基本的に自社のスタッフですべて手掛けていることだ。山間部など一部を除き、自社スタッフが配送してレンタル品を設置。不具合やレンタル後の回収なども、全国の拠点スタッフが行う。

サークランドの業績は、毎年前年比を超える売上をあげており、サブスク・レンタルのマーケット自体も年々広がっている感触を得ているという。「家具家電のレンタルの認知が広がってきています。同業他社の参入も多いですが、購入して運搬するよりも、レンタルして配送設置サービスを頼むニーズが広がってきました。消費者の意識が変わり、”とりあえず買う”というマインドから、”レンタルできる”という選択肢を見つけていただく方が増えました」と、同社営業企画購買課の小林竜士課長は分析している。

昨年のレンタル受注件数は全体で約20万件。11年前の2013年は年間で3万3000件だったため、約10年で6倍近い受注件数の伸びを見せたことになる。この受注の伸びについては、コロナ渦をきっかけに爆発的に伸びたわけではなく、コンスタントに安定して業績を伸ばしている。サブスクという単語が一般にも浸透してきており、定額で利用するサービスが家電や家具に波及している時代の流れも、レンタル利用を後押ししている一つの要因だろう。

レンタルアップ品の販売店も展開

同社はかつて、レンタル終了後の中古品については廃棄していたが、近年はレンタルアップ品の販売店を関東に4店舗整備し、安価での販売をスタート。今後も徐々に店舗数を増やしていく方針を立てている。

エンドユーザーへの認知拡大については、地上波TVでのCMを地域限定で放映しており、反響は大きいようだ。SNSでのマーケティングも取り組んでいる。

全国に営業所と配送拠点を構え、自社スタッフが商品配送し、利用期間中のサポート体制を整えている点を、他者との差別化のポイントとして掲げるサークランド。小林氏はサブスク・レンタルの今後について「マーケットの規模は、今よりも圧倒的に多くなり、一般化に近いところまでいけるのではないでしょうか。“買う”から“借りる”に市場の認知がシフトしていくとみています」と話す。今後はファミリー層も視野にアイテムラインナップを拡充し、より多くのユーザーのニーズに対応する提案につなげていく。

(佐藤敬広)