島忠 「ホームズ横浜鶴見店」 12月6日オープン ニトリグループ入り後初の島忠新規店

島忠(さいたま市中央区、岡野恭明社長)が2023年12月6日に、「ホームズ横浜鶴見店」をオープン。ニトリホールディングスとの経営統合後における、初の新規出店店舗となる。同店は1986年から2020年まで運営していた「島忠横浜店」の跡地に、新たに店舗を建築したもの。

「ホームズ横浜鶴見店」は、ニトリホールディングスとの経営統合によって生まれた様々な改革・改善をベースに、最新の品揃えとサービスを具現化した店舗として展開。1階がホームセンター商品、2階は家具ホームファッション・日用品を取り揃える。2200点以上の島忠・ホームズプライベートブランド商品をはじめ、ナショナルブランド商品(メーカー商品)やニトリ商品まで、幅広く取り揃える。

衣料品「N easy」

新店舗の特徴の一つとして、島忠・ニトリ共同開発のカジュアル衣料品「N easy(Nイージー)」やドラッグ、コスメの売場も充実させていることが挙げられる。

「N easy」は島忠独自のアパレルブランドで、普段着として気軽に着用できることをコンセプトに開発されたものだ。これまで島忠の顧客年齢層は、中高年層の割合が比較的多かったが、このような従来の顧客層にプラスして、若年層の来店も促進できるよう、幅広いジャンルの製品を取り扱う。ドラッグ、コスメについては、今後の高齢化社会を考えても非常に効果的に働くと捉えているようだ。

なお3階にはスーパーマーケットSANWAも出店。島忠が目指す「衣食住を兼ね備え、ワンストップで買い物ができる店舗」としての展開を図る。


左から熊川店長、須藤会長、岡野社長、北川店長

オープン前日の12月5日には、内覧会を開催。島忠の須藤文弘会長と岡野恭明社長および、「ホームズ横浜鶴見店」の熊川孝至店長(1階ホームセンター店長)、北川昇店長(2階家具店長)が、報道陣に新店舗の概要を説明した。

須藤文弘会長

須藤会長は冒頭で「ホームズ横浜鶴見店」の開設経緯を説明。「かつてここにあった”島忠横浜店”は、1986年にオープンしました。約40年前に土地を8億円ほどで買ったわけですが、当時の島忠にとっては非常に大きな買い物でした」と振り返る。当初は土地用途の制限によって、小さな形態の「鶴見家具センター」として、1980年から約6年間運営。その後、「島忠横浜店」となった。旧・島忠横浜店は、1階および2階がホームセンター、3階および4階を家具のフロアとしてオープン。1996年には売場面積2000坪で、ホームセンターと家具を合わせて約85億円を売り上げていたと須藤氏。大きな利益をあげる店舗として、島忠が上場する一つのきっかけとなった店舗でもあった。

しかしながら、2011年の東日本大震災で店舗裏側の斜面擁壁が崩れたことによって、補修などの再整備に取り掛かるため、2020年に店舗を閉店する。土地については他の事業者等に売却するという案もあったが、最終的に島忠が再び店舗を開設することに決定。ニトリホールディングスとの統合前には、既に今回の新店舗の計画が出来上がっていた。

リフォームコーナー

「旧・島忠横浜店は、周辺のお客様からしっかりと需要があった店でしたので、お金がかかっても再建しなければ、という思いでした。以前からリフォームの需要があったエリアなので、今回の新店舗ではこのリフォーム分野も強化しています。”ホームズ横浜鶴見店”は、島忠再生のシンボルであり”第二の島忠”のスタート。今後も何店舗かの出店候補地を決めていますので、勝負に出ていきたいです」と須藤会長は意気込む。

島忠の今後の出店に関しては、ニトリグループのノウハウを活かせることが強みであると強調。大規模な物流センターを全国各地に展開していることや、グループで配送等の物流も手掛けていることから「グループの物流ルートを使えば、全国のどこに出店しても大丈夫だと考えています。主要都市に出店を考えていますが、しかし今は土地代や建築費が高騰しているので、ホームセンターの粗利で新規出店にあたって土地を買ったり借りたりするのは得策ではない。したがって今は、構想をあたためている段階です」と話す。

島忠PB商品の割合を増やしつつ、多様なラインナップで選択肢を確保

基本的な出店のパターンについては、ホームセンター単独の店舗と、モール型の店舗の2パターンで構想していることを明かした。「主要都市に用地があれば、家具も販売できる大型店も出していきたいと考えています。ニトリとの経営統合後、約2年半で様々なことに取り組んできましたが、ここ1年ぐらいで思ったことは”島忠はニトリと共存してきたのだ”ということでした。したがって品揃えも、統合前の島忠のラインナップに戻すものは戻しているところ。お客様が島忠とニトリをきちんと使い分けていらっしゃるということが、データをとって明らかになりました。島忠は島忠のカラーでこれからは進めていくため、PB商品のみならず、ナショナルブランド(NB)商品もきちんと取り揃えるということを徹底していきます。そのことが、お客様にとっての選択肢を増やすことになります」と須藤会長は説いた。


