アクタス 「アクタス・丸の内店」を新丸ビル3階にオープン ”ACTUS THE STORE”をコンセプトに新たな生活文化を発信

 アクタス(東京都新宿区、村田謙社長)は2023年10月6日に、「アクタス・丸の内店」(東京都千代田区丸の内1丁目5-1 新丸の内ビルディング 3F)をオープン。それに先駆けた10月5日にプレス内覧会を開催した。

 新たにオープンした「アクタス・丸の内店」は、同社の33店舗目の直営店舗となる。ストアのコンセプトは”ACTUS THE STORE”とし、”アクタスそのもの”を体現するストアとして展開する。

 1969年に創業、東京・青山に第1号店をオープンして以来、半世紀以上にわたる歴史をもつ同社。”ヨーロッパのモダンインテリアを日本の生活文化に届けたい”という想いからスタートしたが、アクタス広報チームの関洋之氏は「この丸の内店は、青山の第1号店の志に還って、お客様に丁寧な暮らし、モダンなインテリアの楽しみ方など、新たな生活文化を発信させていただく拠点となります。アクタスの情報をいち早く発信できるような、アンテナショップのような役割をもつ予定です」と話す。アクタスは約10年前から、東京・丸の内エリアへの出店について検討しており、今回遂に、新丸の内ビルディング(新丸ビル)の3階に出店を果たした。東京駅のすぐそばで情報発信ができる拠点として、同社としてもエポックメイキング的な位置づけの店舗となる。

 そのような背景もあり、「アクタス・丸の内店」のストアデザインはDAIKEI MILLS(ダイケイミルズ:東京都品川区、中村圭佑代表)が手掛けることとなった。ダイケイミルズはさまざまな店舗やオフィスのデザインを手掛けているが、新店舗やアクタスのコンセプトとの親和性が高いと考え、“アクタスの店舗として、今までに見たことのないような姿を創ってほしい”という想いのもと、今回の依頼に至ったという。そのため、「アクタス・丸の内店」は既存のアクタス店舗とは異なる空間デザイン設計として、他店舗では使用していないような素材や色目などで構成されていることが特徴となっている。

 「アクタス・丸の内店」のもう一つの特徴は、新丸の内ビル3階の一部の共用部分についても、アクタス店舗の専有部として使用できることだ。その要素をしっかりとメリットとして捉えた店舗空間の表現も、ダイケイミルズの力ならではのもの。アクタス・丸の内店の店舗面積は、共用部を含まない面積では約180坪。共用部を含めると約240坪だ。

ダイケイミルズ 中村圭佑代表

 ダイケイミルズの中村代表は「心がけたのは“デザインをしないこと”です。私どもが先陣を切って“このようなデザインをしたい”と申し出るのは、立場として“違う”のではないかとの思いからでした。やはりこのようなお店は“家具”がメインですから、“側”がメインになってはいけません。今まで培ってきたブランドというものを変えたいという要望は受けましたが、私としてはどちらかといえば“アップデート”していくような考えでした」とし、「今回、共用部が店舗の専有部として使用できるということで、まず”お客様が歩いている道のりをどのようにつくるか”をメインに考えました。”人の動線をどのように作り出すか”という設計にしたので、コンセプトとしては”半外半中”。外と中の境界をぼかしたコンセプトです」と語った。

 インテリア雑貨の棚などは、基本的に同一のモジュールで構成された什器のデザインで、太めの棒で組みあがっている。人間の動作のプリミティブな部分をフューチャーし、丸い棒を組むだけというコンセプトのもと空間が表現されている。

FOURチェアとFOURデスク

 続いて、「アクタス・丸の内店」で販売する主なアイテムについて、アクタスMD本部マーチャンダイジング部長の野口礼氏が説明した。まず紹介されたのは、先日発売された倉本仁氏デザインの新作「FOUR デスク」。ホームユース市場で好評の「FOURチェア」に続く「FOUR」シリーズの新アイテムだ。椅子だけでは解決できない“働く”の要素を採り入れながら、美しい造形のなかでのデスクとして、この9月に発表された。※「FOURデスク」発表会の詳細は、下記別記事にて

