日本ホームステージング協会 ホームステージングフォーラム2024開催 空き家問題対策のホームステージング週間などを実施予定

日本ホームステージング協会(東京都江東区、杉之原富士子代表理事)が主催するホームステージングフォーラム2024が、2024年11月11日に東京国際フォーラムで開催された。

冒頭では同協会の杉之原代表理事が、挨拶及びホームステージングフォーラムの授賞者を発表した。そののち、参議院の竹谷とし子議員が来賓として挨拶。

また、ラウンジ会場に出展した企業がそれぞれの強みをPRした。

そののち、国土交通省住宅局の窪田悦朗氏が「空き家対策行政の動向について」をテーマに基調講演を行った。

ホームステージング発祥の地である米シアトルの視察報告も行われた。同協会員が視察した物件として、アートや壁面、細長の戸建て、階ごとにステージングが行われている事例を紹介。アメリカではニュートラルにしつらえるのが主流になりつつあることが語られた。これまでは入居する人にペルソナ設定をしていたが、米国ではジェンダーレスなどの観点から、ターゲット設定を行うことが少なくなりつつあるようだ。空間はナチュラル系のスタイルのホームステージンングが多く、青系やシルバー系、涼しい落ち着いた色合いが多いこと、ベッドがリアルベッドではなく、箱とダンボールで支えられており、工夫により空間のボリュームが出せることなどが紹介された。

また、室内空間において、階段の側面、バスルームなど、全室にアートやミラーなどが設置されている点についても言及。人が集まるところには大きなアートを設置するなど、壁にどんどんと穴をあけて飾るという文化であることについても触れられた。アメリカでは住宅の住み替えサイクルが約8~10年の文化であり、家のインテリアのしつらえを変えることに慣れているという見方が出された。なお、米国のホームステージング視察に関連する動画は、日本ホームステージング協会のWEBからも視聴できる。その後、ホームステージンングアワードの授賞式および懇親会が開かれ、閉会となった。

日本ホームステージング協会の発表によると、同協会が認定するホームステージャー資格認定者数は5000名を突破。多くの事業者にホームステージングが普及してきたことがうかがえる。ホームステージャー資格取得講座については、コロナ渦以前は東北や東京、大阪、福岡など全国で開催していたが、コロナ渦では東京のみでの開催だったができなかった。今年は再び全国での開催にもどり、東京で51講座、地方で11講座を開催している。

受講者傾向については、2021年から女性の受講者数が男性を上回っており、受講者の75%が女性だ。受講のスタイルはeラーニングが39%、来場やオンラインが61%。年齢層の割合は20代が25%、30代が22.8%、40代が28.7%、50代が19.1%で、どの年代も約2割弱となっている。受講理由は、本業に生かしたいというものが最も多く、次いでキャリアアップ、会社のすすめなどによるものが続く。なお、昨年から認定講座の2級テキストを変更。シニアホームステージングとして、高齢社会にともない、シニアの暮らしの質を上げるということが必要となることから、この項目を追加した。

同協会の活動報告では、2023年ホームステージング白書を発表。これはホームステージングの実態調査で、2017年から実態調査を出してきている。2022年までの実態調査では、山形、香川、高知、宮崎の4県で調査を実施できていなかったが、2023年からは全都道府県で実施された。

調査ではまず、不動産仲介業において「ホームステージングを実施する基準」「ホームステージングの作業をした人」についてアンケートを実施。2022年度は「売りにくい物件」「長期空室物件」へのホームステージング実施割合が最も多かったが、2023年は「全ての物件でホームステージングを実施する」の項目が最多の割合を占めた。「作業をした人」の項目では不動産仲介業が自社で行った割合は58.2%で最も多く、次いでホームステージング会社が25.5%と、不動産会社が作業をする割合が過半数以上の割合を占めている。

不動産賃貸では、「作業をした人」の項目において、2023年に初めて「ホームステージング会社に依頼する」の項目が登場したことが特徴だ。ホームステージング業は、売買仲介が多いが、賃貸物件にホームステージングが採り入れられている事例ははまだ少ない。しかしながら、ホームステージングを手がける企業は増加してきており、東京のみならず地方でも企業の立ち上げが目立つ。

同協会ではこのほか、ホームステージングカタログとして、ホームステージング関連事業を手掛ける企業の紹介カタログの発行や、ホームステージングコンテストなどの事業を手掛けている。第8回のホームステージングコンテストは、授賞式を先日開催。ホームステージングの効果をビフォーアフター写真とコンセプトや、実施後の効果を競うものだ。応募総数は42点、投票数は3946票だった。

また、企業とのコラボセミナーも実施しており、主な家具インテリア関係ではタカショー、藤栄、関家具、サンゲツ、トミタ、ミサワなどとセミナーを実施。協会主催セミナーでは、ミラノサローネ報告会・交流会なども開催した。

シニアホームステージング企画。シニアにむけて、人生フルーツ上映会など各企画も行っている。産学連携では、山梨学院大学で今年6年目のプロジェクトを実施中。学生自身が賃貸物件にホームステージングを実践するという取り組みを経営学部で行っている。

2025年の活動について杉之原代表理事は、「全国で認定講座開催を促進し、講師による自主開催も支援していく。ホームステージングで空き家問題解決に貢献していくため、ホームステージング週間を2025年6月9日から14日まで設定し、空き家にもホームステージングを行っていくことができるということを根付かせていきたい」とし、今後空き家になるかもしれない物件についても、「すまくら相談会」を実施したうえで、空き家予防として、シニアのための住まいと暮らしのセルフチェックができるような取り組みを進めていくとしている。また。2013年の同協会設立から12年目となることから、周年事業としてアメリカ不動産視察研修を実施すると発表。来年9月のロサンゼルス視察について触れ、ホームステージングを設置した現場、倉庫やインテリアショップなどを視察予定であるとした。