岡野恭明社長

続いて岡野社長が挨拶。「ニトリと経営統合したのち、島忠として初めての新規出店になりました。CMも流しており、”島忠が変わった”ということをまず第一声でお伝えしています。島忠はこれまで、”価格が高い”という声を多くいただいていましたが、今回は”安くなった”ということをとにかくお伝えしたいということで、CMでも特価品や様々な企画を多く設けていることを伝えさせていただいています」と、”安く、便利に”という姿勢を強調した。

「近隣にはニトリの店舗がありますので、家具・ホームファッションのラインナップはしっかりと差別化を図っています。従来島忠が得意としている中価格帯や高価格帯の家具もしっかり取り揃えつつ、それに合うカーペットや照明なども取り揃えながら、ニトリとはまた違うインテリアを楽しんでいただける店舗になっています」と岡野社長。「ECでの購入も当たり前な世の中ですが、店舗に足を運んでいただくお客様に対して、実店舗の良さや存在意義をしっかり伝えられるようにしなければいけません。お客様のご意見・ご意向をお伺いし、しっかりとお客様の部屋を想像しながら、”寄り添う提案”を心がけていきたいです」と、顧客のニーズに寄り添いながら、実店舗ならではのサービスを提供していくという考えを示した。


1階フロア

「ホームズ横浜鶴見店」には、全体で約8万アイテムを取り揃える。家具・ホームファッションでの売上構成におけるPB比率は、島忠PB品が約15.1%。この島忠PB品については、”島忠は価格が少し高い”というイメージを払拭するために、”どこにも負けない価格”を一番のコンセプトに商品開発を進めている。店舗には島忠PB商品のほか、NB商品、ニトリブランドPBの中から、同社のコンセプトに合う商品をラインナップ。島忠PB商品の比率については、毎年10%ずつを目安に、今後約40%まで引き上げていく方針だ。

2階の店舗図。上から家具インテリア、中央の季節用品を境に寝具寝装品や日用品が並ぶ

新店舗の最大の特徴は、”1フロア丸ごと、家具・インテリアのフロアではない”という点だ。島忠の既存店は1階がホームセンター、2階が家具インテリアという構成が多いが、新店舗については2階の半分が家具インテリア、もう半分がドラッグ・コスメなどを含めた日用品でフロアを構成している。

2階の半分は日用品

「新店舗の2階については、家具を販売するのか、それとも販売しないという選択をとるか、というところまで検討しました」と須藤会長。かつての旧店舗における家具の売上実績を鑑みて、近隣の島忠やニトリ店舗と差別化を図ることができるようなアイテムを凝縮した家具売場を設けた。そのうえで、今後のホームセンターの標準売場面積を1500坪ないし2000坪で標準化するという考えのもと、島忠初の試みとして2階に日用品売場を設けたという。

ベッド売場も広々と
島忠PB商品、ニトリPB商品、そしてNB商品が並ぶ

家具のみの売場面積は545坪。これは島忠で家具を販売している店舗の中でも、下から4番目の面積だ。面積を少なくした分、よりアイテムを厳選し、トータルコーディネート提案を図る。


学習机など
リビングセットエリア
ダイニングセットのエリア。奥が日用品エリア
リビングおよびダイニングボード
家具売場の中心には、カリモク家具のアイテムが並ぶ
多機能チェアが並ぶChair Studio
オープンラックやシューズボックスなど

家具フロアについては、スタイル別のコーディネート提案売場では、家具のテイストに合わせたクッションカバー、スローケット、ラグなどのインテリア用品で演出。その場でユーザーがコーディネートアイテムを選べるように近くに陳列した。これにより「理想の部屋」をユーザー自身で楽に実現することが可能となった。


カーテンコーナー

寝具品のエリアは、まくらの棚の奥にマットレスを配置。ユーザーがマットレスを体験する際、まくらの棚があることによって、通路を通る他の利用客から見えにくくなる。これにより、心理的負荷の低減につなげる。


寝室コーディネート提案
2階エントランスには、トータルコーディネート提案型売場を設ける

新たな島忠を体現する「ホームズ横浜鶴見店」。島忠はこの新店舗について、新たな試みの”実験の場”として推移をみながら、既存店の改良についても模索していくようだ。

(佐藤敬広)


店舗概要は次のとおり。

所在地: 神奈川県横浜市鶴見区岸谷3丁目9番1号
売場面積: 1階 1232坪、2階 1186坪
フロア構成:1階 ホームセンター売場、2階 家具ホームファッション・日用品売場、3階 スーパーマーケットSANWA
開店日時:2023年12月6日(水)朝9時 オープン ※スーパーマーケットはオープン日が異なる。
営業時間:9時~21時