【取材】NODA Japan 持株会社体制に移行 国内外のブランド戦略を加速 Roche Bobois強化とAREAの世界ブランド化を両輪に

AREAを展開するNODA Japan(東京都港区、野田豪代表)は9月1日、戦略統括会社「NODA Holdings」とRoche Boboisの日本事業に特化する「RB Japan」を設立し、グループガバナンスを再編した。創業来のオリジナル事業であるAREAのグローバル展開と、仏Roche Boboisの国内市場浸透を両輪に位置づけ、事業ポートフォリオの最適化と成長加速を図る。RB Japanは10月31日、大阪・淀屋橋の商業施設「ステーションワン」に「Roche Bobois OSAKA」を開設予定で、東京・新宿に続く旗艦拠点として西日本の需要を取り込む。

新体制では、NODA Holdingsがグループ横断の戦略立案、資本配分、海外3拠点(北米・欧州・アジア)との連携を担い、事業会社は領域別に機動的な意思決定を行う。AREAは東京・パリ・ニューヨークを軸にオリジナルの空間提案力を磨き、Roche Boboisは専任会社で販売・サービスを深化。持株会社の導入により、①リスク分散、②事業ごとの最適経営、③M&A推進の三点で攻めと守りを両立させるのが骨子だ。

野田代表はホールディングス移行の狙いを「世界ブランドをつくるための組織づくり」と明言。製販一体の重装備を志向せず、設計・ディレクションに集中するファブレス型の磨き込みを強調した。Roche Boboisの国内事業を独社化したことについては、「多ブランドを持つほど学びが増え、AREAの世界観を高みに押し上げる。M&Aや提携も視野に補完領域を取り込み、AREA単体では届かない価値を総合力で創る」と述べた。

加えて、持株体制は後継経営者の育成・任用を容易にし、事業承継のリスクを平時から制御できる点を重視。「内部人材を社長に据え、現場と経営を往還できるリーダーを計画的に育てる」と語る。ホールディングス化はゴールではなく、中間プロットと位置づける。同社は今後、AREAのコア競争力(デザイン・編集・空間提案)を維持しつつ、Roche Boboisの高付加価値カバレッジを活用して顧客接点を多層化。M&A・協業を通じてアウトドアやBtoBなど補完ドメインを広げ、国内では人材育成と供給網の再設計にテコ入れする構えだ。短期は関西圏の新店を足掛かりにRoche Boboisの浸透を深め、中期は欧州・北米でのAREA展開と二層のブランド資産を循環させる“両建てモデル”で、為替・景況の変動耐性も高める。

一方で、グループ化の難しさとして、ブランド横断のガバナンス複雑化やセクショナリズム、管理コストの増大に言及。「だが、それを理由に立ち止まる段階にはない」と前置きし、制度設計と人材配置で乗り越える考えを示した。事業観としては「造って売る」ではなく、国内外の良質な生産ネットワークと組むファブレス間連携を重視。OEM先との信頼を中核に据える視点も共有した。グローバルの視界では、ミラノ、ロンドン、タイを起点にプロジェクトを始動済み。売上目標は「数年以内の100億円到達を一つの峠」としつつも、「数字だけを至上目標に置かない。離陸前の滑走を丁寧に続ける」(同)と段階的な成長曲線を描く。

さらに野田代表は「家具を日本の主幹産業の一角に」との長期ビジョンを提示。イタリアの家具輸出が国の屋台骨を支える構図を引き合いに、日本の家具貿易の量・質の両面での底上げを訴求した。「日本は思想と文化の厚みを持つ。AREA流の“日本の思想を備えた家具”を世界標準のパッケージに仕上げ、B&B Italiaと肩を並べる存在に育てたい。国内メーカーや販売店にも力を貸してほしい」と産業界に広く呼びかけた。