第57回CIFF広州のArea A・5.1ホールは、2.1~5.1ホールで構成する「CIFF当代デザイン展」の一角として配置された。A区1階でシャトルバス乗降場に最も近いゾーンにも位置していたため、来場者も足をとめやすい位置にあった。同ホールの展示は、単なる意匠提案にとどまらず、中国発デザインの事業化、輸出、文化発信までを束ねる役割を担った。

CIFF当代デザイン展全体は4万平方メートル規模で、60を超える商業デザインブランド、20超のデザイナーブランド、40の海外ブランド・スタジオを集める構成となった。年間テーマには「Design Commons」が掲げられ、展示会を受発注の場から、設計、製造、商業化をつなぐ業界基盤へ引き上げる考え方が前面に表されていた。5.1ホールはその中でも、とくに「実務に落ちるデザイン」「海外市場へ届くデザイン」「伝統技術を現代に翻訳するデザイン」を集中的に見せる場所となっていた。

ホールの核になっていたのは、「デザイン・ディムサム」「デザイン・セーリング」「無形文化遺産の技芸美学展」の三つの軸だ。デザイン・ディムサムは、建築や空間案件の中で生まれた試作や特注解決策を、量産可能で保守可能な商品へ転換するプロセスに焦点を当てた。デザイン・セーリングは、「根を持った遠航」をテーマに、中国デザインが国際市場の中でどう自らの物語を組み立てるかを問う展示。無形文化遺産の技芸美学展は、16項目の国家級無形文化遺産技術を軸に、刺繍や陶磁、木工を現代の住空間にどのように生かすかを示した。

実際の会場構成も、通常の物販見本市とは異なっていた。前进、觅美、CAMERICH、SOECO、几尺家具、Dak Han、NEODKO などのブースは、商品を詰め込む売場というより、白壁や大開口、低い照度、ゆったりした導線を生かしたギャラリー型の見せ方が目立った。入口側では前进と觅美の大型ブースが強い存在感を放ち、ホール中央では設計テーマ展やパネル展示が続き、奥に進むにつれてリビングシーンを再現した商業ブランドの提案が並ぶ流れだ。デザイン展でありながら、見せ方は観念的になりすぎず、商談や市場投入を意識した現実的な構成となっていた。



象徴的な存在の一つがCAMERICHだ。ブースでは「Return to the Model House」を掲げ、X SystemやAcademy Collectionを前面に出し、モデルルーム的な空間構成の中で家具の配置、視線、生活シーンまで含めての提案だ。

CAMERICHは1997年設立で、設計、研究開発、製造を一体で進める中国ブランドとして成長してきたが、今回の展示でも「簡潔だが洗練されている」という同社の設計思想を、単品訴求ではなく空間全体で見せていた。



一方で、5.1ホールは高級感の演出だけで終わっていない。ホール内では、実践に基づく設計、実務主導のサステナビリティ、文化的な証明性をテーマにしたフォーラムも組まれ、展示と議論が同じ場所で進められた。さらに、イタリアンラウンジのような国際交流の場や表彰の場面も見られ、5.1ホールが中国国内向けのデザイン発表の場ではなく、海外ブランド、設計者、製造企業をつなぐ場として機能していた。


5.1ホールは、家具見本市の中で「デザインをどう事業に変えるか」を最も明確に示した場となっていた。ここで問われていたのは造形の新しさだけではなく、設計の思想を商品へ落とし込み、文化的背景を翻訳し、国際市場へつなぐ力であることが見てとれた。





