【取材:発表会レポート】「北海道バレル」が本格始動 旭川の家具メーカー、カンディハウスの技術生かし木製樽を全国展開へ

北海道バレル(北海道旭川市、藤田哲也会長、竹次修社長)が2026年4月、本格始動した。北海道の森林資源と旭川家具産業の木工技術を融合した、北海道初の樽メーカーだ。

2026年4月24日にはカンディハウス横浜でプレス発表会とローンチレセプションを開き、全国からの受注・販売を開始した。蒸留所やワイナリーなどの造り手に加え、酒販店、飲食店、バー、さらには一般愛好家までを視野に入れた展開を進める。

北海道バレルの藤田哲也会長

北海道バレルは、家具産地旭川のメーカーであるカンディハウスと、北海道内で高精度な集材と木材の高付加価値化を進めてきたノーザンフォレストが連携し、2023年に始動した「旭川樽プロジェクト」を母体とする。北海道産材による洋酒樽の製造を通じて、北海道の森と旭川家具産業の持続可能性に貢献したいという思いが重なり、産学官の多様なメンバーが参画した。こうした取り組みを経て、2025年3月10日に株式会社北海道バレルを設立。そして2026年春、製造・供給体制を整えて本格展開開始に至った。

クリエイティブディレクターの村田一樹氏

特徴は、北海道産木材に関する深い知見と独自ネットワークによる集材力、そして旭川家具で培った精密加工技術を掛け合わせた点だ。プレス発表会では同社の非常勤取締役でクリエイティブディレクターを務める村田一樹氏が、木材の産地や背景を明確にした「物語のある樽」のブランドフィロソフィーを説明。酒の味わいだけでなくその酒が生まれる土地との関係まで含め、多様な木材と革新的な樽製造技術によって、世界中の造り手と飲み手に唯一無二の価値を届けることを掲げた。

樹種展開については、まずナラ、サクラ、クリの3樹種をベースとして販売を開始した。このほか、タモ、ニレ、セン、カバ、キハダ、イタヤ、シナ、クルミ、アカシアも今後展開を予定しており、会場にはその試作が並んだ。

サイズは2.5リットル(月産40樽、納期約2~3か月)、30リットル(月産40樽、納期約2~3か月)、250リットル(月産30樽、納期約2~3か月)の3種を用意し、家庭や飲食店向けの小型サイズから、蒸留所やワイナリー向けの大型サイズまで対応する。30リットル以上では、樹種や産地を指定した特注樽の製作にも応じる。

ローンチイベントでは、多様な樹種の樽を並べ、樹種ごとの違いを可視化した。背面パネルで樹種の特徴を伝える構成で、カンディハウス横浜で今後も常設展示する。製品を見せるだけでなく、北海道の森にどのような広葉樹があり、それが酒づくりにどのように作用するかを伝える構成となっている。

北海道バレルの竹次修社長

北海道バレルの竹次社長は今後の展開について「まずは北海道内のワイナリーや蒸留所がある地域で、その裏山の木材を使って樽を作り、地域の造り手へ供給するといった流れを築きたいです。北海道ではワイナリーが74カ所、ウイスキー蒸留所が19カ所まで増えており、ここ5年ほどで数が増加してきています。各地で個性ある酒造りが進むなかで、地域の木を使った樽は差別化の手段になり得ると考えています」と語る。

ふるさと納税の返礼品申請も旭川市には申請済みだ。それ以外の自治体からも、その自治体から産出された木材を用いた樽として、ふるさと納税返礼品に向けた問い合わせがあるという。「道内販売は北海道バレルが担い、道外では株式会社カンディハウス横浜が代理店となります。この2社をベースに全国へ展開していく予定です」と竹次氏。将来的には輸出も視野に入れているようだ。

今後のPRでは、2026年5月20日から22日に開かれる「Meet up Furniture Asahikawa」で、カンディハウスの本社会場内に北海道バレルのコーナーを設けるという。家具産地・旭川で培われた木工技術を酒類市場へ広げる試みは、家具と林業、酒造を横断する新事業の一つとして注目だ。

(佐藤敬広)