家具インテリアリサイクル&リニュー協議会 第1回総会開催 広域認定は12月頃取得を見込む

家具インテリアリサイクル&リニュー協議会(岡田贊三会長)が、定例第1回総会を2024年5月30日に開催した。会場はTFTビル9階会議室。

総会議事は、冒頭の岡田会長の挨拶に次いで、協議会内に設けられた各ワーキンググループ(以下、WG)代表による2023年度の活動報告が行われた。リソーシングWGの活動については、同WGリーダーの髙田輝成氏(TAKADA)が説明。同WGには合計27社が参画し、製造・販売・IT・物流での垂直連携を図っている。同WGは不要家具の引取・分別、再資源化促進事業モデルの研究開発を目的としており、「家具業界が連携する、有償引き取りから再資源化・再生の仕組みとしてのプラットフォーム構築による、環境負荷をかけないゼロエミッションの達成」をゴールに掲げている。

そのうえで、この達成のため①「リソーシング・ネットワークの構築」②「ゼロエミッションの高度化」③「処理困難物の改修環境整備」の3つをミッションに設定。①は将来的な不要家具の回収・集積・処理処分の合理化と回収率アップを目指したデジタルプラットフォームの運用を構築する。②は回収した家具の処分についてゼロエミッションを達成し、リユースなど環境負荷の少ない資源化にむけた技術の模索を進める。③は広域認定対象のスプリングマットレスを手始めに、大型の複合家具類など処理困難物の処理について、関係各所との調整を経てリサイクル環境を整備していく。

このミッションに対して昨年から、リソーシング事業の法人化にむけて必要不可欠となる、廃スプリングマットレスの広域認定取得の準備実証実験を実施した。産廃処理のサービス化に向けて、会員各社がネットワークで回収し、関東エリアで月に1000本の共同回収を予定する。

排出事業者や処理業者のネットワーク構築を支えるデジタルプラットフォームシステムの開発にも着手。デジタルプラットフォーム「StateEco」を開発し、プロトタイプ運用を開始している。今春からは「StateEco」の正式サービス化に向けて準備を進めているとした。

これらに並行して、第1期では一般社団法人の設立についても議論が交わされ、法人名を「一般社団法人家具インテリアリサイクル協会」とすることを決定。現在は設立準備期間として、2025年までの事業計画の策定を行っているほか、2028年までのロードマップを作成している。

また、環境省への広域認定申請についても、家具メーカー、販売店8社の協力のもと、初回申請の事前協議を始めている。前述の実証実験の結果を環境省とも共有し、同省との連携体制が出来上がってきているとした。

これらを踏まえ髙田氏は、①のミッションは達成できたとしながらも、②③のミッションについては「リーダーシップ人材不足」を課題に挙げ、特に第2期以降、この2つのミッションを協議会で主体的に推進する人材を募った。また、ゼロエミッションの高度化に対して、家具インテリア材に関する組成別のマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル実態の分析・調査やリサイクル再生技術の調査や活用検討も行っていくことを明らかにした。

処理困難物の回収環境整備についても、今年度に生活者調査を実施し、業界からの問題提起と課題、対策の提示提案のための情報を収集するほか、首都圏における調査として、自治体による大型家具、電動家具のゼロエミッション加が可能であるかどうかの問題提起も行うとした。


続いて、長期愛用WGの活動を、同WGリーダーの榊原岳広氏(カリモク家具)が説明した。同WGは家具の健康寿命(長期耐用性)を向上する仕組み構築のため、「様々な分野での課題である製品長寿命化による環境負荷低減に向け、製品評価、修理、適正メンテナンス技術と仕組みの研究開発」をテーマとする。ミッションとしては①「修理ネットワークの構築」②「サポート情報システム開発」③「再販市場の活性化」の3点を掲げている。

同WGには23年8月より24社が参加。以降、グループでの会議はこれまでに5回行った。活動としては修理ネットワークの構築の事前準備として、メーカー各社の現状の修理の実態や修理委託業者の調査、実証実験の希望エリア調査などをアンケートで実施。調査によって、修理に関する告知や申し込みの手順、商品の特定や見積もり伝票の形式、梱包材の種類をどのようにするかといった課題も明確になりつつあるとした。

当面の取り組みとして、デジタルプラットフォームを活かした修理受託を共同で実施することにより、修理コストや修理時間の低減に務めるほか、会員企業の家具のメンテナンスなど、長期愛用に関する情報を消費者に発信する。

また、2025年1月からは関東の1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)において、修理ネットワークシステムの実証実験を行う予定であるとした。対象物は食堂椅子で、R&R協議会参加各社が、顧客が希望する食堂椅子の修理について、各社垂直連携により申し込みや入金、配送依頼の仕組みづくりを実施。この実証実験により、需要の把握とネットワークの稼働を確認していくとした。

その他の活動報告では、設立発表会、全体会議、講演、タスク1実証実験見学会の開催を実施したことが報告された。そののち、収支決算報告が出席者の拍手によって承認された。

次に同協議会の福村勉氏が、新たなタスクGの始動計画について触れ、タスク3のZEROカーボンWGとタスク4の再生デザインWGプロジェクトについての今後の在り方、構想を説明した。

同氏は続いて、設立予定の「一般社団法人家具インテリアリサイクル協会」についての概要を説明。R&R協議会と家具インテリアリサイクル協会の2つの組織体で並行して活動に取り組むとし、R&R協議会は研究開発が主軸、家具インテリアリサイクル協会はその事業の推進を軸とするとした。環境省が定める広域認定制度は、リサイクル事業を行うことができる事業法人である必要があり、R&R協議会ではこれが不可であることから、一般社団法人の設立準備に至った。

今後は今年10月までに共同事業体の初期事業やサービス内容を決定。12月頃を目途に広域認定を取得し、関東でのリサイクルサービス開始を開始する予定としているが、広域認定取得日は流動的であるとした。なお、3年後の2027年には大型家具全般への対応拡大も視野に入れている。

最後に同協議会の西弘信氏が挨拶し、今後の抱負を語った。同協会事業継続取り組みの今後が注目される。

(佐藤敬広)