アパレル卸を主軸に事業を展開するノースオブジェクト(大阪府大東市)は、家具販売店に向けたワークショップ企画の提案を強めている。家具店の課題として挙がりやすい集客や来店頻度の向上に対し、体験型コンテンツとアパレルの売り場づくりを組み合わせ、店舗の滞在時間を伸ばす狙いだ。家具を選ぶ時間を確保しにくい家族来店の場面でも、ワークショップを“場づくり”の手段として活用する提案を行う。

同社は、生活者のペルソナを設定し、その暮らしをベースに服づくりを行ってきた。一方、アパレル単独での卸売は競争が厳しくなる局面もあるとして、ライフスタイルの提案や暮らしの提案へと軸足を広げ、異業種とのクロスマーチャンダイジングを進めている。その一環として家具販売店との協業を位置づけ、家で過ごす場面や服を着る場面を想定しながら、家具とアパレルを同じ売り場で見せることで、相互送客と購買促進を図る。
家具店との協業例としては、家具店内にノースオブジェクトが展開するブランドのコーナーを設け、同社の服と店舗で扱う家具を組み合わせて展開する例がある。家具店が持つ既存の品ぞろえの中から、テイストの合う家具と服の組み合わせを示し、暮らしのイメージが伝わる売り場を作る考え方だ。家具は季節感を出しにくいという声もある中、服や雑貨、ワークショップを絡めることで季節のテーマを作りやすくし、店頭の更新理由を増やす提案につなげる。

このほか、協業メニューの中でも導入しやすい入口として、ワークショップを前面に押し出す。家具は家族で来店して検討したい一方、子どもが飽きてしまい十分に選べない場面も起きやすい。そこで、ワークショップを同時開催することで滞在時間を確保し、接客や検討の時間を作る発想だ。同社コーポラティブショップ部部長の櫻木尋斗氏は「季節に合わせたメニューを考案しやすく、繰り返し開催につながりやすい点も特徴。人気のプログラムとしては、ファブリックパネルやスノードームなどがある」と語る。ワークショップには大人向け、子ども向けがあり、家具店での開催では子ども向けが体感で6割ほどという。

このワークショップの運営面では、開催告知は家具店側のチラシや自社広告、SNS発信を基本とし、ノースオブジェクトは原則として介入しない。商品を卸す際の上代設定も販売店側が決める運用で、有料開催とするケースが多いようだ。週末開催が中心となる中、同社スタッフが現地対応できない場合もあるため、事前にオンラインミーティングなどで開催ノウハウをレクチャーし、当日の運営は店舗側が担う形が多い。現在、家具販売店へは全国で約6社に企画を導入しており、今後も拡大を視野に入れる。人気メニューとしてはファブリックパネルやスノードームなどを挙げている。

同社はまた、大阪府大東市と包括連携協定を結び、同市内で飲食や直営店、ワークショップを備えた施設「morineki(もりねき)」の運営にも関わっており、施設では各種体験コンテンツを提供し、暮らしをベースにした服・レストラン・ベーカリー・ワークショップを通して、ブランドの世界観を体現するショールームの役割を担っている。
今後は家具・インテリア関連の展示会への出展も視野に入れ、さらなる認知向上やブランディングを進める方針だ。
(佐藤敬広)
