【ニュースリリース】日本ホームステージング協会 ホームステージング白書2024を発表

一般社団法人日本ホームステージング協会(東京都江東区、杉之原冨士子代表理事)は、「第8回ホームステージング実態調査」の結果をまとめた「ホームステージング白書2024」を公表した。今回の調査は2024年1月から12月までの1年間を対象に、全国の不動産会社、ホームステージング業者、資格保有者ら307件を対象にオンラインで実施し、売買・賃貸の現場におけるホームステージングの導入状況や効果を多角的に分析している。

首都圏を中心にホームステージング導入が加速

ホームステージングの実施地域

調査結果によれば、首都圏でのホームステージング導入率が前年に比べて顕著に上昇し、東京都内では7.1%増加した。都心部では中古マンションや戸建て住宅の売却競争が激化する中、内覧時の印象を高める演出としてホームステージングを導入する動きが定着しつつある。特に新築時より価格調整が難しい築古物件や高額物件では、視覚的な魅力を引き出すことが成約率の向上に直結するとの認識が広がっている。

売買物件向けでは、10万~20万円の予算でホームステージングを行うケースが最も多く、導入後2カ月以内に成約する割合は約70%に達した。依頼方法については、従来は「自社スタッフによる小物設置」が主流であったが、2024年は「ホームステージング専門業者への外注」が38.9%で首位に立ち、専門性を重視する傾向が顕在化した。家具や装飾品のレンタル・設営に加え、照明・撮影技術を組み合わせたプロフェッショナルな演出が成果を押し上げている。

賃貸市場でも活用が拡大

賃貸分野でもホームステージングの重要性が高まっており、特に長期空室対策としての導入が増加している。家賃の1~1.5カ月分程度を予算として投入し、モデルルームのように演出することで、内見者の印象を向上させ、短期間での入居決定を後押ししている。調査によると、賃貸事業者の60%以上が「ステージング導入後に賃料を上げても成約できた」と回答し、そのうち10.6%は5%以上の賃料アップを実現した。市場競争が激化する中で、バーチャルステージングの活用も拡大し、オンライン内見時の印象付けにも効果を発揮している。

ホームステージング業者と依頼元の動向

ホームステージング業者のサービス形態を見ると、空室物件向けが77.8%と圧倒的多数を占め、平均価格帯は5万~10万円未満が36.1%で最多となった。依頼元は不動産売買仲介会社が79.9%を占め、販売促進策としての重要度が高まっている。モデルルーム的な演出や家具の仮設置が、物件の付加価値を向上させ、成約スピードを加速させる要因となっている。

資格者数と教育体制の充実

ホームステージャー資格制度についても順調に拡大が続き、2025年6月末時点で累計資格取得者数は5,221名に達した。年代別では40代・50代が全体の過半数を占め、インテリアコーディネーターや不動産関連職種からの受講が増えている。資格講座の満足度は2級・1級ともに9割を超え、実践的なカリキュラムや演出技法の習得が現場で高く評価されている。

不動産取引への影響と今後の展望

調査全体を通じ、ホームステージングを実施した物件は、未実施の物件に比べ成約率・成約期間のいずれにおいても大幅な改善効果が見られた。国内で空き家問題や中古住宅市場の活性化が課題となる中、ホームステージングが取引促進策としてますます重要性を増すことが予想される。特に近年は、持続可能性やコスト効率を考慮したレンタル家具やバーチャル演出など、多様なサービスが広がりつつあり、専門業者間の競争も一層活発化している。今回の調査では、内覧後の成約率上昇や成約期間の短縮など、ホームステージングが不動産取引のスピードと収益性を高める実証的データが数多く示された。協会は、専門業者間の競争激化とサービス多様化が今後一層進むと見ており、空き家・中古住宅市場の活性化にも寄与すると強調している。

ホームステージング白書2024の詳細は、以下のURLより。