家具インテリアR&R協議会 実証実験見学会開催 

家具インテリアR&R協議会(会長:岡田贊三/飛騨産業代表取締役会長)は2024年2月16日(金)、実証実験見学会を開催した。見学会は積替え保管施設(さいたま市見沼区、TAKADA環境内)および中間処理施設(埼玉県寄居町、エコ計画 寄居Eスペース)の2か所を訪問。17社 38名(一部のみ参加者含む)が参加した。

協議会では、環境経営の3本柱である「資源循環」「温室効果ガス削減」「生態系保全」を家具インテリア業界でもビジョンととらえ、とるべきミッションを設定しており、温室効果ガスの削減については、2050年のカーボンニュートラルへむけ、排出削減および脱炭素化への取り組みを、企業の事業活動として進めている。合法木材や国産材の活用や、再生資源の有効活用が課題であるとし、家具を適切に修理していくことによる「製品の健康寿命延伸」により、廃棄させないことを念頭においた環境負荷の低減および環境保全を推進している。

廃家具リサイクルの流れ(概要)

今回の取組は、同協議会がサーキュラーエコノミー実現に向けた4つのタスクである①リソーシングワーキンググループ(WG)、②長期愛用/リニューWG③ZEROカーボンWG④再生デザインWGのうち、①のリソーシングWGの活動の一環だ。同ワーキンググループでは、昨年6月から同年9月末まで、廃スプリングマットレスリサイクルの効率的な回収、鉄資源などの資源循環の促進を足掛かりに、リソーシング系の共通基盤構築に向けた実証実験を関東で実施し、各社の廃家具処理用と処理コスト情報の収集および共有化、不要家具の回収や中間処理、最終処分のネットワーク構築やデジタルデータに基づく資源循環促進の可視化、効率化手法の確立を目指してきた。この実証実験で収集したスプリングマットレスの分析では、品質表示タグに記載の製造者情報が、経年劣化により読み取りが困難なものが多くあったことが判明した。また、本体に製造者判別に繋がる情報が記載されておらず、メーカー不明のものも多く存在した。

実証実験見学会は、協議会参加会員が前述の2施設の現場を視察してリサイクルの実態を視認、体感することで、同協議会が目指す廃家具リサイクルの現実と困難さ、重要度を認識し、意義と理解度を高めることを目的として開催した。第一の見学場所であるTAKADA環境は、廃スプリングマットレスの集約/処理機能施設(積替え保管施設)として、関東圏の排出事業者からスプリングマットレスを収集、集約、選別、保管等を効率管理する機能をもつ。同施設では障がい者支援団体への就労支援としてS.マットの手解体・分別作業を担わせ、高度な資源化を確立している。

中間処理施設の一つであるエコ計画

この積替え保管施設で手解体・分別作業が行われたのちに、手解体・分別だけでは捌き切れないS.マットを、次の中間処理施設へ移す。第二の見学場所で、この中間処理施設に該当するエコ計画では、そのままの形で投入できる大型マットレス破砕機を用い、鉄と布・ウレタン等の繊維くずを自動選別する機能をもつ。これにより、鉄資源化と固形燃料(RPF)化リサイクルを短時間で効率的に行うことが可能となっている。エコ計画の寄居エコスペースには、木くず破砕機、焼却施設2基)など、様々な施設を保有している。同協議会では、今後、家具の広域リサイクル認定が認められた際に、同施設が利活用範囲の拡張が望める施設であることを現認できたとしている。なお、エコ計画は群馬県には最終処分(埋立)場も所有。群馬県高崎市には森林を有しており、CO2吸収量クレジットを発行するフォレストック認定制度に認定されている。

広域認定では、廃棄物となった自社製品を広域的に処分できるようにすることで、再資源化しやすい製品設計に反映し、廃棄物減量や適切処理の確保を目的としている。見学会終了後には、家具インテリアR&R協議会の西副会長が、見学会参加者へ挨拶したのち、スプリングマットレスリサイクル実証実験を終え、実際のリサイクル事業開始にむけ、一般社団法人「家具インテリア リサイクル協会(仮称)」の設立を経て、広域認定申請手続きに入ることを発表した。関東圏でのS.マットレスリサイクル事業を皮切りに、全国エリアでのネットワーク作りと、一般家庭における廃家具の広域処理認定への拡大を目標に、R&R協議会会員各位の理解と協力、および社団法人への参画を呼び掛けた。