イトーキは2025年11月10日、プロダクトデザイナー柴田文江氏と開発した新作ワークチェア「SHIGA(シガ)」を2025年12月から法人・個人向けに順次発売すると発表した。同社の主要生産拠点がある滋賀県近江八幡市にちなんで名付けたもので、「静かに佇み、しなやかに支える」をテーマに、極力線を減らしたスクエア寄りのフォルムにオフィスチェア定番のエルゴノミクス機構を“隠して”収めたのが特徴。多機能化で大ぶりになりがちな座面下のメカボックスを極薄化し、使用時の満足度が高いアンクルムーブ・シンクロロッキングをそのまま搭載した。
背は水平ラインが美しく並ぶ「double」と「triple」の2タイプ。背と座の間に意図的にすき間をとることで光と風が抜ける見え方をつくり、タスクチェア特有の“塊感”を抑えた。複数脚を並べた時に分割ラインが連続するよう設計されており、執務・ミーティング・ラウンジなど異なるゾーンへ同一シリーズで配しても空間に整然としたリズムを与えられる。価格はdouble系が税込13万3,430円~、tripleが同14万5,750円~で、同社としてはデザイン重視帯の上中位に位置づける。
機構面では、足首を支点に背と座が同期して傾く同社定番の「アンクルムーブ・シンクロロッキング」を採用。後傾時に座がわずかに後方下へスライドすることで背骨のS字を保ったまま姿勢変化ができ、最大15度のロッキング幅で長時間着座をしなやかに支える。操作レバーは座面下に1本のみというシンプル構成で、先端のプッシュボタンで背の初期角度を固定、さらに羽根つきレバーを回して座面高を90mm範囲で調整する。メカ下のビス露出をなくすなど“家具としての静けさ”を徹底しており、住空間へ持ち込んでも事務機のノイズが出ない仕立てとした。
アームは端正な直線構成で、アルミ素材を使って上質感を強調。アジャスタブル肘は前方のボタン操作で80mmの上下調整ができる。張地はオリジナルファブリックの単色8色・ツートーン7色に加え、Kvadrat 3色、本革2色をそろえ、フレームはサテン塗装3色、アルミミラー、グロス塗装3色の計7種を設定。ベース仕様7タイプとの組み合わせで約500通りを実現し、木質什器が多い最新オフィスから、在宅ワークのリビング書斎まで一台でなじませる想定だ。
開発は、2019年の小型ワークチェア「vertebra03(バーテブラゼロサン)」に続く柴田氏との第2弾。前作が“ワークもリビングも同じ椅子で”というボーダレスな方向だったのに対し、今回はあくまでオフィスチェアの性能を保持しながら見た目の情報量を削るアプローチで、再びオフィスの価値が見直される流れに正面から応えるかたち。テクノロジーによる場所の自由化が進む一方で、企業側は人を惹きつける空間づくりを進めており、「高性能だが主張しない椅子」というニーズに照準を合わせた。






