JAFICA 「未来に続くインテリアコンテスト2024」受賞者決定 アイディア部門は長嶺氏、実例部門は野田氏に最優秀賞

一般社団法人日本フリーランスインテリアコーディネーター協会(JAFICA:東京都港区、江口惠津子会長)は2024年12月13日、代官山鳳鳴館にて「JAFICA 未来に続くインテリアコンテスト 2024」の表彰式を行った。同コンテストは2022年に第1回を開催、以降2年に一度執り行われ、今年で2度目の開催となる。

コンテストでは「2050 カーボンニュートラルを目指し、その時代のインテリアコーディネーターや職能者・生活者の想いと仕事とアイデアを記録するためのコンテスト」をテーマに掲げており、地球温暖化や気候変動など生活を脅かす様々な環境問題に直面する今日、心豊かな暮らしの維持には、SDGsの達成、エシカルな暮らしへの意識が肝要であるとし、これを体現する新しいインテリアコーディネートの提唱と促進、記録を目指す。

コンテストは「アイディア部門」と「実例部門」の2部門に分かれ、アイディア部門は「未来の麗しの地球と出会う場」をテーマとし、新しい暮らしの提案やアイデアを小中高大学生、専門学校生を含む一般生活者から広く募集した。一方実例部門では、インテリアコーディネーターや建築士、工務店などのプロが自身の実際の案件から応募して競った。

環境配慮、時代反映、グローバルデザインの作品集まる

今年のアイディア部門の最優秀賞であるJAFICA賞は、駒沢女子大学人間総合学群住空間デザイン学類インテリアデザインコース3年の長嶺瑠楓氏「Space out」に贈られた。情報過多の現代で、何も考えずに過ごせる空間を設けることと、伝統工芸品であり、環境に優しい自然素材でつくられた和紙、そして自分と向き合える茶室(カフェ)という3つのエッセンスを取り入れた作品。カフェの中間階層に、なにもせずぼーっと過ごせる隙間空間を設け、そこでは和紙から漏れる柔らかい光が、利用者に癒しと懐かしさをもたらす。審査員の生駒芳子氏は、「現代は情報が溢れすぎて、自分を見失いがちだ。環境によい和紙を使い、柔らかい光をとりいれ、そして自分を取り戻すという発想が時代を象徴している」と講評した。

また、同部門のナイスアイディア賞は池田一葵氏、石橋優雅氏、山口寧音氏、特別賞は矢間将司氏に授与された。

続いて実例部門の最優秀賞は、野田大策氏の「玉野の別荘 Holiday house in Tamano」に贈られた。南面は海辺に、反対側は山に囲まれた平屋の別荘で、岡山県玉野市に建てられたもの。建物を南北に大きく開け放すなど開口部の工夫により、海と山、両方の恩恵を体感できる。ロケーションの利点を最大限生かした設計とコーディネートが評価された形だ。また、ダウンライトの設置数を抑えることで美しい天井面を残したうえで、いかに光を効果的に取り入れるかといった工夫も凝らされた。審査員の官浪辰夫氏は、「文化の異なる、どこの国の人がみても気持ちのよい作品だ」と最優秀賞の理由を講評した。

また、同部門の優秀賞は小西範揚氏、飯塚奈津子氏、藤村正継氏、特別賞は瀬野和広氏と戸倉容子氏に贈られた。いずれの部門も受賞者には受賞記念盾の他、協賛企業による副賞が贈られた。

審査員は、一般社団法人エシカル推進協議会会長の生駒芳子氏、東京理科大学名誉教授・日本インテリア学会名誉会長の直井英雄氏、一般社団法人日本空間デザイン協会名誉会長の官浪辰夫氏、公益社団法人日本インテリアデザイナー協会理事長の丹羽浩之氏、そしてJAFICA会長の江口惠津子氏が務めた。

JAFICAコンテスト委員長の五位渕富子氏は、「製品をつくる企業と、それを使って提案するコーディネーターが一緒になって、インテリア・デザインの力をもって地球環境について考えていきたい。そのようなコンテストにしていきたいと考えている」とコメントを述べた。次回コンテストは2年後にあたる、2026年の夏ごろを予定している。

(長澤貴之)