【ニュースリリース】KOMA 南青山のレストラン「maerge」向け新作スポークチェアを発表 “最高の食体験”に照準、1年半の共同開発で到達点

木工家具工房KOMA(東京都武蔵村山市、松岡茂樹代表)は、ミシュランの星を持つ柴田秀之氏が手がけ、2025年6月に南青山で開業したレストラン「maerge(メアージュ)」のためにデザイン・製作した新作「maerge chair」を発表した。企画始動から約1年半にわたり、試作と検証、料理人との対話を重ね、「料理が最もおいしく味わえる椅子」という要件に応えるスポークチェアが完成した。

開発の出発点は、スポークチェア本来の“透過性”を守るためにクッションを使わず、木の要素だけで座り心地を引き上げる挑戦だった。初期試作では肘を置いた際の圧迫感や笠木の高さによる窮屈さが顕在化。笠木のカーブを部位別に最適化し、スポークを三次元に削り出して肩・背中・腰で異なる曲率に再配列することで、背中全体に滑らかに追従する支持感を獲得した。

アームは当初、テーブル下に収める一般的寸法と、座り心地を最優先する理想寸法の間でせめぎ合いがあったが、最終的にアーム高さは“理想”を採り、奥行きを短縮して収納性を確保する解法に到達。前脚は直線を避けて緩やかな曲線を付し、機能を損なわずに柔らかな表情と空間性を両立させた。

松岡代表は「数ミリ単位の改良を妥協なく積み上げた。ベターではなく“ベスト”をつくることが、次の自分の壁になる」と強調。柴田氏も、数センチのアーム高の違いが体感に与える影響を座り比べで再認識し、最高の座り心地と営業上の実用要件を両立させる設計方針を支持したという。結果として「maerge chair」は、空間への軽やかな抜けと、長時間の着座でも姿勢が保てる支持性を備え、料理・器・サービスが交差する場の“一部として機能する椅子”に仕上がった。

「maerge」店内の様子
「maerge」店内の様子

なお、南青山の直営店であるKOMAshop青山支店では9月9日まで、プロトタイプの変遷や設計図、試作パーツを通して完成までの軌跡をたどる企画を展開する。