「DESIGNART TOKYO(デザイナート トーキョー)」 都内各地で開催

デザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO(デザイナート トーキョー)」が、2024年10月18日(金)〜10月27日(日)にかけて開催された。主催はDESIGNART TOKYO 実行委員会で、今回のテーマは「Reframing ~転換のはじまり~」。デザインとテクノロジーから生まれたアートの様な家具、アップサイクルでありながら美しいデザインと機能性を持つプロダクトなど、近年増えているジャンルレスな作品がさらに新たな視点で解釈された作品をはじめ、今年も多様なプレゼンテーションが展開された。


家具インテリア関連の企業・団体も同フェスティバルに出展する企業が多くみられた。プレステージジャパン(東京都港区)が展開するタイムアンドスタイルは、六本木のTIME & STYLE MIDTOWNにおいて、「Time & Style New Products」を開催。

ポップアップレストラン「Noma Kyoto」のために製作したアイテムも展示。チェアとテーブルのデザインはOEO Studioが手掛けた。キャビネットはタイムアンドスタイルでデザイン。今後同社のコレクションの一つとして発売を予定している。

当初、タモ材やオーク材の使用を想定していたが、日本の素材の使用を同社が提案。チェアは国内のケヤキ材を、テーブルには吉野杉を使用している。

テーブルサイズは、長方形は2900および4200㎜、このほか円形使用もラインナップする。

キャビネットは、ポップアップレストランで食器を入れるキャビネットとして製作したもので、ケヤキ材を使用している。

チェアは、座面が畳となっていることが最大の特徴だ。日本人にとって、畳は「床に敷くもの」という認識が一般的だが、海外のデザイナーはそのような常識を覆す発想で畳を活用。座面に用いる素材の一つとして、畳の可能性を見出したアイテムだ。

Claessen Koivisto Runeが製作した「KOMA」も新アイテムの一つ。カラフルな「独楽」のおもちゃをモチーフとした照明だ。来年春のミラノサローネで公開し、発売開始を予定している。

提灯の和紙は石州和紙を、提灯の技術は茨城の水府提灯のものを用いている。和紙に色がついている点、着彩されている点も同製品の特長だ。水とアクリル絵の具の割合を調整しながら、ミラノサローネでの公開に向けて調整が進められている。

日本の伝統的な技術を継続的に家具に活かしていくという同社の取り組みの姿勢が前面に表されていた。


平田椅子製作所(佐賀県佐賀市)は、同社ショールーム「HIRATA CHIAR TOKYO」において、杖ブランド「Vilhelm Hertz 」によるインスタレーション展示を開催した。「体」「心」「環境」のケアのために、同社のブランドの一つである「Hirata Gen Collection」とコラボ展示。3年前にデンマークの3days of designに「Hirata Gen Collection」を出展した際に、デンマークVilhelm Hertzのオーナーと出会ったことがきっかけで、人を支える「杖」と「椅子」とで共通点があり、互いの理念に共感したという。

Vilhelm Hertz も日本市場に商品を導入したいと考えていたことから、同社とのコラボによって製品を展示するに至った。環境のケアについては、「Hirata Gen Collection」自体が、環境に配慮したサステナブルなブランドにしていきたいという思いのもと製品が製造されているが、その中で出てきた端材を用いて、今回のコラボによる杖が製作されている。


プロダクトデザインを手掛けるPLOW DESIGN(静岡県磐田市)は、代表の田邊耕治氏がこれまでにデザインを手掛けたチェアの展示を、六本木のAXISビル3階「AURAS TOKYO」で展示した。

会場には起立木工の「アネロ」や新作チェア「モリス」が並べられた。空間にこだわり、香りなども楽しみながらプロダクトを体感できるよう構成。「モリス」は今年のIFFTで初お目見えだったが、今回は一般ユーザーへの披露も兼ねて展示した。

昨今、「感情が揺さぶられるデザイン」に目が向けられていない現状をふまえ、量産型のアイテムとして、シンプルとは対極にあるような製品を作ることで、選択の幅を広げていきたいという思いの元デザインされた。

「デザインが奇抜である必要はないとは思いますが、ひとつひとつに挑戦があり、これまでにはなかったような提案ができると、各メーカーさんも独自の立ち位置が作れるのではないでしょうか」と田邊氏。技術の結晶をつくり、企業のことをより理解してもらいたいという姿勢を打ち出した。