「ARIAKE DESIGN TALK EVENT」 Hirata Chair Tokyoで開催

 平田椅子製作所(佐賀県佐賀市、平田尚二代表)は2023年10月21日、Hirata Chair Tokyo(東京都港区南青山4丁目1-15 ベルテ南青山#103)で、同社とレグナテックとの共同ブランド「ARIAKE」のトークイベントとなる「ARIAKE DESIGN TALK EVENT」を開催した。当日はプロジェクトに携わるGabriel Tan氏、Staffan Holm氏、Rui Alves氏、芦沢啓治氏、寺田尚樹氏、Martina Perrin氏(アートディレクター)が登壇した。

 「ARIAKE」は2017年スタートのブランドで、世界9か国のデザイナーがプロジェクトに携わっている。クリエイティブディレクターを務める、シンガポール出身のガブリエル・タン氏は冒頭「現在、15以上の国で販売し、2つの会社が成長して、”ARIAKE”が成功していていることは、とても幸せで誇りに思います。プロジェクトに参加してくれたデザイナーたちがいなければ成しえませんでした。”ARIAKE”は佐賀発のブランドとして、家具ブランドを世界に広めるため、多くの人たちによって創られたブランドです。まだまだ道の途中だが、これからも頑張っていきたいです」と挨拶した。

 その後、今年開かれたワークショップを振り返りながら、登壇者によるトークが繰り広げられた。芦沢啓治氏は、佐賀県で作られた和紙を使った家具を着想。「なんとなく、今回は和紙と、佐賀県産のヒノキを使おうというのはプログラムにあり、太良町のヒノキの山を皆で見に行きました。ヒノキ材の使い方は平田椅子製作所もレグナテックも上手い。この見学には、海外のシンガポールや米ニューヨークのリテーラーも一緒に来てくれました。ブランドとしてとても成長していると感じました」とし、実際にARIAKEの製作現場を海外リテーラーが見学するといったことは、なかなかできるものではないと語った。「ブランドはストーリーテリー。いかにブランドの背景を伝えられるかが大切です。海外で売っていきたいということはもちろんありましたが、より多くの人に知ってもらいたいです」と、日本のブランドである点というところを強調したかったと話す。

 寺田尚樹氏は、試作品の製造について触れ「デザイナーの想いというのは、なかなか伝わらないことも多いです。デザイナーの想いを組んでもらうことは、とても大事だなと思いました。今回のワークショップでは、プロトタイプを作る回数を減らした方がよいのかなと個人的に思っていたのですが、非常に協力的にプロトを作っていただきました」と話す。ある日の朝に工場でデザイン案を提示すると、その日のうちに試作品が出来上がったことも多々あったといい、そのスピード感にデザイナー一同は驚愕していたようだ。

 最後にタン氏はARIAKEのプロジェクトについて「さまざまな企業と仕事をしていますが、ARIAKEでは、工場で働いているスタッフ全員の名前が分かります。ARIAKEはたくさんの人のコントリビューションによって成り立っています。今後もディレクターとして意志を強く持ちつつ、柔らかい姿勢を持っていきたいです」と結んだ。

 ワークショップで製作されたプロトタイプは、そのすべてを商品化するわけではないが、8割~9割のものがコレクションラインナップに加えられるという。今後のARIAKEブランドの発展が注目されるところだ。

(佐藤敬広)