ミサワホーム 「SMART STYLE Roomie(スマートスタイルルーミエ)」がキッズデザイン賞受賞 現代のファミリー層に響く空間提案

 ミサワホーム(東京都新宿区、作尾徹也社長)が、第17回キッズデザイン賞(主催:特定非営利活動法人キッズデザイン協議会/後援 経済産業省、内閣府、消費者庁)において、戸建住宅と保育施設の2点を受賞した。戸建住宅において受賞した商品が、2023年4月に発売した企画住宅「SMART STYLE Roomie」だ。「SMART STYLE Roomie」は、ミサワホームが注力している企画住宅の一つで、一次所得層のファミリー世代むけに展開している商品。その詳細や同社が考える住まいづくりについて取材した。

 コロナ禍による新しい生活様式の浸透によって、在宅ワークが浸透し、家の空間に、 “仕事ができる場所”の要素が求められるようになった。それとあわせ、家族みんなの在宅時間が長くなっていることで、さまざまな家事タスクの負担も増加しており、”家事の混在”が一つの課題になってきたと、同社商品・技術開発本部商品開発部の石井かおる担当部長は話す。特に子育て世代については、家の中に子どもがいながら仕事と家事をするという過ごし方となるため、家族で上手く家事を分担しながらコミュニケーションをとる必要があるようだ。

 昨今は”食”を中心としたコミュニケーションも話題だが、今回キッズデザイン賞を受賞した「SMART STYLE Roomie」は、「家族で食卓を囲む」時間を重要視しており、食事をするための行程も家族でシェアをしやすいような間取りとして、ダイニングを家族団らんの場とする空間構成を提案している。

 また、収納と洗面、脱衣室兼ランドリールーム、バスルームまでを連続配置した「バックヤード動線」により、家事の負担を軽減する。

 従来の住空間は、”洗面室”について、洗面と洗濯の行為を一つの空間で行わなければならない間取りが多かったが、「SMART STYLE Roomie」では洗面と脱衣・洗濯の空間を分離した間取りとし、より家族が過ごしやすい空間になるよう開発した。このほか、1階部分の空間提案では、独自工法により天井を約3mの高さまでとることも可能だ。

 また、外にも開いた庭も楽しめるような空間づくりとなっていることについても、これまでとは違った企画住宅の在り方だという。「戸建て住宅はマンションと異なり、外と繋がることができる点が一つのメリットだと思います。例えば、掃き出しサッシを大きく開けて爽やかな風を感じたり、庭の樹木の成長を眺めて四季を感じることが出来るのは、戸建住宅ならではの贅沢の一つだと思っています。
」と石井氏は話す。庭の提案にも同社は注力。「SMART STYLE Roomie」は、都市近郊に建つ住まいでも庭のスペースを比較的ゆったり持てることが特徴だ。リビングとつながるように半屋外空間「アウトリビング」を提案しており、このようなスペースを設けることによって、テレワークの気分転換に外でリフレッシュするといった過ごし方へも対応できる。

 2階の空間はバルコニーとマルチスペースを設け、ファミリークローゼットをまとめた提案も行い、効率の良い空間設計とした。石井氏は「昨今の若年層の方々は、あまり物を保有しない”ミニマリスト”の方が増えています。服なども適度に売りながら”循環”させていく方が多いです。そうしたことから、詰め込みすぎず、逆に個々の空間を広くとりたいといったご要望が求められる傾向にあります」と語る。そのニーズを汲み取り、大型の収納などは一か所に集中配置し、各部屋の収納スペースはそこまで広くとらないように設計している。

 また、室内空間をフレキシブルに使用できるよう、可動の間仕切りも設けた。生活スタイルや、家族の成長に合わせて、主寝室を一つにまとめたり、あるいは分離したりといったように、様々な用途で空間を活用できるような提案を行う。サステナブルの要素も採り入れつつ、現代のファミリー層に響くような空間提案を心がけている。
 ミサワホームではこのほか、独自の防災・減災デザインとして、「MISAWA-LCP」を設定しており、自然災害が発生しても「自宅生活」が継続できる住まいを提案。造作の収納家具では建物と一体の造り付けにすることで、転倒による二次災害を防ぐといった住まいづくりにも取り組んでいる。

 同社は、同商品を全国で分譲展示場として建設し販売するというスキームを採っているが、その際にインテリアも同時に提案。家具や照明、カーテンは同社が指定したアイテムを採り入れ、実際に空間として体感できるようにしている。例えば、分譲展示場でのインテリアスタイルが好みだったというお客様に対しては、その空間に使用した家具や照明などのアイテムを軸に提案する。照明については契約者のうちの約8割が購入しているようだ。

 企画住宅ではない自由設計の住宅については、6種類のインテリアスタイルが存在し、13のバリエーションを展開。そのうえで、どのような暮らし方が理想かについて顧客にインタビューし、ダーク系やライト系など色やインテリアのテイストを、それぞれの好みに合わせて提案する。さまざまなメーカーの家具を展示・販売するインテリアフェアを各地で開催し、コーディネーターや家具メーカーのスタッフがユーザーのライフスタイルに合わせた提案を行っている。インテリアフェアでの家具の購入率は高いようだ。

 しかしながら、企画住宅の家具提案についてはお客様の予算の都合やその他の要素などもあって、購入につながらないケースもあるといい、今後特に力を入れていきたい分野であると同社。石井氏は「家具も含めて家を購入していただいたお客様は、家に対する満足度が非常に高いというデータが出ているため、家具も含めたトータルコーディネートを今後も目指して尽力していきたいと考えています」と語る。アウトドアでくつろぐ際にリラックスできるようなソファやベンチなども提案していきたいとした。天候に左右されないような張地や耐光性のよいアイテムなど、室内外兼用で使用できるようなアイテムの需要は今後高まりを見せるだろう。コーディネーターのみならず、営業の意識もより高めることで、提案力のさらなる強化につなげるようだ。

(佐藤敬広)