家具インテリアリサイクル&リニュー協議会 設立発表会開催

家具インテリアリサイクル&リニュー協議会(会長:岡田贊三/飛騨産業代表取締役会長)は6月28日、TKP新橋カンファレンスセンター(東京都千代田区)で設立発表会を開催した。

岡田会長

設立発表会の冒頭では、会長となった岡田贊三氏が挨拶。「我々が扱う家具の需要の多くは買い替えのため、廃棄される家具も増えている。例えばホテルの改修では多くのベッドが廃棄される。こういった家具を廃棄ではなく資源として、よりよいリサイクルを行うことや、長く使える家具を増やし、適切なメンテナンスをすることが必要だと考えてきた」とし、「家具インテリア業界はメーカー、小売り、物流などの事業者が連携して、サプライチェーン展開をしている。そこに、リソーシング分野の事業者を加えた『動・静脈の垂直連携』により、サーキュラーエコノミーの最適化を目指し、時代に即した環境経営展開に取り組むことを目標に、このたび家具インテリアリサイクル&リニュー協議会を発足することとした」と述べ、協議会の設立を宣言した。

協議会では、環境経営の3本柱である「資源循環」「温室効果ガス削減」「生態系保全」を家具インテリア業界でもビジョンととらえ、とるべきミッションを設定。温室効果ガスの削減については、2050年のカーボンニュートラルへ向けて、排出削減および脱炭素化への取り組みを、企業の事業活動として進めるとした。生態系保全については、家具産業は多くの森林資源を活用する点について触れ、合法木材や国産材の活用や、再生資源の有効活用が課題であるとし、家具を適切に修理していくことによる「製品の健康寿命延伸」により、廃棄させないことを念頭においた環境負荷の低減および環境保全を推進していくとする。資源循環については、廃棄家具の増加やそれらの処理処分に対し、動・静脈連携によって再生および再利用を促進し、より高度なゼロエミッションを目標に設定した。この環境経営の3本柱を達成するため、当面は資源循環を取り上げ、サーキュラーエコノミーの実現からはじめ、「循環のループをつなぐことから環境保全のブレークスルー」を図ることを、協議会として最初の課題とすることが明らかにされた。
なお、来賓を代表して環境省環境再生・資源循環局の土井健太郎局長、前環境大臣政務官の中川康洋衆議院議員、内閣総理大臣補佐官の村井英樹衆議院議員が挨拶した。この他来賓として日本ノボパン工業の安藤正史氏、三井不動産の佐野川靖氏、積水ハウスの近田智也氏、コクヨの森田耕司氏、デンマーク大使館の吉元美帆氏が紹介された。

西副会長

次に、協議会の活動内容詳細を、協議会副会長に就任した西弘信氏(アクタス相談役)が説明。「なんとか今日の協議会スタートの日を迎えることができた。副会長として会を成長させていきたいという思いでいっぱいだ」と冒頭で述べ、サーキュラーエコノミー実現に向けた4つのタスクを発表。①リソーシングワーキンググループ(WG)、②長期愛用/リニューWG③ZEROカーボンWG④再生デザインWGを設定して、それぞれの課題に向けた当面の取り組みを発表した。

①のリソーシングWGでは、リソーシング事業の法人化を、今年度内を目標に目指す。法人で廃スプリングマットレスの広域認定を取得すること、会員各社がネットワークで回収し、関東エリアで月に1000本の共同回収を予定する。また、デジタルプラットフォームをシステム開発し、回収、業績、処理の効率化について、年度内に実用化を目指す。
②の長期愛用/リニューWGでは、デジタルプラットフォームを活用した修理の受託に取り組み、修理コストや修理時間の低減化を目指す。また会員企業の家具メンテナンスや修理等のタイミングや必要性、方法などについての情報を消費者にむけて発信する。
③のZEROカーボンWGでは、デジタルプラットフォームによる物流効率化でのCO2排出削減を目指すほか、温室効果ガス排出の実態把握手法、指標の共有化などを図る。また、脱炭素技術や炭素固定化技術を業界でオープンイノベーションなどによって研究推進・応用展開する。
④再生デザインWGでは、パーティクルボードや金属製品の利用拡大、タスク②における家具の健康寿命向上や、タスク③におけるLCCO2と合わせて、環境性能の情報発信を行う。次年度では、リサイクルおよびリユースのしやすい製品の研究開発に向けたデザインの提言を図る。

加藤副会長

西副会長の説明に引き続き、同協議会の副会長に就任した加藤信氏(カリモク家具副社長)が、協議会組織と体制についての説明を行った。加藤副会長は「今回、35社でスタートする当協議会は、環境経営の3本柱にむけ、様々な調査や研究開発を行うための推進組織だ」と述べ、設立時点では任意団体であり、法人格はないこと、事務局をTAKADA(さいたま市見沼区、髙田輝成代表)におくことなどを発表した。

髙田リソーシングWGリーダー

加藤副会長の体制説明に続き、リソーシング事業の概要を協議会リソーシングWGリーダーの髙田輝成氏が説明。関東においてリソーシング・ネットワーク構築への実装実験を開始していることを報告し、製造・小売り各社の入家具処理量および処理コスト情報の収集と共有化など、実証実験の狙いについて話した。今後は実験のデータをもとに、廃スプリングマットレスから広域認定制度を活用しての展開を計画する。

会場にはプレスや会員関係者などが多数集まった

なお、家具インテリアリサイクル&リニュー協議会の6月28日時点での会員は次の通り。(五十音順、総計35社)
AKASE、アクタス、アスプルンド、伊藤忠テクノソリューションズ、遠州トラック、岡本總本店、家具の大正堂、かねたや家具店、カリモク家具、カンディハウス、三協運輸サービス、シラカワ、スリープセレクト、関家具、大運、TAKADA、タカダ・トランスポートサービス、TAKADA環境、TriValue、東京インテリア家具、東京ベッド、ドリームベッド、ナガノインテリア工業、日進木工、日本フクラ、馬場家具、パパネッツ、飛驒産業、冨士ファニチア、フランスベッド、マルイチセーリング、マルニ木工、ミサワ、三井デザインテック、リビングハウス