【連載】羊毛寝具の性能分析 産学連携で評価(2)

英国羊毛公社が国際羊毛機構(IWTO)と連携し、バンガー大学バイオコンポジットセンターにより実施したものである。
本研究の目的は、異なる素材を充填した寝具の性能を比較することであり、すべての試験は、英国の小売市場で 一般的に販売されている同程度のトグ値(10~10.5トグ)を持つシングルサイズの掛けふとんを対象に実施した。比較対象となった充填素材は以下の通りである。

本試験では、睡眠環境を考える上で重要な2つの要素である「熱特性」と「水分移動」に焦点を当てて評価を行った。

熱性能試験②
試験方法 掛けふとん内部に設置した温度センサーを用いて、時間経過に伴う熱性能を評価した。試験装置の一方の側は温かい状態(30℃)、もう一方の側は冷たい状態(10℃)に保ち、温度差を作った。センサーは掛布団の上部および下部の外生地の内側付近と、充填材の中央部分に配置され、8時間にわたり素材を通して熱がどのように移動するかを測定した。温度は1分ごとに記録され、各時間毎に平均値が算出された。結果の再現性を確認するため、試験は3回繰り返して実施した。

グラフによると、各掛けふとんの上部側の温度はすべて約10℃で安定しており、これは予想される結果であった。掛けふとんの下部では、ウールと合成繊維の両方が比較的高い温度を示した。掛けふとんの中央部分の温度は、 ウール掛けふとんでは22℃と、他の3種類の掛けふとん(13~15℃)よりも大幅に高い結果となった。また、掛けふとんの下部から中央までの熱損失は、ウール掛けふとんでは20%にとどまり、他の掛けふとんの34~47%と比較して大幅に低い値となった。これは、ウール掛けふとんが他の試験対象の掛けふとんよりも多くの熱を保持していることを示している。

下部から中央への温度低下が小さいことは、ウールの低い熱伝導率を反映しており、最も 効果的な断熱素材であることを裏付けた。さらに重要な点として、他の充填素材と比較してロフト(かさ 高)が低いにもかかわらず、ウール掛けふとんが優れた保温性能を発揮することが確認された。これは、ウールの低い熱伝導率と高い断熱性能により、熱を保持しながら他の素材よりも安定した温度を維持できるためである。