第59回 JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2023 開催 

国内外のDIY・ホームセンター関連企業が一堂に会する国内最大級の住生活関連イベント「第59回 JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2023」が、2023年8月24日(木)から26日(土)の3日間、千葉県の幕張メッセ国際展示場で開催された。主催は一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会。本ショウは一般の生活者へDIYを普及推進する場とともに、BtoBの商談と交流の場として提供してきた。今回は国内外から517社、1120小間が出展。会場は4ホール規模での開催となり、業界関係者や一般消費者を合わせて5万6408人が来場した(主催者発表)。

国内のDIY市場規模は年々上昇しており、コロナ禍以降も4兆円規模を保っている。日本DIY・ホームセンター協会の竹田ショウ実行委員長によると、業界拡大の背景に、消費者の志向が物質的豊かさから、精神的豊かさへと変化したことに加え、工務店やハウスメーカーの造作家具を手掛ける大工が減り、家を建てた後や家具購入後、プロに修繕してもらう機会が減ったため、無いものは住民自ら作ろうという機運が高まってきたことがあるようだ。また、コロナ禍でステイホーム時間が増加、同時に余暇時間を増したことにより、創造的な生活を求める新たな価値観が人々に芽生えたこともきっかけとなった。これはホームインプルーブメントと言われ、住む人の個性に合わせて、家づくりをすることを意味する。これまでのような機能性のみを求めた住居ではなく、暮らしを楽しむ空間として、家具や内装などインテリアを工夫して、自分なりの空間を作り出すという考え方が生まれてきているようだ。

さらに、近年ではYouTubeなどの動画共有サービスで、DIYを発信する人が増え、以前に比べて手軽に始められるようになったことも、業界拡大の背景としてあげられる。また、企業側もDIY方法を同がで積極的に発信し、さらなる普及へと取り組んでいる。加えて性別を問わずDIYに取り組む人も増えたため、今回の同ショウでは女性委員も参入して男女問わず様々な立場からの意見を採り入れた。その結果、以前使われていた「男のDIY]「DIY女子」といった性別を限定する企画名を無くしている。

現在、DIYは国民に広く普及しつつあるが、DIY関連商品が一同に揃う本格的なホームセンターが日本に誕生したのは1972年。先進国の中では遅れて発展してきたという歴史がある。竹田ショウ実行委員長によると、DIYが戦後のイギリスで、壊れた家を住民自ら直そうという動きから始まり、フランスに持ち込まれてより美しく発展したのち、アメリカで商業化され、日本へ導入されたという。

日本のDIY産業が遅れた理由の一つとして、アメリカと日本の職人の違いがある。日本は住宅を作る際、腕に磨きをかけた職人たちが完成された状態に仕上げる。一方、アメリカの住宅は、初めから完成された状態ではなく、住民自らが手を加えながら作っていくという違いがある。アメリカでは棚や机といった簡単なもの以外にも、壁や階段などの部屋の改修や、屋根までもDIYで作ることがあるという。

このように、アメリカをはじめとした欧米と日本では、そもそも家に関する考え方が違うため、DIY産業は発展しないのではないかと言われていた。時を経て、1973年に全国で28点、1974年に60点だった日本のホームセンターの店舗数は、1975年から2000年の間、年間約100~200店のペースで増え続け、今日では4900店舗を超えるまでになった。

DIY産業は発展しないと言われていた日本で、ここまでホームセンターが増加し、DIYに取り組む人が増えていったのか。その一因に普及の取り組みとして、ホームセンターが実演販売を重ね、一般客に壁紙の貼り方などを教えてDIYのきっかけづくりをしたことが大きいと言われている。

また、メーカー側も初心者が簡単に扱えるように、はじめから糊がついた壁紙などを販売することで、部屋の模様替えを誰もが気軽にDIYを始められるようになった。1978年から始まったDIYショウも、ワークショップや展示を行うことで一般客にDIYを広め、業界拡大への一翼を担ってきた。

加えて日本は自然災害が多いということもあり、日本のホームセンターはDIY用品に限らず日用雑貨も合わせて販売するようになった。そして今日、ホームセンターはDIYをする人のみならず、地域住民にとっても欠かせないインフラとなっている。

このようなDIY発展業界の発展の歴史がある中で、ショウはさらなる国民の住生活向上と産業発展をも億滴として開催している。初日は小売業者、家具職人、ネット販売業者など業界関係者を招き、BtoBの商談の場とした。2日目は業界関係者と合わせて一般来場者も招き、DIY普及とともに一般来場者の同行を業界関係者が直接目にすることで、今後の参考とする場ともしている。最後の3日目は、一般来場者向けに開催している。

ショウの今年のテーマを「いつでも頼れるホームセンター~見て!さわってみつけよう!」と掲げた。このショーテーマを基に、来場者に役立つワークショップ、イベントなどが多彩に実施された。

(竹下未由稀)