ジェフサパートナーズクラブ(JPC) 2024年新春例会開催

ジェフサ(大阪府吹田市、原谷明彦社長)の取引先とジェフサメンバーで構成するジェフサパートナーズクラブ(JPC)の新春例会が1月24日、大阪府豊中市の千里阪急ホテルにて開催された。例会にはJPCのメンバーなど、約90人が出席した。

会は国歌斉唱に続き、来賓の一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会(VCA)の佐藤隆専務理事、JPCの池田茂代表幹事(フランスベッドホールディングス会長兼社長)以下幹事11人、ジェフサの増山輝会長以下役員9人が紹介された。

来賓挨拶に立った日本ボランタリーチェーン協会の佐藤専務理事は、ボランタリーチェーン協会でも役員異動があったことに触れ、VCAでもパーパスが何かということを見つめなおす時期にきていることを冒頭で話した。また、賀詞交歓会の記念講演内容にも触れ、2024年の先、2040年問題について取り上げた。「VCAには様々な業種がありますが、どの業界でも人手不足の問題は深刻です。2040年問題では、すべての業種が足りなくなることが講演で話されました。1100万人の労働人口がなくなること、これは関西圏の労働人口がなくなる規模ですが、そのようななかでも業績をのばさないといけません」とし、「唯一人口が増える年代は、85歳以上の世代です。週に2日でいいから働きたいという方々をどのように活用するかがカギです。大手と比較して、中小企業は人材の確保が難しいです。知恵をつかってできるような社会環境、会社の環境を、DXを用いながら作っていかないといけません。是非ともに頑張っていきたいと思います」と、JPCのこれからの活動に期待を寄せ祝意を述べた。

JPCの池田茂代表幹事は、冒頭の挨拶で「年明け前から、日本の企業の株価がどんどん上がっていて、輸出業や外国人の観光客をターゲットにしている業種は、業績はいいと思うのですが、国内のマーケットでやっている企業、その中でも我々割耐久消費財を作っている会社は、どう見ても良くなっていくとは思えません。我々の業界は、売り先がどんどん減っています。地方では小さな家具屋さんはあるのかもしれませんが、大きな家具屋さんはなくなっています。地方では家具屋、家具販売業は成り立たないのでは、と思いました」と、地方の販売店の減少について触れた。

そのうえで、「成り立たないのは、人口が減っていて、高齢化も進んでいるからです。先日の震災で、石川県の珠洲市というところが報道でよくでてきますが、珠洲市は65歳以上の人口が52%だそうです。そんなに高齢者ばかりでは、家具屋は成り立たないのではないかと思います。当社の社員にも、私のような高齢者が欲しくなるような商品開発を考えさせているのですが、しかしなかなか、高齢者が何を求めているかがわかりません」と、高齢者向け製品についてのニーズを分析していることを話した。

また池田氏は、「地方の人口は減り、かつ高齢化が進む中で、しかし何か行動を起こしていかないといけません。お年寄りに購入していただけるような商品を開発しないと。若い人はどんどん減っているのですから、増えるところに焦点を当てていかないといけません。しかしもう一つは、そのようなものを作ったとしても、売る場所、お店がありません。どうやって売るかを考えないと、いくら作っても、お店がないと売れるわけがないのです。当社では、京都の舞鶴や和歌山の新宮などの地域でも、展示会を計画しています。どれほど売れるかのデータをとり、そこで成功すれば、そのパターンを全国に広げていき、これまでに注文が無かったエリアからも注文を受けることができるのではないかと考えています。日本はそんな状態ですが、ドイツなども、家具業界は寂れてきています。先進国は、耐久消費財は売れていません。しかし、そのような情勢でもなんとか乗り切るのが経営者です。ぜひ皆さん、知恵を出して頑張ってください」と結んだ。

ジェフサの増山輝会長は、冒頭で昨年の情勢に触れ、「大変な時代を迎えています。一昨年から続く物価高、円安その他が続いています。給料を上げろと政府は言っていますが、実質的な生活は厳しくなってきているのが現状ではないでしょうか。私どもも、お客様に接していて、そうした方が増えてきていると感じています。安いものを買っていたお客様でも、買わないという人が増えています。各店によって違うとは思いますが、全体的にはそのようなムードです。このような中、私ども家具小売業界、そして今日お集まりの卸製造業界の皆さまとともに、なんとか力を圧わせて生き残るためのいろんな施策をやっていくべきだと思っています」と話した。

また、元日に発生した「令和6年能登半島地震」では、増山氏が代表を務める米三(富山県富山市)の店舗も大きな被害を受けた。この件について同氏は「震災についての話ですが、16時過ぎの地震がおさまったのち、当社の店舗であるファニチャーパーク・ケースリー(K3)に向かいました。17時過ぎに到着したのですが、水が外に流れていたのが見えたのです。スプリンクラーの誤作動によるものでした。K3店舗外壁に設けていた窓ガラスも、3枚が破れていました。私が到着した際、社のスタッフはまだ誰も来ておらず店内は、真っ暗だったのですが、中は水が出ていました。暗くてよく見えなかったのですが、防煙垂れ壁がバラバラに落ちていた。商品は見る影がないような形で倒れていました。そのような中で当社の専務、常務も到着しました。常務が責任者なので電気をつけた。なんとか店内が見えるくらいの電気がついたのですが、今でも忘れられない、愕然としました。1階と2階を見て回りましたが、防煙垂れ壁がバラバラに落ちていて、家具がめちゃくちゃ。1階は、水は出てきていたものの、2階ほどは酷くはありませんでした」と、防煙垂れ壁およびスプリンクラーの誤作動による店舗被害の惨状について語った。

