川島織物セルコン(京都市左京区、光岡朗社長)は、2024年4月16日(火)~21日(日)にイタリア・ミラノで開催される世界最大規模のデザインイベント、ミラノデザインウィークに出展する。
今回は、「百の黒 - A Hundred Black -」をテーマに、100年以にわたって挑戦し続けてきた、伝統技術と現代技術の継承・発展と織物の可能性の拡張への挑戦を、 “黒一色の織物100種“ で可視化する。川島織物セルコンは1843年の創業以来、インテリアファブリックへの参入・幅広織機の導入・新しい素材の採用など、織物の新たな可能性を探求し続けてきた。2019年からはミラノデザインウィークで新作の織物を発表し、世界中から訪れる多くの方々の反応を間近で感じ、その評価を次の挑戦につなげている。
4回目の出展となる本年は、昨年に引き続き、照明デザイナーの岡安泉氏をアートディレクターに迎え、インスタレーション「百の黒 - A Hundred Black ―」を実施、織物の可能性を表現する。今回新たに製作したのは、100種類の黒い織物だ。さまざまな色の材料を多用し、鮮やかで豪華な柄を繊細に表現する西陣織だが、その重要な要素の一つである「色」をあえて“黒一色”に限定し、織の技法や織組織を創造的に活用することに重点を置いた表現とした。創業時から継承してきた伝統技術と、進化への探究を通して得た新たな技術を駆使した。
アートディレクターの岡安泉氏は「黒一色のみを使って技術や技法の組み合わせが異なる100種類の黒の織物を作るという難しいテーマに、川島織物セルコンデザイナーを含む製作陣は100をはるかに超える大判の織物を作った。今回の展示でご覧いただきたいのは、それら丁寧に作られた100種類の黒い織物たちと同時に、180年の歴史の中で培われた企業風土によってもたらされる同社が持つ技術・技法の多様性、対応力と精度の高さである。黒の強い印象と共に川島織物セルコンの持つ技術・技法の多様性を記憶に残し持ち帰って欲しい」と語っている。
ミラノデザインウィーク2024では、織物の美しさの重要な要素の一つである「色」を、あえて「黒一色」に限定し、技法と織組織を重点的に活用し、100種類の黒の織物を創り出した。日本には、黒墨・漆黒・濡烏(ぬれがらす)・鈍(にび)・呂色(ろいろ)のように、黒色を表現する言葉が多くある。また、和装の礼装に用いられる黒は、”深ければ深いほど美しい“とされている。このように日本文化にとって黒は特別で、日本人は美しい黒を追い求めてきた。今回の「百の黒 - A Hundred Black -」では、日本人の黒への思い、そして黒の持つ無限の可能性と、同社の織物の可能性を信じる心を重ね、延べ千回近くの試作を繰り返して完成させた。