
住宅業界を取り巻く環境が変化する中、工務店の“デザイン力”や“提案力”の強化が急務となっている。そんな背景のもと、フォーディーコーポレーション(東京都新宿区、小幡毅代表)が展開するインテリアコーディネートショップ「スタイリクス」が、工務店向けに提供を開始した新サービスが注目を集めている。単なる「コーディネーター派遣」ではなく、仕様決めから家具納品、トラブル対応までを一貫して行うトータルコーディネート支援サービスだ。
背景にあるのは、住宅業界で深刻化するコーディネーター不足と仕様決めの属人化問題だ。多くの工務店では、営業担当がコーディネート業務まで兼務していることも少なくなく、「知識不足」「提案力の差」「手戻り」のリスクが常態化している。ここ数年、施主自らがインスタなどを通じてフリーランスのコーディネーターに相談するケースも増加。しかし、フリーランス側にも「小規模な工務店には営業が回らない」という課題がある。
これまでスタイリクスでは、モデルルーム制作などをきっかけに、個別に工務店と関わるケースがあったが、今回のサービスでは明確に「事業」としてパッケージ化。同社の小幡毅代表は「一件ごとの“ワンショット対応”ではなく、我々から明確な価値を提案できる仕組みにしたかった。建材の好みや標準仕様、提案方針などを事前にヒアリングし、その工務店さんごとに合わせたコーディネートを行う。したがってそれぞれの工務店の方々にも、“社内のスタッフ”と同じ感覚でサービスをご利用いただける」と話す。このサービスでは、インテリア提案から納品、組み立て、トラブル対応まで一貫して対応。さらに、家具の売上も工務店側に計上されるモデルとなっており、工務店の新たな収益源としても期待できる。
スタイリクスには、自社でトレーニングを受けたインテリアコーディネーターが在籍。現在は3~4名体制だが、今後の需要次第で拡大を見込む。打ち合わせも基本的にはオンラインで完結し、全国対応が可能な点がポイントの一つだ。また同社の強みは、家具調達のスケールにもある。500ブランド・10万点以上の取り扱い実績があり、通常の工務店が個別に揃えるには数年かかるラインナップを、迅速に提案・提供可能な点が特長だ。
小幡氏は「家具の納品まで対応できるからこそ、完成時には“箱だけ”ではなく“中身まで整った状態”で引き渡せる。これは施主満足度や紹介の観点からも大きな違いだ」とし、「これからの注文住宅は、件数減の中でいかに客単価を上げ、顧客満足を高めていけるかが鍵。内装・家具までをしっかりと提案できる体制を持つことで、体験価値が大きく変わるだろう。引き渡し時に“空の家”ではなく、“暮らしごと”渡すことができるというサービスの価値に、ぜひ注目してほしい」と、サービス内容の充実について意気込みを語った。
同社ではサービス展開の開始に伴い、今後のPR展開と提携戦略として、住宅系展示会への出展も検討中だ。また、工務店向けのコンサルやクラウドツール提供企業との提携を視野に入れながら、事業拡大につなげる。