ミサワが進める接客力の強化 社内独自の「unicoアドバイザー」制度、資格保有者拡大中

 インテリアの販売店unicoを手がけるミサワ(東京都渋谷区、三澤太社長)が、売上拡大のために接客力の強化を挙げて、独自の社内制度によるサービス提案力強化に取り組んでいる。コロナ渦を経て実店舗での販売・集客に悩む同業他社が多い中、同社が注力するポイントとは何かを取材した。

 同社ではこれまで社員に対し、インテリアコーディネーターの資格を取得することを奨励しており、取得者には手当を付与するなどの制度を設けていた。インテリアコーディネーターのほか、インテリアアドバイザーの資格も取得者を増やし、企業としての提案を図っていたが、インテリアコーディネーターの資格をもったスタッフが、その知識をもとに横に展開して、組織的な営業力を高めるまでには至らないのが現状としてあった。

 そこで、このような資格を取得した社員を母体として、社内の独自の資格となる「unicoアドバイザー」を新設した。ミサワでは店頭で3Dコーディネート提案も行っているが、そのコーディネートにおけるデザインの技術と ユーザーの要望や潜在的な悩みを聞き出すヒアリング力やコーディネートを魅力的に伝えるトーク力を含めた接客スキルを高めることが目的だ。新資格の取得のために課題試験を課して、事例ごとにおける対応力の強化を図っている。

 初回の「unicoアドバイザー」試験は8名の合格者を出しており、今後20名前後まで、「unicoアドバイザー」資格保有者数を引き上げる予定だ。公的なインテリアコーディネーターまたはインテリアアドバイザーの資格を持っているうえで、さらに同社独自の資格をも保有するということになる。
ちなみに、この3Dコーディネートによる提案は、店舗販売スタッフは全員が対応可能。まさに同社の販売提案の基軸だ。販売スタッフは全体で360名ほど。各店舗には、3Dコーディネートのトレーニングスタッフが在籍している。

「unicoアドバイザー」となったスタッフは、資格保有者の証であるバッジをつけ、接客業務にあたる。同社ではインターネットからの来店予約システムも備えているが、そのシステムにも「unicoアドバイザー在籍店」の表示を行うことで、より専門的な知識をもつスタッフが在籍する店舗への顧客誘導を図る。

「何かインテリアの相談事を思いついた場合は、”unicoアドバイザー”が在籍している店舗にいこう、とお客様に思っていただけることで、他社との差別化にもつながると考えています」と、同社取締役の鈴木裕之氏は語る。WEB予約システムからは、部屋の間取り図の情報も同社へ送信することができるため、顧客が来店した際に、事前に受け取ったその間取り図情報をもとに同社スタッフが提案・案内が可能だ。

 なお、今後は 「unicoアドバイザー」の資格は更新が必要な制度とする予定だ。一定の期間ごとに更新のための試験を設け、日々情報のアップデートをスタッフにも要求しながら、最新のトレンドなどをもとに接客・提案をしていくという、ミサワとしての姿勢がうかがえる。

 同社はEC販売も手掛けているが「ECでの販売では、お店に来ていただいて認知していただき、そのうえで、ECサイトでご購入いただくことが多いです」と鈴木氏。実店舗で製品を見ることなくECサイトだけで購入するユーザーはほぼいないようだ。つまり、必ず店舗での接客・サービス提案を経由して、実店舗もしくはECでの売上につながるという図式になる。このことからも、同社が店舗での接客により力を入れている理由が垣間見える。

 店舗に配属が進んでいる「unicoアドバイザー」は、社内のステータス感の醸成にも貢献が期待できるという。鈴木氏は「きちんとお客様との対話を店舗で重ね、ライフスタイルの提案をしっかりと図れる接客をさせていただけるよう、今後も力を入れていきたい」と語る。「接客力」を武器に、よりよいインテリア提案を行う同社の「unicoアドバイザー」の活躍が、今後も注目されるところだ。