増山氏は「1月2日が初売り予定でしたが、ともかく片付け、商品の後始末で手一杯。水を吸い出すために、ポンプも買ってきたのですが、それでもずっと水がひかず、7日ほどたって晴れ間が出てきて、ようやく水が引いてきました。1月1日は休業日で、社員やお客さまが店にいなかったのが、不幸中の幸いでした。1月2日から14日にいたるまで、社員が本当によく働いてくれ、大変感謝しています。なんとしてでも復興させないといけないと、決心しています。今はK3の店舗は、1階の半分のスペースを用いて運営しています。しかし、被害総額は数億円規模。恐らく、被災前のもとの形で営業できるのは、4月ぐらいからになるだろうと感じています。今日にいたるまで、ジェフサはじめ、取引先の方々が応援・お手伝いをしてくださり、ありがとうございました。今後どうなるかわからないですが、私がやれると思わなければ社員もついてこないと思っています。地震は避けられるものではないですが、最低限の備えについて、できることは今から考えてやっておくのがいいと、つくづく感じました。懇親会では明るい話をしたいと思っています。今年一年始まったばかりですが、よろしくお願いいたします」と、社員および関係各社への感謝を述べた。

こののち、ジェフサの原谷明彦社長が、ジェフサの事業の基本について、説明を行った。ジェフサのミッションは「メンバー店の経営向上をはかり発展に貢献する」ことであり、そのために①VC事業②プロデュース事業③インフラ事業の3点を軸に事業を進めている。メンバー店の現状については、家具専門店、ホームファッション店、アウトレット店の3つに業態わかれており、売上は専門店が28.4%、ホームファッション店33.3%、アウトレットが38.3%の比率であることが説明された。

①のVC事業については、「コミュニケーション」「情報」「教育」の3点の充実を図る。「コミュニケーション」は、年に5回のジェフサ全国大会で、加盟店の売場を視察し、情報として共有していく。また「情報」の共有の点ではジェフサ店長会議やフロアマネージャー会議に取り組んでおり、オンラインなどでも開催している。「教育」は、新入社員研修や販売技術研修などについて、家具の販売に携わる社員を加盟企業から集めて研修を行う。研修についてのテキストもより整備を進めていくようだ。

②のプロデュース事業については、中規模店の活性化をポイントとする。600坪から1500坪の店を中心に、地方の商圏人口が少ない、ニトリなどの他店舗と競合しているエリアでの運営サポートを行う。商品については、オリジナル商品開発などを進めている。国内の仕入れ先との取り組み、商品開発と販売プロモーションを組み合わせた取り組みの実績は上がってきていると原谷社長。「新しい売場の提案」について、新たな顧客の獲得のための売場企画として、ペットの猫を基軸とした「ねこ暮らし」の売場構成プロデュースを手掛けており、こちらも実績は上がってきているようだ。
また、商圏エリアの集客課題を見える化する販促支援ツール「miarea(見エリア)」についても説明。スマートフォンのGPSデータを解析し、エリアの集客数の課題を分析できるツールだ。これにより、どの場所から来ているか、どのような人が来ているかなどの情報が得られる仕組みだ。

③のインフラ事業については、全国4500店舗が加盟している独立薬局の支援組織であるJOVI(大阪市中央区)と業務提携を行い、「JEFSA電力」として電力供給の取り組みを2月より進めていくことが明らかにされた。また、基幹システムのクラウド化などにも取り組んでいきたいとする。

原谷氏は「この数年でAIというのも、店の業務の一部で使えるのではと思っていますので、来年度はそのような研修についてもやっていきたいと考えています。デジタルサイネージについても、島田屋さんの高松店での実績もあります。当社としても、ワンストップで新しいサービスをどんどんと提供できるようにしていきたいと考えています。引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします」と語った。

そののち、記念講演にり移り、「中国の台湾侵攻シナリオ~中小企業の自己防衛策とは~」をテーマに、キャノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司氏が講演を行った。朝日新聞社の中国特派員時代に中国で起こった出来事などについて冒頭で説明。また、3年前と現在では、この台湾有事の脅威が国内でも顕在化してきていると指摘した。有事の船舶戦争保険や航空保険の特徴と限界についても説明。危機は2027年までに起こるとし、倉庫や物流の管理と、有事の際の代替策の検討を強調した。峯村氏は「台湾は、戦時を想定した防災訓練を実施している。日本も同様の訓練などを考える時期ではないか」と締めくくった。

講演会終了後の懇親会では、ジェフサの岡本浩延取締役副会長が挨拶し、イケヒコ・コーポレーションの猪口耕成社長が乾杯の発声を務め、開催された。