
コンランショップ・ジャパン(東京都新宿区、中原慎一郎社長)が、2025年5月10日(土)より、ザ・コンランショップ全店で新商品の「Resöma」を発売開始した。日本の風土や自然環境を意識し、その特性を活かして開発したプロダクトだ。

「Resöma」はデザイナーの須長檀氏によるデザイン家具として、サイドボード、コーヒーテーブル、オープンシェルフの3型をラインナップしている。こだわりは"あえて"針葉樹の国内杉を使用している点。「節」の美しさをデザインポイントとして活かした。

同社が須長氏とタッグを組んで製品をリリースするのは今回が初となる。コンランショップジャパンが須長氏に企画を提案し、デザインされたものだ。

国産材を使用した自社オリジナル製品も、今回が初となる。「今回のプロジェクトは日本の材料というより、日本の良さのようなものを、コンランショップのオリジナルの商品の中で表現し、一つの形にしていきたいという思いがベースとなりました」と、コンランショップジャパン商品部の島森翔司部長は話す。

テレンス・コンランが創業したザ・コンランショップでは、これまで世界各国や地域文化に根差した製品がピックアップされてきたという背景から、日本の産地、日本のデザイナーとものづくりに取り組むことにこだわった。そして、日本ならではの環境を生かし、森林問題解決にむけた環境配慮の取り組みとして、針葉樹の活用をコンセプトに開発が始動した。

島森氏は「日本は森林大国として針葉樹が多くある中、活用先はあまりありません。そのような中で当社として取り組めることは何かと考えたとき、お客様に意識的に見てもらいただきたいという思いもあり、スギ材に今回はフォーカスをあてました」と話す。2020年に、コンランショップ創業者のテレンス・コンラン氏が亡くなって以降、日本におけるコンランショップの存在感をどのように打ち出していくか、協議が重ねられたという。

「Resöma」の開発において、ハードルが高かったのが、塗装についてだ。ナチュラルカラーはオイル仕上げによるものだが、ブラックはスギ材の特徴を視覚的にも見せることや、環境に配慮しウレタン塗装ではなく水性塗装にこだわった。特徴の一つである節の箇所についても、試行錯誤を繰り返したという。当初からナチュラルカラー以外の着色物のバリエーションを採用したかったという。

「塗装面は苦労しましたが、デザイン面では須長さんが、実際にモックを手で組み立てて、検証するという手法で取り組んでいらっしゃるので、図面ではなく視覚的に見ながら開発を進めることができました」(島森氏)。スウェーデンでは模型を用いたデザインづくりに取り組ムデザイナーが多いといい、製造を手掛けた立野木材工芸で試作を重ね、引き出しや棚の位置などを調整しながら開発が進められた。

「我々はコンランショップジャパンとして日本で展開していますが、いつまで本国英国ロンドンのコンランショップに頼りきりではいけないと思っています。コンランショップジャパンとして、日本で提案できるその意味とは何かということや、日本オリジナルの製品を本国ロンドンの店舗でも扱ってほしいといった考えもあります」と島森氏。素材やデザインなど、日本らしさを随所で示すことで、ヨーロッパの店舗での展開にも繋げたい考えだ。

今後は有名無名問わず、外部デザイナーとの繋がりを強化する方針だ。インテリア業界を盛り上げていくため、日本の技術とデザインを掛け合わせた新たな製品企画も進めている。同社の今後の新製品展開に注目が集まる。