メガソフト、インテリア業界に最適な3D空間提案ソフトを訴求

メガソフト(東京都千代田区 井町良明代表取締役社長)のソフトウェア「3Dアーキデザイナー11プロフェッショナル(以下、3Dアーキデザイナー)」及び「3Dマイホームデザイナープロシリーズ」が好調だ。住宅の空間提案を手間なく行えるソフトで、27年間にわたってハウスメーカーのインテリアコーディネーターや営業担当者に多く導入されてきた。 
近年では家具業界においてもこのような3D提案ソフトはますます重要視されてきている。例えばunicoを運営するミサワにおいても、成約率や成約単価が飛躍的に向上することから、販売担当者は3Dシミュレーションソフトの操作習得は今や必須であるという。同社ソフトは、大型の家具店でも来店客に空間提案する際に採用が進む。

100万円を超えるのが一般的な同種のソフトと比べて、同社ソフトは安価で、操作が簡単な事が大きな特長だ。例えばプロユーザー向けに提案機能などをすべて盛り込んだ最上位版、3Dアーキデザイナーは税抜で28万円、その1つ廉価版のモデルである3Dマイホームデザイナープロ10EXは税抜13万円で導入可能だ。ソフトは全部で6種類存在するが、機能に加えて、ハウスメーカーや家具店に導入されているのは主に前述の2種だという。特に最上位モデルは3Dの画質が最もよく、CADソフトとの互換性に優れるのが理由。量販店やアマゾンなどのECサイトでマイクロソフトオフィスや年賀状作成ソフトなどと並んで安価に販売されていることもあり、ユーザーも手軽に導入ができる点も導入進展に拍車をかけた。
同社の歴史は古く、1983年に設立。マイクロソフトウィンドウズもまだ登場していない時代だ。1990年代にリカちゃん人形の部屋をCGでつくるソフト「3Dリカちゃんハウス」を発売、したことがきっかけで、部屋をシミュレーションするという概念が生まれたという。1996年に、一般の施主向けに3Dマイホームデザイナーを販売開始した。ハウスメーカーや工務店の住宅展示場に行く前に消費者自身が間取りやキッチンの配置などをシミュレーションするように開発した製品だが、同社の想定とは異なり、エンドユーザーではなく住宅メーカーの営業担当者やインテリアコーディネーターを中心に導入が進んだ。登場から27年間、これまでの累計販売本数は90万本に達するという。
 背景には、住宅営業にかかる膨大な工数があった。それまで住宅営業の担当者は、住宅展示場に来場したエンドユーザーを接客し、要望を聞いた上で社内設計部に図面を作成してもらうという流れだったが、成約に至る確率はわずか5~10%程度にとどまっていたという。繁忙期になると設計部からなかなか図面が上がってこないこともあり、その間に他のメーカーにとられてしまうこともあった。そのためある程度自身で簡単に使え、導入しやすい金額帯のソフトが求められていた。間取り図を素早く作成し、設備やインテリア製品を配置することができるため、エンドユーザーと打ち合わせをしながら、その場で住宅のプランを決めていける。建具、住宅設備、家具などのデータ素材を52社、19,000点を収録している。実在する製品が登録されているため、提案もスムーズだ。

 「簡単に使えないと意味がない」

同社のソフトの基軸は、「簡単に使えないと意味がない」のスローガンのもとつくられているという。年間保守契約を結んで一定料金のもとサポートする他社の戦略とは異なる路線を行き、同社はサポートセンターを設け、常に問い合わせが可能な状態としている。そうなるとちょっとした質問で問い合わせが来ないよう、ソフトのUIを極力わかりやすいものに設計したのだという。
 同種の他社ソフトには、省エネや耐震計算、構造計算といった複雑な機能を搭載していることが多い。住宅を建てる上でそのような計算が必要になることは認めたうえで、同社は、あえてそのような機能を削ぎ落している。きっかけとなる一次提案ではそこまでは不要であること、そのような機能の搭載によりソフトが高額化し、ユーザーにとってわかりづらくなることも理由だという。同社法人営業部長の守田幸平氏は、「結果的に、そのような計算に関わらないインテリア業界のプレイヤー様には、うってつけのソフトになっています。トレーニングがほぼ不要で、家具・インテリアを簡単に再現・設置できるソフトは、スクラッチでつくるか、このソフトしかないと確信しています。」と語る。

 メーカーは全製品登録する必要はない。サイズ変更、色変更で対応を。

 ソフトには19,000点近い実在の製品データが存在するが、ユーザーは2つのルートで利用ができる。
一つは、メーカー側が写真と2D図面に記載した寸法情報をメガソフトに提供することで、1点あたり15,000円から35,000円で作成・登録するというもの。金額の差は、形状の複雑さに依存する。この場合、ソフトの初期状態から製品が登録されているため、インテリアコーディネーターや営業担当が即時にそのメーカーの製品提案ができるというメリットがある。
一方、メーカーが業者を使って、独自に3Dモデルデータを制作、公開するという方法もある。この場合、購入した時点のソフトにそのメーカーの製品データは入っていないが、ソフトのユーザー自らがその公開されたデータをダウンロードし、ソフトに直接読み込むことで使用できるようになる。メーカーはこのような3DのCGモデルの作成業者に頼めば、1点あたり半値程度で制作することが可能だという。 
メーカーによっては、売れ筋の商品のみメガソフトに頼み、それ以外の製品は外注業者に依頼、自社サイトに設置してダウンロードをしてもらうという戦略をとる企業もあるという。全体的には、後者のパターン、つまり外注企業にデータを依頼して自社ホームページで公開するパターンが圧倒的に多いようだ。
 しかしいくら外注で安くデータを作成できるといっても、メーカーによっては扱う家具の点数が膨大なこともある。椅子やソファの張地の違いといったちょっとした色違い、サイズ違いの家具まで網羅していては金銭的な負担も相当だ。その場合は家具の色やサイズをその場で変えることで対応が可能だ。似たような製品を扱う場合、1点のみデータをつくることで、あとはユーザーの編集に一任する。この点について前出の守田氏は、「インテリアコーディネーター様や住宅メーカー様、家具店様がこのソフトに求めているのは配置した家具のディティールではありません。例えば椅子にデザインされている小さな模様が丸であろうと三角であろうとかまわないでしょう。そのサイズ、色味の家具が部屋にどうマッチするかということが問題なのです。また、エンドユーザー様は家具を買う際、たいていの方は最終的には家具店やショールームにいって実物を見て、触ります。ですので、前段階であるデータにこだわり、大きなお金をかけて一点一点製品を登録するよりも、データ変更や色味変更も組み合わせてメーカー様には登録してほしいと思っています。」と語る。