【取材】パパネッツ 10年点検で家具と不動産をつなぐ新サービス パートナー支援とDX強化で「御用聴きカンパニー」路線を鮮明に

不動産管理会社やハウスメーカーのノンコア業務を全国で代行する株式会社パパネッツ(埼玉県越谷市、伊藤裕昭社長)が、家具・インテリア業界との連携を意識した新たな取り組みを本格化している。2025年3月の福岡証券取引所Q-Board上場に続き、2026年2月期第2四半期は売上高29億7100万円(前年同期比11.6%増)、営業利益3億6300万円(同28.7%増)と2ケタ成長を継続。人材・パートナー基盤とDXを軸に、事業の裾野を広げている。

同社は、不動産管理会社向けの「管理会社サポート事業」と、ハウスメーカー・デベロッパー向けの「インテリア・トータルサポート事業」を二本柱に展開する。前者では賃貸住宅やマンスリーマンション、レンタルコンテナの定期巡回・清掃・報告書作成などを全国の個人事業主「パパネッツ・パートナー」と連携して担い、独自開発の不動産巡回管理システム「じゅん君」により月2万5000件超の点検業務を効率化している。

後者のインテリア分野では、家具の製造・販売・配送・設置を一貫して受託し、モデルルームやホテル案件を含めたコントラクト案件にも対応する。このインテリア事業と管理会社サポート事業で培った物流・点検ノウハウを組み合わせた新施策が、2025年にスタートした「新築10年後点検」だ。10年前にハウスメーカー経由で家具を納入した住宅を、10年後に再訪し、建物躯体の点検を行う。あわせて家具・内装の現状を確認するサービス等を提案している。

エリア展開では2025年10月に福岡営業所を博多駅南へ拡大移転。拠点面積を従来の51.7坪から186.3坪へと3.6倍に広げ、家具・家電の保管・出荷機能を備えた倉庫を併設した。九州地域での建物定期巡回やコンテナ巡回、マンスリーマンション清掃などの受託増に対応する。

DX面では、不動産巡回管理システム「じゅん君」のAndroid版提供を2025年9月に開始。従来のiOS/iPadOS版に加え、既存のAndroid端末でも利用できるようにしたことで、パートナーや不動産管理会社の端末コストを抑えつつ、導入の裾野を広げた。賃貸住宅フェア2025東京では同システムをデモ展示し、現場業務の効率化ソリューションとして訴求している。

同社では、もともと不動産管理会社向けに巡回点検を行ってきた「管理会社サポート事業」の枠組みを活用しつつ、「10年前に納めた家具が今どう使われているか」をメーカーにフィードバックする構想を描く。関口義之取締役経営企画室長は、家具の修理やメンテナンス提案にとどまらず、ライフステージの変化に応じた買い替え提案など、家具メーカー側の新たなビジネス機会につながるとみており、「不動産と家具メーカーの連携が具体化するフェーズに入ってきた」と強調する。

現場力の底上げに向けては、「自社アパート」の活用も進む。賃貸アパートを自ら運営し、配送スタッフの搬入・設置訓練や、賃貸住宅の清掃・点検の研修施設として位置づけるもので、2025年に1棟を追加し、現在は2棟体制となった。敷地内の雑草取りから共用部清掃まで、実物件での訓練を通じて、家具配送と巡回清掃の品質向上を図る。

人材面では、外国人スタッフの受け入れを拡大している点も特徴だ。東アジア、中央アジア等出身国は多様で、ベトナムからは技能実習制度ではない独自の枠組みで2人を採用予定。ベトナム現地での面接の後に日本で2週間の試験就労を行い、適性などを確認したうえで採用する。社員約100人のうち4~5%が外国人社員で、「日本が好き」「新しい仕事に前向きという人材が多い」と、同社総務部の長渕凌也氏は話す。

こうした多様な人材を支えるため、同社は「行動はすべてに優先する」を合言葉に、チャレンジしやすい組織づくりを進める。個人事業主として業務委託するパートナー向けには、「パパネッツクラブ」を通じて労災保険に加入できる仕組みを整備。事故やトラブル時にも補償を受けられる体制とし、個人事業主でも安心して働ける環境づくりを進めている。

さらに2025年には「パートナーサポート室」を新設し、スーパーバイザー4~5人を配置。パートナーの業務品質の確認や生活面の相談支援を行い、個人事業主としての安定化を後押ししている。将来的にはスーパーバイザーを20人超の体制に拡充する方針で、育成プログラムの整備も進める。顧客にとってのサービス品質と、パートナーの働きやすさの双方を高める狙いだ。

パパネッツは2017年に東京証券取引所TOKYO PRO Market、2025年3月には福証Q-Boardへ上場し、事業開始以来の二桁成長を背景に「御用聴きカンパニー」としてステージを引き上げてきた。クライアント継続率は2025年9月時点で100%とされ、今後は知名度向上と新規顧客・新規パートナーの獲得を通じて、家具・インテリア分野も含めた周辺市場への広がりが注目される。

(佐藤敬広)