カンディハウス×アクタス 「FOUR DESK(フォーデスク)」を発表 「FOURチェア」に続く倉本仁氏デザインの新製品

 カンディハウス(北海道旭川市、染谷哲義社長)とアクタス(東京都新宿区、村田謙社長)はこのほど、新製品となる「FOUR DESK(フォーデスク)」を、2023年9月30日より全国のカンディハウスショップ、エリアパートナーショップおよび、アクタス直営店、公式オンラインショップ、アクタスディーラーショップで販売すると発表。発売に先駆けたプレスプレビューを、カンディハウス東京ショップで開催した。

カンディハウス 染谷哲義社長

 プレスプレビュー冒頭では、カンディハウスの染谷哲義社長が挨拶し、先日発表した同社のメキシコへの本格展開などについて語った。メキシコには、「FOUR」シリーズのデザインを手掛けているデザイナーの倉本仁氏も同行し、現地の学生に対してデザインカンファレンスを開催。約600人が聴講する中、デザインの歴史などの講義を行った。

 染谷社長は「現地では、50人以上のスタッフをもつ設計事務所の方々ともコミュニケーションをとることができた。建築家やインテリアデザイナーが集まったパーティーの場においても、FOURチェアを紹介する機会を得られた。今後も国内外で展開を図っていきたい」と述べた。

アクタスの野口礼氏(左)と、カンディハウスの山下陽介氏(右)

 続いて、「FOURデスク」のデザインを手がけた倉本仁氏と、同シリーズの開発に携わっているカンディハウス技術開発本部本部長の山下陽介氏、アクタスMD本部マーチャンダイジング部長の野口礼氏が登壇し、野口氏の進行のもと、開発の背景やポイントが語られた。

 「FOUR」シリーズは昨年、第1弾の製品となる「FOURチェア」が発表されたが、ホームユース市場で評価を得て、想定を上回る成績を残している。当初はキャスター仕様のみだったが、2023年の春にはグライズレッグ仕様も販売開始し、こちらも好評とのことだ。ダイニングチェアとして購入する層に加え、BtoB市場においても、オフィスのみならずホテルのラウンジなど、様々な空間へと波及している。

FOUR DESKのデザインを手掛けた倉本仁氏

 今回は満を持して、FOURシリーズにおいて「FOURデスク」がデビューすることとなった。倉本氏は「このように、製品を四者で開発することはまずなく、今後もないのではないか。金属と木を組み合わせること自体が難しいのだが、お互いに良いカバーのし合いが働いたプロジェクトだったと思っている。海外でも、ここまで金属と木製が一緒になっているのは、ありそうでない、と言われた。そのようなこともあり、好評をいただいているのでは」と話す。

 デザインを手掛けるなかで、住宅に対しての働きかけをどのように考えてこの造形にいたったのか、という質問に対しては、「FOURチェアと同じ感覚で、”家で働く”とはなにか?とまず考え、機能的なデザインなども美しいようなものとして、同じ考え方でテーブルもデザインした」とし、「家で働くということは、ダイニングにデスクを新しく増設しないといけない。しかし、元々そのような場所がなかった場合、リビングに置く可能性や、新たに書斎をつくってそこに置く場合もある。そこに置いた際、どのような機能が求められるのか。家に配置する上で上質な雰囲気を醸し出すような、機能性だけを求めるのではないデスクを作りたいと考えた」と語った。

 新製品のポイントは、薄い二層構造だ。天板の下には収納スペースを兼ね備えている。「これが必要な理由は、ここで何か食べるかもしれないし、デスクがダイニングテーブルに代わる瞬間もあるかもしれない。そこを受け止められる構造を作りたかった」(倉本氏)。天板に垂直に交わる背板について倉本氏は「仕事をする上では、資料をおけるような造りであったり、タブレットを立て掛けられたりといった要素も求められることがある。また、オフィスにはパーテーションがあるが、この背板はその低いバージョンと思ってもらえればと考えている。壁などが傷つかないよう、少し縁を切れるものがあるといいかなと思ってのデザインとなった」と話すなど、最小限の収納スペースのありようを考えながら、手軽にデスク周りのマネジメントができるよう、スライド機能なども備えていることを強調。コードのマネジメントなど、片づけてすぐ次のシーンへと移せる構造が、FOURデスクの特徴だ。

 開発のプロジェクトが進む中で、メンバーの意見を反映しながら、当初のデザインからどんどんと形が変わっていったようだ。天板の素材は北海道のタモ材を使用している。無垢か突板の選択肢があったが、最終的にはカンディハウスらしさを出すということで、無垢天板を採用したという。

 また、脚部には北海道産のカバ材を使用。タモ材は木目の表情が目立つ材料だが、カバ材は塗装すると目立たないため、FOURのチェアとも親和性があると考え選定したという。

 「FOUR」を実現するカンディハウスの魅力について倉本氏は「開発部分においては、チャレンジスピリッツが一番のポイントだろう。北海道の自然の中で、北海道産の無垢材をふんだんに使っているのは”らしい”ところだ。独自のスタイルを貫いていると思う」と語った。

 これを受けて山下氏は「倉本さんとは2017年からプロジェクトでお付き合いさせていただいているが、その前段階で当社の工場を見学していただいて、当社が”何ができるか”、というアイデア出しからプロジェクトがスタートした。それを経たうえで、いくつかのアイテムを出していった」とし、「多くのアイデアを出しながらそれを絞り、最終的に決めていくというプロセスを踏むことで、メーカーも納得してものづくりができる」と語った。

アクタス 村田謙社長

 最後に、アクタスの村田謙社長が挨拶。「四者が力を合わせるメリットというものについて、我々ものづくりを手掛ける上で考えてきた。商品をつくるというもののゴールは、”販売できるものをつくっていく”、その販売できるもので”売上をつくっていく”ことになるので、色々な要素のバランスをとらないといけない。今回出来上がったFOURデスクは、妥協をすることをなく、四者それぞれが持っている良さを引き出し、高い次元でのバランスがとれた製品になったと思う」とし「そのバランスがとれている上に、倉本さんのデザインに関するアプローチの丁寧さや、カンディハウスさんのものづくりの丁寧さ、我々アクタスはお客様に対するコミュニケーションの丁寧さを加えていくというところが重要だと考えている。そのような丁寧さが、国内のみならず海外のお客様にも響いていく要素になるのではないか。今後も、良いバランスかつ丁寧さが加わった製品をさらに増やしていき、より多くのお客様にこのFOURデスクのような良い製品を紹介していきたい」と結んだ。

 「FOUR」シリーズの今後だが、アクタスの野口氏が倉本氏に対して「今後”FOUR”で解決してみたい課題は?」と問いかけ。倉本氏は「キャビネット、あるいはサイドテーブルになるかもしれない。需要に対する機能を付加しすぎることなく、綺麗に住空間にたたずむものを今後も発表できれば有意義だろう」と述べた。「FOUR」シリーズのこれからにも、注目が集まる。

(佐藤敬広)