2024/25 Autumn&Winter Bishu Material Exhibition 糸や織りで表情豊かな生地揃う

2024/25 Autumn&Winter Bishu Material Exhibitionが、2023年9月27日、28日にWITH HARAJUKU HALL(東京都渋谷区)で開催された。主催は一宮地場産業ファッションデザインセンター(愛知県一宮市、中野正康理事長)。

尾州とは愛知県一宮市を中心に、愛知県尾張西部エリアから岐阜県西濃エリアを指す。毛織物産地として知られ、現在は総合繊維産地として日本有数の規模を誇り、毛織物を中心に多様な素材を生み出している。この尾州産地の企業12社が出展。各社が付加価値のある素材を披露した。

展示会場入り口には、「撚糸」にフォーカスした企画を展示。尾州地域でしか作れない意匠撚糸の多彩さを紹介した。尾州では分業で作業を行うことにより、各工程で専門性が高い技術が生れ、さらにそれに対応する知識が深められることで、糸の多彩さが生れてきた背景がある。糸の組み合わせにより、ループや凹凸などを糸で表現することができる。

同展では、各社がテーマに沿った新作を展示するインデックスコーナーを設ける。日常を取り巻く世界は厳しい状況が続く。そうした現実を受け入れながら、空想に浸ることで現実から離れ、理想を目指していくことを今回は根底に定めた。

こうした考えを実現していくため「UNIVERSAL UNIFORMS(ユニバーサル・ユニフォーム)」、「SOFT DREAM(ソフト・ドリーム)」、「FANTASTIC TAILES(ファンタスティック・ティル)」をテーマとして設定した。ユニバーサル・ユニフォームはリサイクル、リユースなどの素材で新たな秩序を形成。差別、区別をなくし、性別を超えた新しい着こなし、服を目指していく。ソフト・ドリームは辛い現実の中でも優しく包み込まれる肌触り、柔らかな色合いを取り入れることで辛いことから一時逃避することを表現。ファンタスティック・ティルは現実世界から離れ、空想を楽しみながらも黒とビビットなカラーで組み合わせ、不気味で恐怖も感じさせることで空想の世界を引き締める。

国産の生地を見直す機運が高まっていることから来場者数は増加。円安、米中の対立による中国の商況の暗雲が垂れ込めていることが影響し、日本素材を見直す雰囲気があるという。
会場では、熱気のある商談の様子が見られたというが、アパレルの需要は厳しい状況だ。メインルートである百貨店は地方百貨店が閉店していることで、国内需要は低調。そのため、海外の販路開拓を目指していく。

また、異業種との取り組みも広げていきたい考え。鞄素材などウェア以外の依頼も受けている。尾州でしか表現できない糸、織りで新しい表現のソファ、椅子の張り地への展開の可能性を探る。