カッシーナ・イクスシー(東京都港区、アレッシオ・ジャコメル社長)は、2025年7月24日よりカッシーナ・イクスシー青山本店にて、イタリアのモダンファニチャーブランド「カッシーナ」の新作コレクションを展示発表する。今回の展示は、同ブランドの象徴である「イ・マエストリ・コレクション」の復刻作と、世界的に活躍する現代デザイナーによる新作が一堂に会する注目の内容となっている。
コレクションの目玉は、建築家カルロ・スカルパ氏が1973年にデザインし、2024年に復刻された「コルナーロ」ソファの新バージョンである。幾何学的な木製フレームが柔らかなクッションを抱き込むように構成された構造美はそのままに、息子のトビア・スカルパ氏との共同研究によってプロポーションが再構築され、現代の空間にも自然に溶け込むゆとりある座り心地が実現された。さらに、背もたれと本体の接続部にはブラックのサドルレザーコードを仕込み、意匠性と構造合理性を両立。パッディングには再生PETやバイオポリオールなど、環境配慮素材も採用されており、分解可能な設計を通じてリサイクル性にも配慮がなされている。

また、キプロス出身のデザイナー、マイケル・アナスタシアデス氏による「オーディナル・ローテーブル」は、同氏の彫刻的ミニマリズムを象徴する一作として、リビング空間に上質な緊張感をもたらす。金属構造のアンダートップによる安定性を備えたこのローテーブルは、長方形と正方形の2種が展開され、天板には5種類の大理石素材を用意。家具というよりも一種の彫刻作品のような存在感を醸す。

続いて紹介されるのは、ルカ・ニケット氏が手がける「トレイ」ローテーブルの新仕様だ。円形・長方形・正方形・三角形といった幾何学的なフォルムの組み合わせにより、小さな建築群のような景観をテーブルトップ上に形成するこのシリーズは、アッシュ材やマーブルなどの多様な素材と仕上げによって、空間に対話性と動的要素をもたらす。重ねたり組み合わせたりできる構成力は、現代の多様な居住環境に柔軟に応える設計思想の表れである。

バーバー&オズガビーとして知られる英国のデュオ、エドワード・バーバー氏とジェイ・オズガビー氏による「タンブラウンド ラウンジチェア」も展示される。特徴的なのは、座面と背もたれ双方が360度回転する独自のメカニズムであり、その動きはまるで惑星の衛星のような優雅な軌道を描く。回転の滑らかさと安定性に加え、構造には環境配慮素材を使用。フォームの使用量は最小限に抑えられ、内部には生物由来のポリウレタンや再生PET繊維が用いられている。

そして今回初登場となるのが、アメリカ・ニューオーリンズを拠点に活動する若手デザイナー、ブラッドリー・L・バウワーズ氏とのコラボレーションによる「ブロリック」ベースだ。セラミックによるなめらかで彫刻的な造形は、呼吸や波のリズムといった生命の律動を表現しており、オブジェとしての強い存在感を放つ。ひとつひとつが手作業によって成形されており、アートとプロダクトの境界を曖昧にするその佇まいは、コレクティブル・デザインとしての価値を帯びる。
展示は、青山本店および福岡店にて7月24日よりスタートし、名古屋店と大阪店では7月31日から公開予定。






