英国羊毛公社が国際羊毛機構(IWTO)と連携し、バンガー大学バイオコンポジットセンターにより実施したものである。
本研究の目的は、異なる素材を充填した寝具の性能を比較することであり、すべての試験は、英国の小売市場で 一般的に販売されている同程度のトグ値(10~10.5トグ)を持つシングルサイズの掛布団を対象に実施した。比較対象となった充填素材は以下の通りである。
本試験では、睡眠環境を考える上で重要な2つの要素である「熱特性」と「水分移動」に焦点を当てて評価を行った。

▽湿度バッファリング試験
試験方法:各掛布団の充填素材のサンプルを、35cm × 35cm の布片として水槽の上部に設置し、周囲を密閉して水と接触しないようにした。この構成により、素材は下の水に触れることなく湿気のみを通過させることができる。水は人体の通常の体温を示す37℃ に加熱し、さらに湿気が多い条件での性能を確認するため50℃ に設定した。

約24時間後、サンプルを取り出して重量を測定し、吸収した水分量を確認した。同時に、水槽から失われた水の量も測定し、掛布団素材を通過して空気中へ放出された水分量を算出した。これにより、各素材を通して水分が移動する速度が計算された。水槽から失われた水の量を測定することで、それぞれの充填素材がどれだけ効果的に体からの湿気を外へ移動させるかを評価することができる。
ウール掛布団は、水分保持および特に水分透過の両面において、試験された他の掛布団よりも大幅に優れた性能を示した。これは、水分がウールの充填構造を通してより効率的に移動することを示している。人体の通常体温を反映し、暑すぎず寒すぎない快適な睡眠環境を再現する37℃の条件において、ウールは効果的な 湿度調整能力を示し、ベッド内の快適性の向上に寄与することが確認された。

温度が 50℃ に上昇すると、システム全体の水分量が大幅に増加し、それに伴い湿度バッファリングおよび水分移動のレベルも高くなった。この条件下でも、ウール掛布団は試験された他の充填素材より優れた性能を示し、ダウンよりも多く、さらにフェザー&ダウンや合成素材と比較すると大幅に多くの水分を透過させた。
この優れた水分移動性能により蒸発冷却がより効果的に働き、体温調節がより速く行われ、快適な温度状態へより早く戻ることが可能になる。ウール繊維は、自重の約30%までの水分を吸収しても湿った感触にならない特性を持っている。本試験の結果は、この吸湿能力が十分に活用されていることを示しており、水分がウール掛け布団を通して高い効率で移動していることが確認された。

▽概要:湿度および水分量が増加すると、ウール掛布団は動的に反応し、50℃の条件では37℃の条件と比較して、ほぼ2倍の水分を移動させることが確認された。他の掛布団素材でも高温条件下では水分透過量の増加が見られたが、もともとの水分移動量が少なく、その増加速度もウールと比較すると大幅に遅い結果となった。特に50℃の条件では、合成繊維の掛布団内部で結露が観察され、水分が溜まり試験用の水槽へ滴り落ちる現象が確認された。
このような状態は、実際の睡眠環境では蒸れて不快な寝床環境を生み出す可能性がる。人体の体温が上昇すると、発汗によって体温調節が行われ、汗の蒸発によって冷却効果が生じる。 掛布団を通して水分がより速く周囲の空気へ放出されるほど、この自然な冷却メカニズムはより効果的に機能する。
逆に、水分移動が遅い場合には、寝具内の微小環境の湿度が高まり、暑さや蒸れによる不快感につながる。そのため、水分の吸収・緩衝(バッファリング)と透過性能の向上は、人体の自然な冷却機能と連動して熱的快適性を維持するうえで重要な役割を果たすと言える。
熱性能試験、湿度バッファリング試験、水分透過試験、湿度・水分試験などから得られた貴重なデータを消費者への認知度を高めるために順次公開するとしている。

