――ビジネスガイド社は創業50年を迎えるようで、おめでとうございます。
芳賀 ありがとうございます。当社も50年を迎え、事業規模も拡大しました。ギフト・ショーも東京以外のエリアで開催できるようになり、京都、大阪、福岡などでも好評をいただいております。50年のあゆみの中で展示会事業の他に、出版事業もはじめましたが、当社としてはギフト・ショーが変わらず事業の中心です。
――ギフト・ショーは生活雑貨市場における大切な仕入れの場として確固たる地位を築かれましたが、近年はECの台頭もあり、市場の変化も大きいようですが。
芳賀 ありがたいことに、近年開催初日は入場受付に時間を要するほどに、オープンからたくさんのご来場をいただけるようになりました。もちろん、私たちも受付の拡大などの措置をとっておりますが、追い付かないほどのペースです。バイヤーの皆さんもどんな新製品がどのブースにあるのか事前に調べていて、朝一番で来場し、一番に取引をしたい、といった現象もみられるのです。それほどバイヤーさんの仕入れの熱意は強いものです。
また、たしかに時代は変わり、ECの台頭など消費者の購買行動は多様化してきましたが、「お店で見て買う」という行動そのものに楽しみを見出す方は少なくありません。お店に訪問して、時には並んで、品ぞろえや内装などの雰囲気を楽しみながら、生活を彩るアイテムを吟味するという購買行動には原始的な楽しさがあります。そういったエンターテイメントを提供できるのが、ギフト・雑貨における新製品を仕入れる醍醐味ではないでしょうか。この文化は根強く残っていくものと考えています。
――ギフト・ショーも次回で100回目と聞きました。
芳賀 はい、来場者さま、出展社さま皆さまのお力添えで、次回9月の開催をもってギフト・ショーは100回目を迎えます。私の根底にあるのはこの節目にあっても、『一回一回の積み重ねを大切に』という意識を忘れないということです。出展社の方々がコンスタントに自社の新製品を発表できる場を、インフラのように安定して提供する意識を忘れないようにしております。そのためには、『同じ時期に、同じ場所でやれる』を大切にしております。バイヤーの皆様もこの時期に買い付けよう、というスケジュールを組んで頂いていますし、出展社の方もそこに向けて新製品準備や、生産調整をしてくださっています。私たちとしてはその期待に応え続けたいと思っています。
ギフト・ショーというと皆様ビッグサイトのイメージをお持ちいただいているようです。弊社は晴海の東京国際見本市会場で開催しておりましたが、東京ビッグサイトが完成して以降は、東京ビッグサイトでの開催にこだわってきました。当初はゆりかもめの故障が頻発する、駐車場の確保に苦戦するなど手探りの黎明期でしたが、その頃から当社は会場側と一体となって盛り上げてきたという意識があります。同じ時期、同じ会場で続けてきた実績が出展社様にとっても、来場者様にとっても安定した商談の機会の場として安心感を生んでいると思います。この安心感や安定感こそが、大切なことだと私は思うのです。
――100回目ということで特別なイベントなどあるのでしょうか。
芳賀 浅草ビューホテルで記念パーティの開催を予定しております。出展企業様を中心に、古くからのバイヤー様も招待します。この機会にお越しいただき、色々な方と交流を深められるイベントにしたいと思います。また、9月に100回記念誌を発行予定です。そこには、ギフト・ショーの活用の仕方などを掲載します。
――あれほどの規模の展示会を年2回東京で開催するとなると、募集も大変そうですね。
芳賀 はい。ギフト・ショーは2月と9月に開催されますが、以前は、2月が終わればそこから9月に向けた出展募集を行うという、スタンダードな募集をかけていました。今は、1年先、つまり2つ先の会場でも予約が取れるようにしました。例えば、今は6月ですが、(インタビューは2025年6月に実施)現時点で来年の2月の会場を予約頂けます。これは、2月展の出展締め切りが11月だからなのです。次回展は9月ですが、9月展が終わってから受付を開始すると検討期間が2カ月しかありません。補助金利用の観点もあるので、このような措置を設けています。ですので、次の準備をしながら同時にその次の準備を並行する、といった運用をしております。
――100回に至るまで続けておられるわけですが、今新規に出展を検討されている方にお伝えしたいことを教えてください。
芳賀 長年にわたって開催しておりますが、実は新規出展の企業様は依然として多く、毎回200社近くいらっしゃいます。多くの出展社様が集まる展示会ではありますが、その中で埋もれないように、「新製品コンテスト」というバイヤーが審査するイベントを同時に設けています。ここには毎回、300点近くの製品が集まりますが、出展社様は追加料金などなしで新製品を置くことができるのです。バイヤーはコンテスト会場を見て、面白いなと思うとそのブースにいきます。そして審査で大賞をとった製品だけでなく、票の集まった製品には、(票が集まっていたと知らせずとも)不思議と多くのバイヤーさんがそのブースに集まるので、こういったプログラムを活用して販路拡大につなげて頂けたらと思います。
コロナ、円安、物価高など出展社様にも逆風の吹く時代ではありますが、ギフト・ショーは、助成金を利用して出展される場合も多い点をお伝えしておきたいと思います。例えば地方を本社に置く出展社様ですと30~50万円の助成金を受けられます。東京都の場合、助成金で3分の2の補助を受けられます。意外とご存じでない出展社様もいらっしゃるので、ご興味がある場合お気軽にお問合せを頂きたいと思います。ギフト・ショーは約8割がリピーターの出展です。出展社さまの満足度は高いものと確信しておりますので、新規の企業様にもぜひ検討頂きたいと思います。
――最後に、今後の展開に向けた抱負や、弊紙読者に向けたメッセージをお願いいたします。
芳賀 ギフト・ショーは新しいものを常においかけたいと考えています。広げていけるジャンルはまだいくらでもあります。常に私の念頭にあるのは、売れる商品を店頭に置いて頂くためのショー、ということです。
また、海外との取り組みも加速させていきます。インドネシアやタイの展示会では、バーターブースを行い、相互出展を促す取り組みを進めています。ミラノサローネとの協業も水面下で進めています。9月の会期では、サローネ・サテリテ創設者・キュレーターのマルヴァ・グリフィン・ウィルシャーさんがセミナーを行います。
家具メーカー様や、SPAの家具企業様、家具店様も多く来場されています。お客様の来店率を向上すべく、ちょっとした小物を仕入れるという目的や、OEM提携先を探しに来場されます。寝具関連企業様の来場も増えてきました。例えば枕カバーや、寝室に飾れるかわいらしいぬいぐるみを、または寝室に最適なデュフューザーを仕入れに来られます。ハウスメーカー様やインテリアコーディネーター様も来場されます。デコレーションのアイデアを模索したり、グリーン・造園の選定など積極的になさっています。このように雑貨・ギフトの持つ可能性、他業種との親和性は無限なのです。ぜひこれからも注目頂きたいと思います。
――本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。