カンディハウス×アクタス 「FOUR DESK(フォーデスク)」を発表 「FOURチェア」に続く倉本仁氏デザインの新製品

 照明では「TECTA L25 DESKLAMP」。20世紀のオランダを代表する建築家であるヘリット・リートフェルトが1925年にデザインしたデスクランプを、ドイツのTECTA社がLEDを光源に用いて復興した。このアイテムをアクタス・丸の内店で、10台限定で先行販売する。

 アクタスでも、ここ3年で照明の売上は倍近くまで伸びているとした上で、「コロナ禍を経て、灯りの要素も非常に重要になってきています。例えば、お気に入りの物をお客様がご購入された際に、それを“美しい照明”のもとで見るのか、そうでないかとでは、お客様が持たれた“大切な物”に対する愛着の度合いも、変わってくるのではないかと考えています」と野口氏は語る。

 アクタス限定仕様で販売開始された「String Freestanding Shelf ACTUS EXCLUSIVE EDITION」も店内に展示されている。

 もともとは壁付けのシェルフ製品だが、これをフリースタンディング仕様として、2024年末までは日本国内のアクタス限定での独占販売となる。

 壁面に飾るアイテムについては、アートの要素として、イタリア「porada(ポラダ)」のミラーアイテムなどを展開するほか、勝木友香氏によるアート作品なども展示販売。ひとつひとつに同氏のサインおよびシリアルナンバーが付帯している。

FOGIA LYLA CHASE LOUNGE

 続いての注目アイテムは、スウェーデン「FOGIA」および「GEMLA」の製品だ。「FOGIA」からは、「LYLA CHASE LOUNGE」をラインナップ。木工のみならず金属も曲線デザインに採り入れていることがスウェーデンの特徴でもある。この「LYLA CHASE LOUNGE」は、ノルウェーのAndreas Engesvik氏がデザインを手掛けたイージーチェアだ。オットマンを合体させたようなシェイプで、チェアながら本格的な寝椅子のようにデザインされていることが特徴だ。

GEMLA RINGEN SIDE TABLE(手前)

 「GEMLA」ブランドは、スウェーデン最古の木工家具メーカーとして名を馳せている。曲木を特徴としており、”スチームベンディング”の技術を活かしながら、シンプルかつエレガンスさを感じさせるデザイン性が特徴のアイテムだ。プラスチック素材を使わないことも、同社の特徴の一つ。塗装やクッションの中材についても、伝統的にこだわりをもっている。「RINGEN SIDE TABLE」など、曲木技術を活かした造形美が印象的なアイテムを多数ラインナップ。

GEMLA OPEN LOUNGE CHAIR

 「GEMLA OPEN LOUNGE CHAIR」は、アッシュの無垢材を使用した、曲木の技術が最大限に活かされたアイテム。背もたれ部分は約300㎝にもおよぶ一本の木棒が使用されており、手編みのペーパーコードで装飾された背もたれは、ソフトでしなやかな座り心地と耐久性を兼ね備えている。

ノードリウムオリジナルプランターカバーの説明を行う、アクタスの野口礼氏(左)と関洋之氏(右)

 最後に、2020年よりブランド展開している「NODERIUM」が紹介された。ここ3、4年、同社で著しく好評で伸びているのが植物の要素だ。アクタスではインテリアに合う”インテリアグリーン”として、植物との共生を提案しており、プランターやプランターカバーの開発提案にも力を入れている。プロダクトデザイナーの柴田文江氏との共同開発のなかで生まれたのが「ノードリウムオリジナルプランターカバー」。

 脚付と蓋付タイプの2種をラインナップしており、蓋はマグネットで分割できる仕様だ。「インテリアの要素として、植物のみならずプランターも愛していただきたいと考えています」と野口氏は話す。


 アクタスは、この「アクタス・丸の内店」を起点としながら、豊洲店や新宿店といった近隣のアクタス他店舗へも顧客を案内できるよう、充実したサービス体制をより整えていく。都心型のアンテナショップの役割を果たすエポックメイキングな存在となった「アクタス・丸の内店」のこれからに注目だ。

(佐藤敬広)