MASTERWAL 小林幹也氏デザイン「YU COLLECTION 2023」新作発表会開催 -AKASE & Mikiya Kobayashi-

AKASE(岡山県里庄町、藤井幸治社長)は2023年3月1日、同社のマスターウォール青山(東京都港区南青山2丁目26ー11青山グラフティ2階)で、デザイナーの小林幹也氏がデザインを手がけた「YU」シリーズの新作発表会を開催した。当日は小林幹也氏によるトークイベントが催された。

「YU」シリーズのデザインを手掛ける小林幹也氏

「YU」シリーズは、2017年9月に同社が発表したシリーズで、自然環境に恵まれた岡山から提案する「優しい気持ちになれる優雅な時間」をコンセプトに開発されている。「UC1チェア」から始まった同シリーズは、これまでダイニングシーンのアイテムをメインに発表してきたが、今回は新たにリビングアイテムを追加発表した。

挨拶する後藤和司取締役副社長

発表会冒頭では同社の後藤和司取締役副社長が挨拶。「マスターウォールブランドはワイルドウッドのような直線的なデザイン、ラフな印象のものが多かったのだが、小林氏に手掛けていただいたものに関しては、そのような要素中にも優しさや柔らかさといったものも入っている。普遍性の高いデザインを発表していただいているので、マスターウォールの新しい形を見出していただけたと思っている。今回はリビングアイテムをご覧いただく機会として、ゆっくりと『YU』シリーズを確かめていただければと思う」と語った。
続いて、新作の「US1ソファ」「UT7リビングテーブル」「UT2ダイニングテーブル/オプションレッグス」「USB2カップボード」の各新作について、小林氏と同社開発担当の北野公一氏が来場者に詳細を説明した。

新作の「US1ソファ」

「YU」シリーズにおけるソファアイテムは、2017年の同シリーズ発表時にも製品化が検討されていたが、「当時のアイテムはユニット式のソファという構造的な問題やコスト面で製品化はされず、悔しい思いをしていた」と小林氏は語る。その後約6年の歳月を経て、初のソファ製品化となったが、コロナ禍になる以前から既に、「US1ソファ」のデザインに着手していたという。小林氏は「クライアントからの依頼では、個性を追求するデザインを求められることが多い。しかし私が実際にソファをデザインする際は、私自身が、主張が強すぎないものを使いたいと思っているので、シンプルなデザインを心がけている」と話す。クライアントからの要望と自身の考えのバランスをとる中で大切になるのが「クッションのクオリティ」だといい、実際に座った時の座り心地と、視覚的な柔らかさ、心地よさを感じるようなフォルムが重要になるようだ。AKASEは外部からの人材を登用することでクッションの質を向上させ、ノウハウの蓄積が進んだことで商品のクオリティもさらに向上しているといい、同社の技術力を活かせるようなソファを展開すべく、デザインに取り組んだという。

奥へとすぼまる形状が特徴の「US1ソファ」

「US1ソファ」のフォルムは後方に向かうに連れ、すぼまっていく形状が特徴。これは空間に配置した際に「軽さ」を与え、圧迫感がないようにするという機能をもたせるためのもの。実際に座った時には上半身より足もとの方が広がるため、側に寄り添った際にも身体に寄り添うようデザインとなっている。構成する角度は0・5度単位で調整し、模型を作りながら吟味したという。

差込式のサイドテーブル

また、特徴の一つとしてオプションのヘッドレストを加えた点が挙げられる。オプションヘッドレストは各メーカーでも展開されることが多いアイテムだが、基本的には一つのアイテムを様々な製品に合わせるタイプが多い。しかし「US1ソファ」のヘッドレストは専用デザインとして、4サイズのソファの幅に合わせてそれぞれ製作されている。
さらに、差込式のサイドテーブルも新たに追加。「YU」シリーズには「UT5サイドテーブル」がラインナップされているが、ここに加わるアイテムとなる。表面をお椀型とすることで、飲み物をこぼしても床までこぼれ落ちることのないデザインとなっている。「US1」は今後、オットマンやカウチのアイテムの追加構想がある。

画面中央右の楕円形のテーブルが「UT7リビングテーブル」。床に座り、ソファにもたれかかっても、ほど良い高さ

「US1ソファ」と組み合わせる形で発表されたのが、「UT7リビングテーブル」。子どもが床に座りながら、テーブルで絵を描くことなどに適した高さとなっており、使い手の使い心地を意識したすっきりとしたデザインとなっている。

バリエーションも豊かに、「UT2ダイニングテーブル」のオプションレッグス

リビングシーンのアイテム紹介に続いて、ダイニングシーンの新アイテム紹介に移った。「UT2ダイニングテーブルのオプションレッグス」は、これまではロの字型のシンプルな脚で構成されたいたところ、今回バリエーションを増やして展開。それにより、自由な組み合わせ、使い方が可能となる点を訴求した。スチール製のものは、カラーを黒と黄色亜鉛メッキの2種を取り揃えている。小林氏は「私も自社でお店を展開しているが、オークの需要が増えてきている。マスターウォールもオークのバリエーションを増やしたいということで、オークに合う脚のバリエーションを作ろうということになった」と話す。

黄色亜鉛メッキのオプションレッグは、今回の新作の中でも一番のお気に入りと同氏。この色の仕上げを製品に使っているメーカーとして、ドイツの建築家が手掛ける家具メーカーのe15社の例を挙げるなど、小林氏のこだわりがつまった同製品は来場者の注目をより一層集めた。

「USB2カップボード」

リビングアイテムの2つ目の新製品として「USB2カップボード」が紹介された。キッチンはシステムでもオーダーでも、キッチン収納が建築側に付帯していることが多いため、顧客からはプラスαの収納として、リビングやダイニングに置けるようなカップボードの要望が多くあったという。下部は引き出し・キャビネット、上部はオープンに、自由に使えることが特徴となっている。
最後に、既存の「UC3」「UC4」の新カラーモデルを発表。濃いグレー、薄いグレーのモデルを新たに追加することが発表された。

「US1ソファ」と小林幹也氏

トークイベントは当日2回開催され合計約50人が参加、新作を見て触れて体感した。小林氏は「コロナ渦によって、なかなかリアルで製品を発表する機会がなかったが、こうして今日のような機会をいただけて大変嬉しく思っている。やはり、実際に製品を見て、そして座ったり触ったりしていただいて肌で実感していただく機会というものは、非常に大切だと再確認できた」と、イベントの手応えを語った。(佐藤敬広)