2022年の秋に、オフィス向けのインテリア事業に参入したアクタス(東京都新宿区、村田謙社長)。同社は新宿の本社に、フリーアドレスとアクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)を取り入れたライブオフィス「THINK PORTAL」を開設し、ソフト、ハードの両面から様々な働き方を可能にするデザイン性の高いオフィス空間の提案を行ってきた。
その「THINK PORTAL」について、この春に増床リニューアルを行った。新たに誕生した「PORTAL WEST」エリアについて取材した。
新たに誕生した「PORTAL WEST」エリアの入口には、アクタスが手掛けるオリジナルアパレルブランド「eauk(オーク)」および、イタリアのフレグランスブランド「CULTI(クルティ)」を展示したプレスルームが設けられている。
アパレルについては、商業施設の案件などで「ユニフォームまで提案して欲しい」といった要望が寄せられるケースがあるといい、それを受けて同社でもインテリア空間のみならず、快適性を追い求めたアパレルアイテムついても、より強化を図っているようだ。
これらのアイテムの展示には、造作の什器を用いている。家具インテリアのみならず、「衣」のオリジナルブランドやフレグランス商品も取り扱いながら、生活をトータルに提案するという同社の姿勢が表れている。「CULTI(クルティ)」の製品は生活空間に馴染むようなボトルデザインであり、オフィスのエントランスや役員応接室などへの提案にも適しているという。
ホームユースでの知見を活かしたオフィス向けグリーン提案にも注力しており、ラウンジスペースの入口にもハイドロカルチャー植物を展示。通常の土を使わずにハイドロボールと呼ばれる植込み材と水だけで育てる水耕栽培の一種で、虫などが寄り付きにくく、菌が繁殖しづらい環境を作ることができる。土で育てた場合と比較して養分などが少なく、植物の成長が遅くなるという特徴もあることから、空間に制限のあるようなオフィスでは、成長速度をあまり気にせず配置できることがメリットにもなるようだ。土と比べてメンテナンスのしやすい点も訴求ポイントの一つだという。
オフィス向け専用のアイテムも展開している。スウェーデン「BLA STATION(ブロー・ステーション)」の「Bobソファ」や、壁面にはアートパネルのような吸音パネルを用いた展示だ。
この吸音パネルは凹凸が強く、照明による光で影などのグラデーションを作りやすい。
マグネットの上にゴムが付いているため、施工性も高い。
ミーティングルームにも吸音パネルを用いている。壁面にアートを取り入れたいという要望も多いが、アートは空間の中でも強い意味合いを持たせてしまいがちで、家具よりも壁などに意識が向いてしまう傾向が強くなる。その点を踏まえ、アートほどの個性が出すぎない、インテリア性のあるパネルとして提案しているようだ。組み合わせ方は自在に変えることが可能。
四人用ミーティングルームにはイタリアブランドのテーブルを配置。
8人~10人用ミーティングルームには、カンディハウス製のダイナミックな天板が持ち味のテーブルを配置している。国内外の多彩なブランドを扱うアクタスのコーディネートによって、異なるブランド製品でも空間に調和する。
スタッフが作業に集中するための半個室の「CORE」スペースも設けているほか、完全個室の「POT」も完備。1on1のWEB会議等にも対応する。
簡単なミーティングや作業を行うことができるスペースも設けている。ミーティングルームなどは予約でブッキングしてしまうケースがあることから、ショートミーティング等を行えるスペースも備えることで、業務効率を上げていく。
銀座の森岡書店がセレクトした、インテリア等にまつわる書籍も完備しており、スタッフのインスピレーション・クリエイティビリティをかきたてる。イタリア「MANERBA(マネルバ)」の「Stemシェルフ」は、着座スペースも設けることができる。このシェルフで空間をやわらかに区切っている。
照明も空間提案で重要な要素のひとつ。ミラノサローネの視察によって得られたトレンドなどを反映しながら提案に注力する。上の写真は、撮影用に「PORTAL WEST」の照度を落とした状態のものだが、このような雰囲気のなかで業務を行いたいというスタッフも多いようだ。
(以下の写真は、既存エリア「PORTAL EAST」のもの)
同社では新たに設けた「PORTAL WEST」、既存のエリアでアクタスの本社機能をもつ「PORTAL EAST」を含め、ライブオフィス「THINK PORTAL」の見学を随時受け付けている。詳細は以下のWEBページより。
(佐藤敬広)