IDÉE IDÉE Space Design Officeで法人提案強化

良品計画(東京都文京区、堂前宣夫社長)が2024年10月18日(金)に、法人顧客向けに空間デザイン・ディレクション、家具やアートを提案する「IDÉE Space Design Office」を「イデーショップ自由が丘店」3階にオープンした。

2017年に、現在の良品計画と統合したイデーブランドだが、法人営業はイデーブランド創業当初の1982年頃から既に行っていた。青山に存在していたフラッグシップショップにおいてBtoCでの家具やアートを提案しながら、法人顧客向けのBtoB事業にも取り組んでいた。

良品計画へ統合ののちもBtoB事業を継続。3年前には良品計画の一ブランドである無印良品のBtoB部門である空間設計部と統合し、一時は無印良品とイデーが合体した法人部門となっていた。

約2年間、2ブランドの法人部門を統合した体制での取り組みが続いたが、無印良品とイデーの顧客層が異なることや、それぞれのブランドのカラーの差など、求められている要素が異なることから、再び無印良品とイデー事業で法人部門を分離し、それぞれで提案をしていく体制へ整えたという。

再分離後、イデーショップ自由が丘店と、イデーショップ六本木店のそれぞれで、小規模の法人窓口を最近設けていたが、今回この9月から、2極に分かれてたイデーの法人機能を自由が丘店に集約。専用のフロアを設けて提案強化を図ることとなった。

イデーショップ自由が丘店に機能を集約したのは、イデーのフラッグシップショップとして最も広い店舗であり、それぞれの階層に分かれて空間提案が行えるという点が大きかったようだ。法人部門を集約しつつ事業を拡大させていこうとするなか、法人部門スタッフの勤務場所兼、顧客提案のためのショールーム的機能をもたせることとなった。

デザインオフィスは、基本的には平日にオープンしているが、一般の個人ユーザーもふらりと立ち寄れるスペースにもなっている。空間内は3つのエリアを設けており、それぞれ「Brand Concept Area」「Public Design Area」「Space Design Office」として展開する。

「Brand Concept Area」は、IDÉEの最新のブランドコンセプトを体現する空間。第1弾となる今回は、今年の4月にIDÉEが全体のディレクション、インテリアコーディネートを担当した「MUJI BASE TESHIMA」を再現した。

香川県小豆郡土庄町豊島に今年4月のオープンした良品計画直営の宿泊施設「MUJI BASE TESHIMA」は、家具やインテリアの雑貨まで全てをイデーがセレクト。

海外からの観光客も多く訪れる豊島で、日本の美意識をテーマにした地域のアーティストらと共同で空間を作り上げた施設だ。イデーでも、今後はホテルなどの宿泊施設などへも提案を強化したいことから、今回の展示内容としたという。

「Public Design Area」は、IDÉE の強みである、さまざまなアーティストを組み合わせたアー トウォールや共用空間への導入に適した家具を体感できる。東京ミッドタウンの共用部などでも使用されているイデーの人気ソファ「SALON SOFA」なども展示している。

壁面にはアートを飾っているが、作家や作風関係なくコラージュし、アートの飾り方の新たな発見へのヒントを提供する。

「Space Design Office」は、IDÉE の定番家具 や造作家具、アートやグリーンを取入れた執務エリアで、法人部門のメンバーが業務を行う。IDEEでは特注家具製造も提案しているが、「Space Design Office」に設けられた大型のテーブルは特注によるものだ。

この空間では、法人顧客との会議、社内ミーティングなどのほか、内装材やファブリックのコーディネートの組み合わせの検証も行うことができる、実験スペースのような場所だ。隣の「Public Design Area」とは、壁で仕切ることなくガラスでの仕切りとし、働いている姿を垣間見ることができるライブオフィス的な空間構成にしている点も特徴の一つだ。

イデーの法人部門は全国対応しており、関西圏などの商業施設、マンションのモデルルームからの依頼も多いという。展開するアイテムは特注製品のほか、BtoCのショップでも取り扱っている製品提案が基本とのことだ。ホームユースの家具では対応できないニーズについて、サイズや強度などのオーダーを特注製品でカバーすることが可能な点が強みだと同社。

新たに展開するこれらの空間は、これまでのイデーのイメージでもあった、「カジュアル」「カラフル」といったイメージとは趣向を変えた雰囲気で構成した。様々なテイストのアイテムを織り交ぜながらの提案を得意とする同社だが、既存の法人顧客にも、これまでのテイストとは異なるアプローチが可能である点を訴求したいとする。

昨今はオフィスやマンションなどでもアート提案を行っているといい、家具以外へのアイテムへのニーズもますます高まっているようだ。アートのみの発注も増加してきているという。

BtoCで人気の「CONVENTO」チェアもオフィスで使用。ラタンを使用し、ロングセラーになりつつある同アイテムだが、コントラクト空間には不向きとされていた。しかしながら、BtoBでの問い合わせも多く存在し、店舗やオフィスのラウンジスペースなどでの採用事例も増加しているという。

イデー法人担当の宇田愛氏は「これまでも幅広いお客様にご提案をさせていただいたのですが、改めてこのような拠点を設けたことで、より多くのお客様にイデーの空間デザインや商品をご提案していきたいと考えています。家具だけではなく、アートや、小物の提案も得意としていますので、それらのコーディネートに特化したサービスも少しずつ始動しています。空間も、内装から家具からアートまで、トータルでご提案できることを、この場所を通じて伝えていきたいと思っています」と、今後の抱負を語った。

色や素材を変えてのコーディネート提案も得意とする同社だが、家具のみならず様々なアイテムを活用しながら、空間提案を強化していく。

(佐藤敬広)