アメリカ広葉樹輸出協会(AHEC) 広葉樹の持続可能性などを発表 全世界的に環境認証の強化進む

 アメリカ広葉樹輸出協会(AHEC、日本法人:大阪市北区、辻隆洋代表)は9月5日、ホテルオークラ東京(東京都港区)で記者発表会を開き、「アメリカ広葉樹の合法性・持続可能性及びSustainable Hardwood Coalition」についての説明を行った。

左からマイケル・スノー氏、ルパート・オリバー氏、辻隆洋氏
モーガン・パーキンス氏

 冒頭では、AHEC日本代表の辻隆洋氏が、発表会の趣旨を説明したのち、米国大使館農務担当公使のモーガン・パーキンス氏が登壇。「アメリカ農務省とAHECは、持続可能性に関する取り組みを続けている。今後も、合法的に秀でた環境基準を持ち合わせていることの認識を、より深められればと考えている」と挨拶した。

マイケル・スノー氏

 続いて「アメリカ広葉樹の持続可能性の実証」について、AHEC専務理事のマイケル・スノー氏が説明した。2000年以降、世界における広葉樹の需要の割合は日々変化をしてきた。2000年では、全体のうちの最多数を占めていたのはカナダ(35%)で、以下ヨーロッパ(29%)、東アジア(13%)、中国(10%)という割合だった。しかしこれが2017年には、第1位が中国が半数以上の54%を占め、以下東アジア(15%)、カナダ(12%)となるなど、中国市場が拡大。しかしながら2022年は中国が縮小し、その比率は32%にまで落ち込むなど、5年の間にでも大きな変化が見られる。
木材に関して、2013年以前前は輸出市場のほとんどに、環境規制はなかった。しかしその後、2013年3月のEU木材規則(EU Timber Regulation: EUTR)を皮切りに、世界的に広がりを見せ始め、その後オーストラリア、日本ではクリーンウッド法などが導入。こんにちでは全市場の4分の3以上に、木材に関する規制・規則が適用されている。

レッドオークの需要が高まりを見せている

 そのような中でAHECは、科学をベースに品質を担保。環境配慮の証明がどのようにされてきたのかのをまとめている。スノー氏は「木材がもっている属性として、木は炭素を貯留できるという特徴がある。広葉樹は1キロのなかに1・6キロの炭素が固定されているが、例えばアメリカの広葉樹が日本の港湾に届いた段階において、それはまだカーボンネガティブ(CO2吸収量が排出量を上回る状態)だ」と、アメリカ広葉樹の利点を語る。アメリカの広葉樹林のほとんどは私有林で、国有林ではない。森林の所有形態では80%が民間保有、残り20%が公有林だ。国有林の木材が使われることは少なく、したがってアメリカから輸出される9割以上の広葉樹は、民有林由来のものだ。民有林のオーナーの数は約900万で、個々の平均面積は40㌶前後とのことだ。アメリカの森林は蓄積量が増えており、伐採量よりも生育量が多いという。木が1本伐採される「自然倒木」に対して、2・5本分成長しているといわれているが、倒木したものからはCO2が発生する。アメリカではこれが1億6000万トンだ。したがって倒木させるのではなく、これを伐採して生かせれば、これだけの量のCO2も減らせるということになる。

 スノー氏は「我々はデータを蓄積し、州ごとのすべての樹種が、どれほどの生育量、伐採量、蓄積量であるかを可視化できるようにしている。レッドオークのほうが、ホワイトオークよりも早く再生する。1立米再生するのに何秒かかるかも示すことができるが、このようなデータは特に、デザイナーや建築家にとって大切になるだろう」とし、「建築家などから“このプロジェクトのために何本の木を伐採するのか”、という質問も受ける。しかし本質は伐採量ではなく、どれぐらい早く、伐採分が再生できるのか、という点が大切なのだ」と語った。

EUDRのタイムライン

 また同氏は、環境認証に絡んだ木材輸出に関して、今後の国内家具産業への影響にも言及。「例えば、日本のメーカーがアメリカの広葉樹材を用いて家具を製造し、それをEUなどへ輸出するとなった場合、EU森林減少フリー製品に関する規則(EUDR)の要件を求められることになる。その家具に用いられている米国産材が、アメリカのどこの場所で採られたものなのかという位置情報も、EU向け輸出では求められることになる」とした。

ルパート・オリバー氏

 続いて、米Forest Industries Intelligence Ltd.のルパート・オリバー氏が、持続可能な広葉樹認証プログラム(SHC)についての概要説明を行った。SHCは、もともとAHECによってファンディングされた組織だ。「広葉樹は優れたサステナビリティをもち、ほとんどのマーケットで環境に対応しているにも関わらず、広くマーケットでそのメッセージが伝わっていない。われわれはそれをどう伝えていくかを考え、実践している」とオリバー氏。

 米国の広葉樹材は環境認証をあまりうけておらず、認証広葉樹は限定された地域でのみ見られること。前述のスノー氏が語ったように、広葉樹材は小規模森林オーナーが由来だがその所有者の2%、森林面積の3%しか、認証を受けていないこと。サプライチェーンが一貫しておらず、小規模事業者に認証を求めることは難しくなっている点などを話した上で、環境認証を受ける流れはアメリカ国内に限定されたものではなく、どの国も将来的に対応していかなければならないだろうとの見解を示した。

(佐藤敬広)