仕事と誇り ファイングレードウールクラブ 英国代表 Mr. Andrew Price

私の父は羊の脂と泥に汚れるウールソーター(原毛選別人)であった。1970年代には日本へ向け数百万キロの原毛を選別。
私はそんな父の姿を幼い頃から見て育ち、そのDNAを引き継いだ。
1995年、高校卒業、地元の羊毛商へ就職。そこで世界中に3000種類以上の羊種がおり、それぞれの品種によって、アパレル用、カーペット用、インテリア用、ふとん用などがあることを知った。

そんな私が18歳の見習いで見本室の掃除をしている時だった。先輩社員たちがスーツを着た日本人のお客を連れて、私の横を通って会議室へ向かう時だった。その日本人が立ち止まって、私に笑顔で挨拶してくれた。初めて見る日本人が、こんな駆け出しの私に時間を割いて挨拶してくれた。それは、その後の私のビジネスマナーに大きな影響を与えた。今ではウール業界で働き始め30年を超すベテランとなったが、どこの国のどこの工場やオフィスを訪問しても、職種や肩書に関係なく、そこに働く人々には必ず笑顔で挨拶をしている。

その日本人は羊毛商社の長尾さんであった。20年後には、日本の羊毛ふとんに最適な「ファイングレードウール」を長尾商事と共同開発し、私が選んだ羊毛原料から羊毛寝具が作られ、日本の市場に並んだ時は感涙の思いであった。

見本室の掃除番から始まっても、誇りあるウールの仕事に変わりはない。50歳近くになる私は今、日本の「ファイングレードウール基準」を満たす高品質な英国羊毛を提供し続けるために牧羊農家を走り回っている。

お問合せ:FGWC日本事務局 052-203-5100