フランスベッド 「エココンフォート電動ベッド」を11月末に発売 ”電動ベッド=介護ベッド”のイメージを覆す、幅広い層への新たな選択肢を提案

 フランスベッド(東京都新宿区、池田茂社長)は2023年9月27日、新製品となる「エココンフォート電動ベッド」を、11月末日より発売すると発表。同日にはフランスベッド六本木電動ベッドショールームにおいて、商品の説明会および体験会が開かれた。

 説明会の冒頭では、フランスベッドの池田一実副社長が挨拶し、企業の概要や、社会貢献への取り組み、今後の展望などについて説明。メディカル事業では福祉用具レンタルサービスについてや、廃棄物を抑制し、循環型社会構築に向けた取り組みについて述べたほか、インテリア事業においても、環境を意識した取り組みおよび、それに関連した商品開発について触れた。

 池田副社長は「モアリー仕様のマットレスは現在のところ、当社の製造品の約20%を占めているが、今後この比率を高め、2030年には50%まで到達させる。今後もさらに環境配慮型の商品開発に取り組みたい」とした。

 また、海外進出にも言及。現在ベトナムを中心にマットレスの拡販を進めており、2030年には海外事業の売上の20%をエシカル商品にするなどの目標を語った。一般家庭用のベッド製品についても、レンタルのビジネスモデルを今後導入していく方針のようだ。スタート段階ではまず、BtoBでのレンタルに注力。ホテルに置かれるエクストラベッドなどを、需要が高まる週末などにレンタルするといった取り組みを広げていきたいとした。池田副社長は「製造業者としての責任を果たしながら、同時に新たなレンタル事業を展開し、環境型社会の実現に貢献する企業を目指していきたい」と結んだ。

 続いて、同社上席執行役員でインテリア事業本部副本部長兼インテリア商品企画部長の上山直樹氏が、「エココンフォート電動ベッド」についての説明を行った。

 家具や家電などの耐久消費財は、長期にわたって使用されることから、購入から使用を終えるまでに製品が環境に与える影響や、社会課題の解決に貢献しているかが、なかなかわかりにくいのが現状だ。

 一方、SDGsの認知の広がりから、商品ができるまでの背景や素材の活用などについて、ユーザーのエシカル消費に対する関心は高まっている。フランスベッドではこれまでも、環境を意識した取り組みおよび製品開発を進めており、モアリーでのグッドデザイン賞受賞など、外部からの評価も得てきている。上山氏は「このような状況の中でも、10年、20年先を見据えた際、今からエシカル消費という選択肢があるべきだという考えのもと、エシカルライフスタイルに調和する製品として、今回の製品開発を進めた」と話す。

 「エココンフォート」とは、フランスべッドのモノづくりにおける新しい考え方の定義で、使用後のリサイクルや、使用素材のサステナブル素材導入など、環境を意識した開発を進めている。また、素材ができた背景までも吟味する必要があると同社。解体できるスプリングマットレスと、再生素材を利用したベッドフレームの組み合わせが、”エココンフォート”に値すると上山氏は述べた。

 エココンフォート電動ベッドには、主に3つの特徴がある。1点目が、マットレス「モアリーN」だ。マットレスは適正処理困難物に指定されており、分別・リサイクルが困難なことが社会課題となっているが、フランスベッドが2021年に発表した”解体できるスプリングマットレス”「モアリー」は、同社独自の技術である「プロ・ウォール」により、工具なしで解体できるよう設計。自治体での条件付き回収にも対応できるよう、2分割できるものを開発した。

 しかしながら2分割でも、自家用車での運搬が困難なケースがあることが判明。さらに改良を重ね、状況に合わせてさらに裁断可能な「モアリーN」を開発したことで、持ち運びや車に積み込める大きさにカットすることが可能となった。これにより、処分についての汎用性が広がった。

 「エココンフォート電動ベッド」にもこの「モアリーN」の新タイプを採用する(商品名:RX-HU-Ag-PWプレミアMON)。同社によると、電動ベッドに「モアリーN」を採用するのは初だという。

 特徴の2点目は、再生素材のベッドフレーム「パームループボード」を用いている点だ。パナソニックハウジングソリューションズが開発したパームループボードは、アブラヤシの廃材を利用したもので、これにより温室効果ガスを削減することが可能となる。フランスベッドでは2022年5月にこのパームループを用いたベッドフレームを発表したが、また新たな製品についても2024年1月に発表を予定している。

 3点目の特徴は、薄型電動リクライニング機構だ。電動ベッドは昨今の業界全体でも注目を集めているアイテムだが、「電動ベッド=介護ベッド」というイメージがまだまだ根強い。そこで同社は、「電動ベッド=介護ベッド」という印象に変化を与えるべく、薄型のリクライニングユニットを開発。

ベッドフレームの床板を外した状態
フレームに薄型電動リクライニングユニットを載せる
ユニット上に、リクライニング仕様のマットレスを載せる

 ベッドフレームの床板を外して、そこに電動リクライニングユニットに載せ替えることが可能となった。これまで使っていたベッドフレームはそのままに、新たに電動のユニットと、リクライニング仕様のマットレスを設置するだけで再び使用できる。

 スマートスピーカーと音声アプリなどと連携させての使用も可能であり、生活に広がりを与えられる商品となる。

 今後の目標について上山氏は「エココンフォートの定義を軸に、さらなる製品の拡大を図っていく。今回の新製品のターゲット年齢層はニューファミリー層などだ。新築やライフスタイルを変更する買い替えなどの時に、ぜひ選んでいただきたい」とし「日本はベッドの上で、動画視聴やスマホ操作などをして過ごす習慣が増えてきているのではないか。ベッドの上で、“眠ること”以外の用途でもお使いいただけるという点を訴求しながら、今後も電動ベッドに力を入れていきたい」と語った。


 説明会後には、特別企画のマットレス比較解体ショーが行われ、通常仕様のマットレスと解体・分別しやすいマットレスでの解体比較が行われた。

手前が一般的なマットレス、奥が解体・分別しやすいマットレス

 解体開始から約2分30秒で、奥の「解体・分別しやすいマットレス」は作業が終了。一方で、一般的な仕様のマットレスはまだ解体途中。歴然とした差に、来場者からも驚きの声が聞かれた。

 なお同製品は2023年11月末日より、全国の家具販売店、百貨店などでの販売を予定する。

(佐藤敬広)